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■トンベリ復讐ものがたり■

1:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/22(土) 13:19:34 ID:h0/AbIH1
FF界のマスコットキャラクターといえば
モーグリ、チョコボ、そしてトンベリ
そんなトンベリたんの物語をつむいでみませんか

2:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/22(土) 13:20:27 ID:l/wQ1y1Q
みんなの2ゲト

3:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/22(土) 13:20:33 ID:70Cr/Gvt
人生初の2ー!

4:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/22(土) 13:20:51 ID:R1rhzFCn
ドンペリはいりまーす!

5:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/22(土) 13:21:23 ID:70Cr/Gvt
ちっ・・・

6:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/22(土) 13:51:07 ID:z7f5gAus
↑ちっ て書かなければ全米が泣いたのに

7:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/22(土) 13:51:14 ID:uPGEi2TC
FFマスコットコンビは


チョコボ=モーグリ
トンベリ=サボテンダー
ガイ=ジャイアントビーバー
バレット=モーグリ


でおk?

8:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/22(土) 13:52:27 ID:UeNL8DLN
彼は強い。


9999ダメージを3、4回当てなければ死なない上に
皆の恨みでいきなりパーティ全員を皆殺しする力も持っている。
そんな彼には悩みがあった。

続きどぞ↓

9:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/22(土) 13:53:50 ID:ed2WRAH6
リミット技2 刺し身包丁

10:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/22(土) 14:19:36 ID:f+dhVhe4
dベリ、チョコボを焼鳥にしてください

11:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/22(土) 15:12:58 ID:rPOCOgak
トンべリ「強くなりたい」

*「力が・・・・欲しいか?」

トンべリ「だっ誰だ!?」

*「俺はお前たちの先祖さま、ドンペリだ
  お前は俺と同じ夢を持っている」

トンべリ「俺の・・・夢・・・・それは・・・・・
     魔王になりこの世界を支配すること」

ドンペリ「そうだ、一族が誰も果たすことのできなかった夢だ
     俺の変わりに、いや、今までに殺されたみんなの変わりに
     お前にやってほしいんだ」

トンべリ「わかりました、ドンペリ様
     必ず、果たして見せます」

ドンペリ「お前に、コレを渡しておく
     俺のほうちょうだ」

トンべリ「ありがとうございます、では行ってきます」

・・・トンべリの長く暗い旅が始まった

12:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/22(土) 15:20:39 ID:f+dhVhe4
-完-

13:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/22(土) 15:31:23 ID:XA9Xwqu4
6のトンベリーズを超えるトンべりに、まだ会ってない。

14:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/22(土) 17:10:23 ID:cjGyl/5C
ヒント:ドン・トンベリ

15:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/22(土) 19:50:27 ID:R/0RbnTy
道頓堀って読んだ

16:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/22(土) 20:00:10 ID:h0/AbIH1
トンベリのぬいぐるみがでてるのにはびびった

17:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/23(日) 00:46:44 ID:tTVbixhS
トンベリ&チョコボVSバレット&モーグリ

18:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/23(日) 00:47:21 ID:XCkyeX3C
       〇
           |_   __
       〈oヽ'"   ̄"' /
        ,'        )
      .|  〜  〜   (
      .ミ| (●),(●) )ミ    
  /ヽ、 _ヽ〃  ○ ノ, __  
 (.   ,−'   皿  '__ヽ-ノ   
  V⌒( ヽ        、__'ξ;  
    (、`−'、       )
     ヾ、 ̄ヽ、 '⌒) ⌒)
         ̄ヽ、l 、0ノ _.0ノ
            ヾ`ニニ"~'
           `Y"
トンベリですよ。。。

19:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/23(日) 00:49:34 ID:tujd5EUq
モーグリ最高!!!クポ

20:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/23(日) 01:17:15 ID:tTVbixhS
トンベリ起床
向かった先は・・・

21:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/23(日) 02:02:52 ID:MbzrreEx
ほうちょう下さいな

ヤンの奥さん
「あら?珍しいわねーちょっとあんた!こんなとこにトンベリいますよ」

青ざめるヤン

22:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/23(日) 02:13:39 ID:bSxNsClo
>>1は刺された

23:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/23(日) 02:52:13 ID:XCkyeX3C
蚊に

24:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/23(日) 03:28:35 ID:CR/vPNTS
ティーダが毎回ミンナノウラミ一発で死んじゃう件について

25:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/23(日) 09:09:51 ID:2yCpRgK/
殺されたモンスターどもにも、日々の生活があったはずだ。
仲間と共に外敵と戦い、子供を産み育て…
ある日、それを理不尽に壊された。人間の手によって。
旅するトンベリは、小さな幸せが破壊される無残な光景を
各地で目の当たりにする…

その全ての恨みをその包丁に吸い取らせ、今トンベリが立ち上がった。

26:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/23(日) 10:31:06 ID:XCkyeX3C
>>25
かっこいいな、トンベリ

27:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/23(日) 21:01:19 ID:tTVbixhS
トンベリカッコかわいいよトンベリ

28:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <age> : 2005/10/23(日) 21:05:09 ID:FiWLjS2H
神スレの予感

29:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/23(日) 21:25:00 ID:lhw+0Hyu
トン「あぁ、そろそろ集会の時間か」
バーサ「あぁそろそろカタスマカタナに行かなくてはならない」
そう、今日の月は三日月、トンベリの抑揚の昼間。
トン「よし、ニンタマスルに行こう」
ハヂマ「おい!トンベリ死ぬな、お前がしんだら俺はどうすればいいんだ!」
トン「いや、まだ終わらない、終わらせるわけにはいかない、サタナ、僕の代わりにここに残ってくれ」

30:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/23(日) 21:30:33 ID:+mzTqcth
何故包丁なのか
それは、一番身近にあった凶器だから
平穏を乱された同胞の仇を討つため今トンベリの瞳に狂気が宿る
かつての穏やかで家庭的だったその頃の姿は、もうどこにもない

31:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/23(日) 21:33:44 ID:KE6IAC6c
皆の恨みを連発して街一つ滅ぼしたトン。

32:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/23(日) 22:17:49 ID:XGLzwbnX
6でミネルバビスチェを所有していた経緯を詳しく!

33:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/23(日) 23:19:20 ID:XCkyeX3C
トンベリってなんだ?
何の動物に近いんだ?
トカゲ?

34:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/23(日) 23:19:59 ID:jEEyM3ba
通り魔が可愛くなったみたいな

35:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/23(日) 23:22:16 ID:8O3iLwgc
dべりの元ネタってあるんですか?

36:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/23(日) 23:25:03 ID:06ZTBH7K
FF8でトンベリ倒しまくるのに萎えて、
DISCを一枚ずつ割ったのは漏れだけか?

37:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/24(月) 00:27:32 ID:uPbX0WH5
みんなのうらみで350しかダメージを受けない俺のユウナ(補欠)

38:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/24(月) 02:54:32 ID:YuDih6S4
ドンぺりかと思ってた このスレ見るまで

39:名前:アルテマ : 2005/10/24(月) 21:36:57 ID:vz7hY0h9

 ミ ン ウ の う ら み

40:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/25(火) 00:41:25 ID:dUlGXBfR
これはグロリアの分だ!
これもグロリアの分だ!
これも!これも!これも!これも!…

グ ロ リ ア の 分 だ ァ ー ッ !!

41:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/25(火) 18:58:25 ID:fZA5BNef
グロリアって誰

42:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/25(火) 22:29:59 ID:P40Y9TKJ
>>41
ヒント:JoJoストーンオーシャン

43:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/26(水) 13:09:47 ID:JGI1gIG9
とんべりたまのAAってないの?

44:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/26(水) 15:28:34 ID:vkVXKr1f
゚ )゚

゚ ゚)

45:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/26(水) 20:11:59 ID:LqNSpYhk
トンベリには綺麗な嫁がいて、女の子も生まれてすくすく育ってたんだ。
小さくても、大切な幸せを、一所懸命に働いてトンベリは守ってた。

゚ ゚)「ふうっ、今日も疲れたなあ…ただいま〜」
(^o^*「パパ〜っ!」
;゚ ゚)「おわっ!? ハハッ、ただいま、トンベリィ」
(゚ ゚*「お帰りなさい、あなた」
゚ ゚)「ああ、ただいまトン美。おや、いい匂いがしてるねぇ」
(゚ ゚*「今日はきのこシチュー。あなたのお母様直伝の」

(^o^*「ベリィね、パパと一緒に食べるから、待ってたの!」
゚ ゚)「そうか。待たせちゃってごめんな」
(^o^*「ううん全然平気!パパ早く早くっ!」
゚ ゚)「あ、ああ。ところでトンベリィ、『全然』の使い方が間違って…」
(゚ ゚*「フフフッ。聞いてませんよ。この子ったらもう、お腹ペコペコなんだから」
(^o^*「パパ〜!はーやーくっ!」
゚ ゚)「はいはいっ、と (この顔見ると、疲れも一気に吹っ飛ぶなぁ)」

妻と子供を守るためなら、どんな事でも乗り越えられる。
トンベリは、そう思う。
こんな幸せが、いつまでも続くと思ってた。

でも、この小さくも尊い幸せは、
ある日、無残に壊されたのだった。

46:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/26(水) 20:20:02 ID:SOnLLGHg
期待age

47:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/26(水) 20:24:27 ID:JGI1gIG9
>>45
超期待

48:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/26(水) 20:27:16 ID:xbukqSaK
 

49:名前:45 <sage> : 2005/10/26(水) 21:05:56 ID:LqNSpYhk
ども。続きはまた近々。
にしても、ラストはどう足掻いても悲しくなりそうな気配が…

50:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/26(水) 21:35:16 ID:JGI1gIG9
>>49
いいよ、別に。
しかし台詞のところのAAがかわいいな

51:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/26(水) 21:57:58 ID:Z1CupoOk
童話っぽく書こうと思ったらこりゃどうやっても>>45と話ダブるな。>>45に期待。

52:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/26(水) 22:02:40 ID:JGI1gIG9
>>51
個性ってどう隠しても出てくるもんだから、いいんじゃね?
俺は読みたいが。

53:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/26(水) 22:06:59 ID:UKI7hPEO
   γ⌒ヽ
   ノ   ゚ )
  / `ヾ''´ヽ     +
  ノ  (つ   )つll二フ
  ヽ [()] ノl

54:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/26(水) 22:09:16 ID:keCRHrFq
なかなか

55:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/27(木) 01:31:47 ID:NSihw108
>>53
ありあり〜。

FF7 BCのほぼ頭上から見たトンベリに萌え〜。
ちょこちょこしすぎ。
フツーもっとじわじわじわじわ怨念を・・・。

56:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage >>52ありがとう> : 2005/10/27(木) 22:05:54 ID:vP5qLrG6

 ところであなたはトンベリという生き物を知っていますか?
 わたしは知っています。彼らはそれはそれはへんてこな生き物です。魚のような長い尾ひれを
お尻に付けているのですが、泳ぎの方はからっきし。ペンギンのようにぺたぺたと陸の上を歩き
まわります。それからトンベリはおとなもこどももみんなちびすけなのですが、どっこいアリの
ような力持ちで、見上げるほどのおおきな岩をどかすことだってできてしまいます。かと思うと
転んでしまうとなかなか起き上がれなかったり、さんぽをしてるうちにぼんやりして自分の家を
わすれてしまったり、すっかり間の抜けたところもあり。といった具合に、まあよく分からない
生き物なんです。
 なんだ、こうしてみればわたしだってちっとも分かっていないんじゃないか。実におっしゃる
とおりです。で、ともかくこれはそんなトンベリのお話です。


 一

 秋も終わりに近いある日の朝早く、一匹のトンベリがぺたぺたのろのろと歩いておりました。
冬ごもりを控えて、トンベリたちはたくさんの食べものをとらなくてはいけません。一家の長男
である彼は、早起きをして魚をとりにいくところでした。
 イストリーの滝の洞窟は真夏でもふるえるような寒さで、このぐらいのころにはそこかしこに
つららがしたたるほどです。でも頭のにぶいトンベリには寒さなんていっこう気になりません。
氷のような川にはいりこむと、さっそく魚をとりはじめました。尾ひれを器用に動かして、魚を
次々とすくいあげていきます。のろまのトンベリも、このときばかりは一流の狩人になります。
 えさ場はとてもすいていたので、魚はみんな彼の独占でした。普段ならこの川にはたくさんの
トンベリが集まって、群がるように魚をとるのです。なにしろこの洞窟には、それはおおぜいの
トンベリが住んでいるのです。こんな寒いところには、彼らの天敵になるような生き物もやって
きません。ですからトンベリ達はみんな安心して、のんびりぺたぺたと暮らしているわけです。
でも、このところはあまりほかの仲間を見かけません。きっともう冬ごもりに入ってしまったの
でしょう。トンベリはのんきに尾を振っていました。

57:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage >>52ありがとう> : 2005/10/27(木) 22:06:33 ID:vP5qLrG6
 川辺に山とつみあがった魚に満足して、たらふく腹ごしらえをしたのち、トンベリは食べ物を
かかえてきた道をもどりはじめました。
 家族はまだ寝ているのでしょうか。これだけあれば、お父さんもお母さんも、それから小さな
兄弟たちもお腹いっぱいになれるでしょう。みんなの顔を思いうかべると、トンベリののろまな
歩みも心なしか早まるのでした。
 さて、ようやく我が家がみえてきたところでトンベリは首をかしげました。ほら穴の奥の方に
なにやらチカチカしたものが見えるのです。それはくらい洞窟のなかで生きてきたトンベリには
見たことのない火の灯りでした。それからもっと歩いていくと、家のほら穴の入り口でいちばん
末っ子の弟が寝ころんでいました。さっそくトンベリは弟の顔をたたいたり、上にのっかったり
して起こそうとしました。魚を見せびらかしてやろうと思ったのです。ところがねぼすけの弟と
きたら、いっこうに起きません。
 ふと、トンベリは弟のお腹になにかが出っぱってるのを見つけました。筒みたいなかたちで、
まるで立派なへそがついているように見えます。こんなものは、トンベリのお腹にもお父さんの
お腹にもお母さんのお腹にもついていません。弟だけ特別なものをつけているのがうらやましく
なったトンベリは、それをつかむやいなや、えいと引っこ抜いてしまいました。
 するとどうでしょう。弟のお腹から、赤いどろどろしたものがぴゅうぴゅうと吹き出してきた
のです。噴水のように吹き出すどろどろのせいで、弟のからだはみるみるうちに真っ赤になって
いってしまいました。
 これにびっくりしたトンベリはおおあわて。引っこ抜いたそれをもとに戻そうとしましたが、
どろどろがじゃまでうまく戻せません。それによくみると、でっぱりは思ったよりずっとながく
とがったもので、おへそとは全然ちがうものでした。
 そのとき、ほら穴の奥からさっきのチカチカが近づいてきました。だんだん目が慣れてくると
チカチカは、大きな生き物の手の先っぽにくっついてることに気がつきました。大きな生き物は
他に二匹いて、どれもみんな変てこな色の毛皮をかぶっておりました。
 耳をすますと、三匹はこんなことを話しあっていました。

58:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/27(木) 22:08:29 ID:vP5qLrG6
「これで六匹か。なかなか大漁じゃねえか」
「まったくだ、これで当分は贅沢暮らしが出来るぜ」
「こいつらの皮は高く売れるからなあ」
「ここいらのはあらかた獲り尽くしちまったって話だったじゃねえか?」
「だから言っただろう。噂なんて頼りにならねえってよ」
「けっこうけっこう、おいそろそろ帰ろうぜ。ここは寒くてたまらねえや」
「賛成だ。早いとこ残りの一匹の皮を剥いで引き上げよう」

 もちろんトンベリには生き物たちがなにを話しあっているのかちっともわかりませんでした。
ただ、生き物からは自分の家族と同じにおいがしたので、きっとみんながどこにいるのか知って
いるだろうと思いました。これだけ魚をあげればきっと教えてくれるだろう、と思いました。
 ぺたぺたという足音に気づいた生き物たちは、今度はこんなことを言っています。
「おい、見ろよ。まだ一匹いるじゃねえか」
「しかも昼飯のみやげ付きだぜ」
「カモがネギしょってくるたあこのことだな。お、ありゃお前の肉切り包丁だろ」
「違いねえ。おう、気が利くなあチビスケ。わりいがちょっとそいつをこっちに貸してくれや。
 なに、すぐにお前の腹に返してやるからよ」
「ははは」
「ははは」
 一匹が嬉しげな様子で近づいてきたので、トンベリは魚が気に入ってもらえたのだと思って、
安心して近づいていったところ、ふと、生き物のお腹のところに、弟とおんなじ赤いどろどろが
ひっついているのを見つけました。
 そうしてトンベリは思いました。このでっぱりは、もともとこの生き物のお腹にあったのかも
しれない、と。

59:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/27(木) 22:14:20 ID:vP5qLrG6
「ぐへ」
 トンベリがでっぱりをおしこむと、生き物はにぶい変な声を出しました。またあのどろどろが
生き物の口やお腹からたくさん吹き出してきました。それからトンベリはきょろきょろと辺りを
見回しましたが、やっぱり家族はいませんでした。でっぱりをもとに戻せば、家族が見つかると
思ったのです。ちゃんと戻さなかったのが悪かったのでしょうか。トンベリは何回もでっぱりを
おしこみなおしてみました。それでも生き物は変な声を出すばかりで、やがてばったりと倒れた
まま動かなくなってしまいました。
「うわああ!」
「こ、このやろおお!」
 それを見て残りの二匹がいきなり騒ぎはじめました。そうして、細長いものでトンベリの頭を
強く殴りつけました。
 けれど頭のにぶいトンベリにはちっとも感じません。それからトンベリは、その一匹のからだ
にもたくさんのどろどろを見つけました。
「ぎゃあああ」
「ひいぃいいーーーーっ!」
 さっきのと同じように変な声を出した一匹は、そのうちさっきのと同じように動かなくなり、
最後の一匹は一目散にほら穴の外に走っていきました。そしてそのまま戻って来ませんでした。
 トンベリは、そのまま長いことその場にじっとしておりました。いなくなってしまった家族が
帰ってくるのを待っていたのです。長いこと長いこと、やっぱり家族は帰ってきませんでした。
 トンベリは困りました。とても困ったので、考えました。長いこと長いこと考え込みました。
そのうち、やっぱりこのでっぱりをもとの場所に戻さなくちゃいけないんだな、と思いました。
でもでっぱりがいったいどこにあったのか、さっぱり見当もつかなかったので、トンベリは家の
外にさがしに行くことにしました。ほら穴の出口のところで、トンベリは動かない弟のからだを
ふんづけました。弟のからだにこびりついていたどろどろが固まって、まるで黒ずんだ岩のよう
でした。トンベリはぺたぺたのろのろとそれを乗り越えて歩いていきました。トンベリの小さな
脳みそは、それが弟であったことなどもうわからなくなってしまっていました。

 そうしてトンベリは家族をさがして洞窟をさまようことになりました。
 生き物たちが置いていった、「でっぱり」と「チカチカ」をもちながら。

60:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/27(木) 22:19:41 ID:lRHeset4
トンベリの初仕事だ(((( ;゜Д゜)))

61:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/27(木) 22:38:13 ID:kBQVB/JT
>>56-59
神じゃ、神が降臨なされた・・・!

62:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/27(木) 23:08:53 ID:mJXOIPN8
言葉に出来ない・・・

63:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/27(木) 23:20:39 ID:mJXOIPN8
「でっぱり」をどこに戻すんだろ。気になる。
とりあえず、お疲れ様でした。

64:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/27(木) 23:33:48 ID:lRHeset4
トンベリのマウスカーソル見付けたんで、どうぞ
http://www.ix.sakura.ne.jp/~yoshi/toukou/tonberi.htm

65:名前:297 <sage> : 2005/10/27(木) 23:42:22 ID:vP5qLrG6
ff6 - 21 figaro

「お待ちなさい」

 鋭い声に振り向くと、声に違わず厳しい面持ちの老女がティナと兵士を睨んでいた。
「これは…神官長様」
 些か気を浮かせていた兵士は声を取り直し、深く頭を垂れた。ティナが自分もそれに
習うべきか迷っているうちに、老女はさらに言葉を詰める。
「そちらの女性はどなたです?」
 チラリとティナを一瞥してから、老女は鋭い視線を兵士に戻す。
「は。こちらは、エドガー様の…」
「あぁ! もう結構、聞いた私が馬鹿でした!」
 苛立たしい、うんざりだという仕草で頭を振る老女。そしてまたチラリとティナを見た。
「あなたはもう下がって結構です。他に仕事が無いわけでもないでしょう?」
「は……ですが、こちらの方のご案内を…」
「この方のことは私が責任を持ってお引き受けします。さあ!」
 凄みを利かされて、寡黙な兵士は足早に引き上げていった。どうやら神官長と呼ばれる
この女性は、ここではとても発言力のある人物らしい。
 ……でも、どうして?
 ティナはますます困惑するばかりだった。というのは、人の感情の機微に疎い彼女にも、
先程からちらちらとこちらを窺う老女の視線は、明らかに敵意のそれであると分かっていた
からだ。
 どうしてこの人は、怒っているんだろう?
「……それで!」
 二人きりになると、老女の口調はますます棘を帯びる。
「一体あなたはどこの街から連れてこられたのですか!?」
「え…?」

66:名前:297 <sage すいません…> : 2005/10/27(木) 23:43:36 ID:vP5qLrG6
誤爆です。
すいません、ホントにすいません。

67:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/27(木) 23:48:05 ID:lRHeset4
他んとこも書いてんのか
ご苦労さんですw

68:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/28(金) 00:11:21 ID:67s8UEh/
>>66
これどこのスレに書き込んでるんだ?
面白そうだから見に行きたいんだが
FF6好きだし
よかったら教えてくれ

69:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/28(金) 00:32:22 ID:WFu5wR9L
ID:vP5qLrG6
本当に神ですな・・・・
新作期待してますので頑張ってください

70:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/28(金) 23:05:55 ID:C2Dc8sI3
>>51で遠慮ぶっておいて、長文投稿か。
>>45が不憫だな。

71:名前:45 <sage> : 2005/10/29(土) 00:00:20 ID:3ZYnyL+3
>>56
乙っす。すげー!
頭の中でゴリッて音がするような、
トンのなんとも言えない狂気というか異質感が出てる。
俺はここまでは描けん…

72:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/29(土) 00:56:20 ID:NIW0E2yY
文体が無垢なだけいっそうこええええええ。
ところで>56の

> 一  ←コレ

> 秋も終わりに近いある日の朝早く、一匹のトンベリがぺたぺたのろのろと歩いておりました。


単なる区切りかと思ってたけど、実は漢字の一か?
てことはまだ続く?

73:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/29(土) 01:08:04 ID:P2b9fy0Q
>>56
なんか別役実を思い出した・・・

74:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/29(土) 18:01:52 ID:aEjHMY8q
凄いな

75:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/29(土) 22:54:10 ID:GNEcz5/d
>>68

http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1125830783/
ここらしい。

76:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/10/30(日) 18:43:41 ID:srd8FRrs
期待age

77:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/31(月) 03:19:48 ID:jRe714Tz
新作マダー?

78:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/31(月) 07:29:43 ID:244uQgHf
それは週末、夕方の事だった。
いつものように一週間の仕事を終え、いつものように仲間と少し飲んで、
いつものように家へ帰ると、いい匂いがして、元気な声がして…
そんな当たり前の日常が、いつまでも続くはずだった。

゚ ゚)「トン作。今日は帰るよ」
(゚ω゚#「おいおい、まだ始まったばかりじゃねーか」
゚ ゚)「いやね、子供の誕生日なんだ。ケーキ予約してあるから買って帰らなきゃ」
(゚ω゚ 「そっか。ベリィちゃん幾つになるんだ?」
゚ ゚)「5歳だよ。もうすぐ小学校」
(゚ω゚*「早いもんだなぁ…トロいお前が俺達の憧れ・トン美ちゃんと結婚するって決まった時は驚いたもんだが…」

゚ ゚)「あの時は参ったよ。トン作達めちゃめちゃ酔っ払って俺を池に落とすんだもん」
(゚ω゚#「当然だゴルァ!!また思い出したぞ。こんの幸せモンがああっ!独り者をなめんな!」
;゚ ゚)「あ、あの…帰るね」
(゚ω゚ 「一杯だけ、な?」
゚ ゚)「もう…じゃあ、一杯だけね」
(゚ω゚*「おしっ!こいつは祝杯だ。ベリィちゃんの誕生日に乾杯〜!」
゚ ゚)「そういう事だったか。ありがとうトン作」

79:名前:45 <sage> : 2005/10/31(月) 07:52:25 ID:244uQgHf
遅れてスマソ
更新ペースもトンベリ並だなこりゃ(´・ω・`)

80:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/10/31(月) 11:49:31 ID:dXixgRx/
乙。このささやかな幸せもそのうち…なのか…

81:名前:保健委員 <sage> : 2005/10/31(月) 22:42:20 ID:9v5hac43
>>78
乙!
しかしこんな話を読まされちゃ、ゲームでトンベリを倒すのもためらわれる・・・。
あと、酔っ払って池に落とすってw

82:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/01(火) 03:47:40 ID:/fyqvd2i

 二

 それからずいぶんとたくさんの時間がたちました。
 たくさんの冬が過ぎ、たくさんの春がおとずれました。
 トンベリは数をかぞえるのがとても苦手です。わかるのは家族の人数の「六」までだけです。
 それ以上はぜんぶ「たくさん」です。百でも千でも一万でも、みんな「たくさん」です。
 トンベリが家を出てから「たくさん」の時間がたちました。

 洞窟のようすはすこしばかりかわっていました。どこからともなく変てこな生き物がいっぱい
やってきたのです。ぐにゃぐにゃしたのやらカチカチしたのやら、大きいのやら小さいのやら、
ずんぐりむっくり、やせっぽちのやら、ほんとうに変てこな生き物ばかりでした。
 トンベリは喜びました。これだけいれば、きっとだれかにでっぱりが当てはまるにちがいあり
ません。それでなくとも、きっとそのうちのだれかが家族の居場所をしっていると思いました。
なにしろ家を出てからというもの、トンベリは毎日毎日洞窟のかべや地面にすき間をみつけては
せっせせっせとでっぱりをおしこみつづけ、洞窟のすき間というすき間ももうとっくにおしこみ
尽くしてしまって、さっぱり困り果てていたのです。
 さっそくトンベリは生き物たちに話を聞こうとしました。ところがざんねんなことに、これは
ちっともうまくいきませんでした。生き物たちはみんなへんくつで、トンベリが見えないような
振りをしたり、いきなりかぶりついてきたりしました。しかたないのでそういう生き物たちとは
でっぱりをおしこんでみてから別れました。でっぱりをおしこむと、きまって生き物は動かなく
なることをトンベリはまなんでいました。ですから、おしこむのは話を聞こうとしたあとです。
 おおぜいの生き物たちと出会いました。でもだれひとりとして家族のことをしっているものは
いませんでした。だれひとりとして、でっぱりの当てはまるものはいませんでした。
 ですがたった一匹だけ、すこし変わった生き物がおりました。

83:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/01(火) 03:49:01 ID:/fyqvd2i

 トンベリが昔すんでいたほら穴に久しぶりにもどったときに出会ったその生き物は、やっぱり
変てこなかたちをしていました。岩みたいなからだだったので、最初トンベリはほら穴のかべと
生き物の区別がつきませんでした。
 岩みたいな生き物は、トンベリの左手のチカチカをめずらしそうに見ていました。トンベリは
しばらく考えてからそろそろと生き物に近づき、チカチカをかしてあげました。生き物はそれを
興味深そうにいじくりまわしてから、ようやくトンベリに目をもどしました。生き物は見えない
振りも、かぶりつきもしませんでした。トンベリは安心して話しはじめました。
 生き物は声をもってませんでした。だいたい生き物には口がなかったのです。でもトンベリは
ちっとも困りませんでした。もともとトンベリも言葉を知らない生き物ですから身ぶり手ぶりで
言いたいことを伝えるのは慣れっこなのです。
 トンベリは小さなからだをバタバタさせて懸命に話しました。けれど、何といってもはじめて
会った生き物同士です。それにトンベリの話ぶりはお世辞にも上手とは言えなかったので、話は
ずいぶんと時間がかかりました。
 でも、岩みたいな生き物はとても親切な生き物でした。それからまた、とても辛抱強い生き物
でした。生き物がじいっとトンベリの話に耳をかたむけていてくれたので、なんとかトンベりが
探し物をしているということだけは伝えられたようでした。そうして生き物はこう言いました。
いえ、もちろん声に出していったわけではありません。トンベリと同じように身ぶり手ぶりで、
とにかくこんなことを言いました。

「この滝の洞窟には、僕や君よりもずっと昔から住んでいる不思議な生き物がいるんだ。
 その古い大きな生き物は、この洞窟のなかを流れる川が行き着く先、一番奥にいるらしいよ。
 僕は君の探しものを知らないけれど、その生き物ならきっと知っているんじゃないかな?」

84:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/01(火) 03:49:56 ID:/fyqvd2i

 トンベリは首をかしげました。そんな生き物がいるなんて、トンベリはもちろん、お父さんや
お母さんだって知りませんでした。でも本当にそんな古い生き物がいるのだとしたら、たしかに
その生き物は何でも知っていそうな気がしました。
 トンベリはおれいに魚をとってあげたいと言いました。生き物は首をふって、魚は食べないと
言いました。それなら何を食べるのかと聞きました。生き物はまた首を振って、何も食べないと
言いました。
 トンベリはよくわからなくなったけれど、ぺこりと頭をさげて生き物におれいを言いました。
それから忘れずにでっぱりを生き物のお腹におしこんでみてから、生き物に別れをつげました。
 しばらくして、トンベリがチカチカを忘れたことに気づいてもどってくると、親切な生き物は
やっぱりそのまま動かなくなっていました。かべにもたれて本物の岩そっくりになってしまった
生き物に、トンベリが気づくことはありませんでした。

 それからトンベリは生き物に言われたとおり川にやってきました。毎日魚をとりつづけてきた
川でした。でもこの川がどこまでつづいているのか、トンベリは知りません。トンベリは一度も
いったことのない川下にむかって、ザブザブと川のなかを歩き出しました。
 川の流れはだんだん速くなってきました。おまけに川はどんどん深くなっていって、そのうち
トンベリは足がつかなくなってしまいました。そのときになってようやく自分は泳げないことを
思い出しましたが、もうあとの祭りでした。でっぱりとチカチカを両手にもったままでは満足に
もがくこともできず、トンベリはいっそう激しくなる川の流れにはこばれてゆくばかりでした。
 そのうちに、だしぬけにトンベリは外にほうり出されました。川の流れが終わったのです。
投げ出されたトンベリは滝つぼめがけてまっさかさま。すきとおるような水の色をみつめながら
そのまま気を失ってしまいました。

85:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/01(火) 03:51:12 ID:/fyqvd2i
レスありがとうございます。
FF?」をやったことのない人には少し分かりづらい展開になるかもしれません…。

86:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/11/01(火) 07:59:10 ID:VnDpunF+
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!

87:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/01(火) 17:23:41 ID:pnnrCXY2
キテタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n`∀`)η゚・*:.。..。.:*・゜゚・* !!!!

88:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/11/02(水) 01:02:35 ID:CchlivPE

 三

 気がつくと、トンベリは見慣れない場所にいました。
 一度もきたことのないところでした。まわりにはぐるりと滝があって、大きな湖に流れこんで
いました。トンベリはその真ん中に浮かんでいるまあるい島の上に、ぽつんと立っていました。
 島の真ん中には、つやつやぴかぴかした石の台がありました。その上に、平らなかたちをした
石が一枚、誰かがわざと置いていったみたいに乗っていました。石にはみみずみたいなもようが
いっぱい刻まれていて、さわってみるとまるで生き物みたいなあたたかい手ざわりがしました。

「それに触れてはいけない」

 ふいに頭のなかへ話しかけてくる声がありました。トンベリはびっくりしてあたりを見回して
みましたが、何も見当たりません。あいかわらず大きな滝が見えるだけです。そうやってキョロ
キョロしていると、また声が聞こえました。
「その石版はお前には用の無いものだよ。さあ、こっちにおいで」
 その声がおわったとたん、とつぜんあたりはしんとしてしまいました。さっきまでザアザアと
あんなにうるさかった水音は、蓋をしたようにぴたりとやんでいました。でも不思議なことに、
水はちゃんと流れているのです。
 そうしてしずかになった滝の一つがやがてぽっかりと口を開けました。そのなかから、大きな
口が出てきました。生き物の口でした。
「さあ、おいで。ここへ来てお前のことを話しておくれ」
 滝から出てきた大きな生き物はそう言いました。その声はとても不思議な音色をおびていて、
水を紙にひたすように優しくトンベリの頭にかたりかけました。言葉を知らないトンベリにも、
なぜだか生き物がどんなことを言っているのかはっきりとわかりました。

89:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage あげちゃった、すいません…> : 2005/11/02(水) 01:03:48 ID:CchlivPE

 トンベリは生き物の姿を見て、川で魚をとっていたときにときどき見たことがあった、細長い
ニョロニョロした生き物のことを思い出していました。二匹はとてもよく似ていましたが、目の
前の生き物の大きさはそれとは比べ物にならないものでした。トンベリの家族がみんなくっつき
あったよりもずっと大きそうです。それでも生き物は湖から首を出しているだけなのです。
 トンベリは、この生き物こそが「古い大きな生き物」なんだと思いました。すると生き物は、
トンベリの考えていることを見すかしたようにまた言いました。
「そうだ、私はずっと昔からここにいる。お前のお父さんも、そのまたお父さんも、ずっと前の
お父さんも、みんな知っているよ。もちろんお前のことも知っている」
 トンベリはまた驚いてしまいました。トンベリだってもちろんお父さんだって、この生き物に
会ったことなんか一度もなかったのです。それどころか、あの岩みたいな生き物に聞くまでは、
ここに生き物がすんでいることだって知らなかったのです。それなのに、どうして生き物の方は
トンベリのことを知っているのでしょうか。
 でもトンベリはすぐに納得しました。生き物の声を聞いていると、まるでお父さんが目の前に
いるような気分になるからです。ですからトンベリは、この生き物はきっと自分のいちばん古い
お父さんなんだろうと思いました。
「お前は賢い子だ」
 生き物は優しくほほえみました。トンベリはまたお父さんがそこにいるような気分になって、
それで家族のことを思い出しました。さっそくトンベリはそれまでのことを話しはじめました。
ほら穴にやってきた生き物たちのこと、いなくなった家族のこと、でっぱりのこと、岩みたいな
親切な生き物のこと。古い大きな生き物はずっとほほえんだまま、けれどなんだかかなしそうな
目で話を聞いていました。やがて生き物は言いました。

「私にはお前の家族のいる場所を教えてやることが出来ない」

90:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/02(水) 01:05:01 ID:CchlivPE

 それでまたトンベリはひどく困ってしまいました。
 生き物が「知らない」ではなく「教えてやることが出来ない」と言ったからです。どうすれば
教えてもらえるのか、なにかおれいをしようにも、湖には魚がいないようでしたから、自分には
何もあげるものがありません。
「いいや、私は何もいらない。お礼をする必要なんてないのだよ」
 トンベリは首をひねりました。このごろ出会う生き物は、みんな何もほしがらないものばかり
です。それでは、どうしたら教えてもらえるのでしょうか。
 すると、生き物はぐっと首をのばしてトンベリに顔を近づけました。
「よくお聞き」
 生き物の顔は間近で見るとずっと大きく見えて、トンベリはぱくりと食べられてしまいそうな
気がしました。水のように青くきれいな瞳が、水晶の玉のようにトンベリの姿をうつしながら、
ほのかにかがやいていました。
「お前はたくさんの罪を犯してしまった。罪とは悪いこと、価値を持たないおこないのことだ。
それはお前によって齎(もたら)された罪ではなかった。だがお前は、購わなければならない。
そのために、時が来るまでお前は彷徨い続けなければならないのだ」
「私はお前の家族がどこにいるか知っている。だが私にはそれをお前に教えることはできない。
それはお前自身が悟らなければならないこと、お前にしか出来ないことなのだよ」
「私の言っていることはあるいはお前には理解できないかもしれない。だから必要なことだけを
教えてあげよう。よく聞きなさい。でっぱりを押し込んではいけない。壁だろうと地面だろうと
生き物の身体だろうと、お前がはっきりと、そこにでっぱりが当てはまると確信しない限りは、
決して押し込んではいけない。その時はすぐに訪れる。お前がでっぱりのことも、家族のことも
全て悟り、お前の贖罪が終わる時はもうすぐやってくるだろう。だから約束しておくれ。決して
もうでっぱりを押し込まないと」

91:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/02(水) 01:06:04 ID:CchlivPE

 生き物の言うとおり、トンベリには生き物の話がちっともわかりませんでした。
 どうして生き物が家族のいる場所を教えてくれないのかも、どうしてでっぱりを押し込んでは
いけないのかも、生き物の言った「罪」という言葉の意味もわかりませんでした。
 でもトンベリはうなずきました。頭のにぶいトンベリは、うたがうことを知りませんでした。
それに生き物のいった「もうすぐ」というのは、「たくさん」よりもずっとみじかい時間のこと
らしかったので、トンベリはうきうきしていました。

「ありがとう。私もお前の優しさに報いよう」

 そう言うと生き物は、とつぜん首を大きくもたげ、トンベリの右手のでっぱりにむかって首を
振りおろしました。ずぷりとおもたげな音がして、でっぱりが生き物の首におしこまれました。
生き物の首から赤いどろどろがしたたり、それといっしょにぴかぴかしたものがでっぱりの先に
こびりつきました。生き物は首をでっぱりから引き抜くと、ぽかあんとしているトンベリの目を
のぞきこみました。
「これが私の約束の証。その刃の先についた私の血と鱗を見るたびに、私との約束を思い出して
おくれ」
 トンベリはうなずいて、ありがとうと言いました。
 生き物はまた、あの優しいほほえみをうかべました。
「目を閉じなさい。お前の家まで送り届けてあげよう」
 言われたとおりトンベリは目を閉じました。すると、まるで逆さまにおっこちてゆくみたいに
からだがぐいっと上に引き上げられていきました。でもトンベリのまわりを不思議にあたたかい
水のようなものがくるんでくれていたので、トンベリはすっかり安心して、いつのまにやらまた
気を失っていました。

「願わくば、お前の罪が赦されんことを」
 生き物の小さなつぶやきは、トンベリの夢のなかにとけていきました。

92:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/11/02(水) 07:52:49 ID:mu0mA0SB
うおおおっ!トンベリ様!SS職人さん乙!
すごい、すごいよ!

93:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/11/04(金) 06:07:36 ID:QpirQSGc
乙です。FFずいぶん昔にやったから生き物たちが何だったのかわかりませんが、
トンベリが可愛くて、そして悲しい。命を懸けて約束を交わした彼も悲しい。
でもあたたかい。そんな不思議な感じがしました。
これからトンベリどうなるのかな…

94:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/04(金) 16:58:17 ID:2zmy0sI7

 四

 トンベリはまた元のほら穴にかえってきました。ほら穴はやっぱり出ていったときのままで、 
思いかえしてみると、あの川の向こうでのできごとがなんだか夢ののようでした。でも、右手の
でっぱりには赤いぴかぴかがこびりついていて、それでトンベリは古い大きな生き物との約束を
思い出しました。
「でっぱりを押し込んではいけない」
 トンベリはほら穴の奥にぺたんとこしを下ろして、そのままぼんやりすることにしました。
 でっぱりをおしこんでまわるのをやめてしまうと、トンベリにはまるですることがなくなって
しまいました。ときどきお腹がすくと川へ魚をとりにいって、それ以外はずうっと洞窟のなかで
ぼんやりとしていました。
 出口の穴から、ときおりとおりすぎる生き物の姿をみかけることもありました。そんなとき、
トンベリはうっかりとび出しかけてから、でっぱりについた赤いぴかぴかを見てあの生き物との
約束を思い出してふみとどまるのでした。
 やがて、季節は秋の暮れにさしかかりました。その日はトンベリも洞窟のなかから出てきて、
朝からばんまで川で魚をとりつづけていました。冬ごもりのじゅんびをしているのです。
 トンベリは家族がいなくなったあの日からかたときも休まずに洞窟を歩きつづけてきました。
きびしい冬が訪れても、やすらかな春が戻ってきても、トンベリの毎日はかわりませんでした。
冬ごもりはおろか、ねむることもなく、ひたすらにぺたぺたのろのろと歩きつづけてきました。
そうしてむかえた冬ごもりは、何年ぶり、何十年ぶり、いいえ、何百年ぶりのことでしょうか。
それはそれは「たくさん」ぶりの冬ごもりでした。
 トンベリは手にいっぱいの魚を何度も何度もほら穴にはこびこみ、それからほら穴の入り口に
たくさんの岩をつみ上げて、さいごには穴のなかからすっかりふたをしました。これでしたくは
ぜんぶおしまいです。トンベリはかたい岩のベッドにころんとねころがって、目を閉じました。

95:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/04(金) 16:59:35 ID:2zmy0sI7
 ひとりぼっちの冬ごもりでした。いくらねがえりをうってみても、いっしょにねている家族と
ぶつかって、せまっくるしい思いをすることはありませんでした。のびのびとねむれるのです。
魚は山のようにつみあげてありました。兄弟たちとごはんをとりあう心配も、もうないのです。
早起きして毛づくろいをしなくても誰もなんにもいいませんでした。

 ちいさなちいさなトンベリのほら穴。

 そこはちっぽけで、くらくて、トンベリにはあまりにも、あまりにも広すぎました。


 やがてトンベリは夢を見ました。
 夢のなかでは、末の弟がひるねをしているトンベリの上でとびはねていました。見ると、弟は
尾ひれをバタバタとさかんに振っています。これは弟がお腹がへったり、たいくつしたりして、
何かしてもらいたがっているときのおきまりのしぐさなのです。トンベリはまだねむたかったの
ですが、どうせこのままではねむらせてもらえないということも知っていたので、ほら穴をでて
魚をとりに川へと歩いていきました。すると、川への道のまんなかに、あの岩みたいな生き物が
たっていました。
「僕は君の探しものを知らないけれど……、あの生き物たちは知っているみたいだよ?」
 岩みたいな生き物はそう言って、トンベリのうしろをしめしました。トンベリがふりむくと、
三匹の大きな生き物がトンベリのほら穴にむかって歩いていくのが見えました。
 トンベリはひきかえしました。トンベリの歩みはのろかったので、トンベリがやっとほら穴に
ついたときには、生き物たちの姿は見あたりませんでした。すると弟がトンベリのにおいをかぎ
つけて、穴から出てきました。

96:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/04(金) 17:00:16 ID:2zmy0sI7

 そこから。
 とつぜんトンベリの目にはけしきがひどくゆるやかにうつりました。
 弟のうしろから、一匹の大きな生き物がでてきました。
 弟はたちどまり、振り向きます。
 見たことのない生き物におどろいたようすで、弟は嬉しそうに生き物に近づいていきました。
 生き物の方も嬉しそうに弟に近づいていきました。
 トンベリは、じっと見ていました。見ているだけでした。
 生き物が変てこな色の毛皮のなかから、あのでっぱりをとりだしました。
 弟は尾ひれをバタバタと振っています。
 そして。
 生き物は弟のお腹にぐいっとそれをおしこみました。
 弟はころころところがって、トンベリのあしもとまでころがって動かなくなりました。
 やがて生き物は、誰かによばれたように穴の奥に戻っていきました。


 トンベリはそれから自分が何をするのか、知っていました。
 それは、どうしてかとてもとてもやりたくないことでした。

 でも。
 やっぱり彼はでっぱりに手をかけると。


 弟のお腹から、それを引き抜いてしまうのでした。



97:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/04(金) 17:01:17 ID:2zmy0sI7


 目をあけると、天井のこおりがとけていました。
 せせらぎの音がここまでとどいています。あくびをしてもそもそとおきあがり、入り口の岩を
どけてみると、洞窟のあちこちにコケがふえていました。
 冬ごもりがおわり、春がやってきたのです。

 トンベリはねおきのぼんやりとした頭でほら穴のなかに目を戻しました。
 トンベリがねていた場所のすぐ横に、白いカラカラしたものがいくつもころがっていました。


 トンベリは川にいきました。あの古い大きな生き物が言っていた「もうすぐ」のときが、もう
すぐそこまで来ているような気がしたのです。家族がかえってきたら、さぞかしみんな、お腹を
すかせているはずです。なんといっても、家族でいちばん魚とりがうまいのはトンベリなのです
から、みんなはろくに魚もとれていないにちがいありません。ことに末の弟などはまた尾ひれを
バタバタいわせていることでしょう。久しぶりにたっぷりとねむったので、トンベリのからだは
ぴんぴんしていました。ぺたぺたのろのろが、ぺたのろになるぐらい元気でした。この具合なら
魚もたくさんたくさんとれるでしょう。
 トンベリはようようと川辺にたどりつき、そして足を止めました。

 トンベリの目にうつる対岸に、四匹の大きな生き物の姿がありました。

98:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/04(金) 17:02:22 ID:2zmy0sI7
やっぱり伝えられなかった部分があったようなので補足しますと、
岩みたいな生き物は凡モンスター。古い大きな生き物はリヴァイアサンです。

99:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/04(金) 22:42:33 ID:Ctt73wIX
キタキタキタ━━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!!!!!!!!!!!

100:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/11/05(土) 00:08:05 ID:IW1u0i1L
超期待age

101:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/05(土) 17:04:21 ID:1HN0za8w
補足入った先からなんだけど、白いカラカラってなに?

102:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/05(土) 20:37:10 ID:anPMm9l4
骨だと思って読んでたけど

103:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/11/05(土) 20:52:41 ID:1HN0za8w
あ…そうか。言われてみりゃ骨だよな。
……それ切ないな。

104:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/06(日) 12:44:42 ID:I5eC7Hgu
「岩みたいな生き物」はギルガメだと思って読んでたよ。
出現場所は全然違うけど、トンベリに何か言えるレベルのモンスターで、
外見も岩っぽいから。

それはさておき、超期待保守

105:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/06(日) 12:58:41 ID:as/HbVO9
 五

「寒い……」
「大丈夫、クルル?」
「おい、バッツよぉ。ほんとにこんなとこに石版があんのか?」
「俺に聞くなよ。本に書いてあるんだからしょうがないだろ」

 四匹の生き物たちはぺちゃくちゃとしゃべくりあいながら、仲のいいようすで川岸をならんで
歩いていました。先頭を歩いているのがいちばんののっぽ、その後ろをトンベリより少し大きい
くらいのが一匹、あとは中くらいのが二匹つづいていて、そのずっと後ろをトンベリがぺたぺた
歩いていました。彼らが何を話しあっているのか、トンベリにはやっぱりわかりませんでした。
でもそんなことはトンベリにはどうでもいいことでした。
 この生き物たちだ。トンベリは小さな頭のなかで、はっきりと確信しました。でっぱりが当て
はまるのは、この生き物たちにちがいない。トンベリは確かめるように何度もうなずきました。
 なぜなら四匹はそっくりだったのです。変てこな毛皮といい、鳴き声といい、からだといい、
ぜんぶがです。あの日ほら穴にやってきてでっぱりとチカチカを置いていった生き物にそっくり
だったのです。ですからきっとこの生き物とあの生き物は、同じ家族にちがいありません。
 家族のもちものは、みんなのもち物です。それなら、でっぱりはこの生き物たちのもち物でも
あるはずです。トンベリの家だってそうです。トンベリがとった魚は家族の魚で、家族のとった
魚はトンベリの魚でした。
 トンベリはでっぱりをにぎりしめました。でっぱりの先についた赤いぴかぴかが、ちらちらと
トンベリの目をつつきました。トンベリはそれにもかまわず、どんどん歩いていきました。
 古い大きな生き物は言いました。はっきりと確信していないのなら、でっぱりをおしこんでは
いけないと。確信しているのなら、でっぱりをおしこんでもよいのです。約束をやぶることには
ならないはずです。

 不思議なことに、トンベリはこの生き物たちに家族のいるところを聞こうとは、まるで考えも
しませんでした。トンベリの頭はとりつかれたように、生き物たちにでっぱりをおしこむことで
いっぱいでした。

106:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/06(日) 12:59:42 ID:as/HbVO9

「道がないな……どうやらこの川に飛び込まないと先に進めなさそうだ」
「ええー」
「おいおい、勘弁してくれよ。この寒さで……」
「バッツ、先に見てきてよー」
「そうだな……いや、こういうのはやっぱり海賊のお頭が適任だと思う。な、ファリス?」
「……お前な、少しは女性に対する気遣いってもんが」
「女性? どこに?」
「殴るぞ」
「ちょっと……、二人とも!」
 生き物の一匹が声を上げると、ようやく生き物たちはみんな後ろから近づいていたトンベリに
気づいたようでした。すると、生き物たちはみんなばらばらにちらばって、トンベリのまわりを
ぐるりとかこむようにはなれていきました。みんながみんな、ぴったり同じだけはなれていった
ものだからトンベリはどっちへいったらいいのか困ってしまい、四匹の生き物をかわるがわるに
見わたしました。
「………サンダガ!!」
 中くらいの一匹がいきなり大きな声を出したかと思うと、トンベリの頭の上からビカビカした
青白い光がいきおいよくふってきました。ぴりぴりとした感じがトンベリのからだをかけぬけて
毛がさかだちました。でも頭のにぶいトンベリはそれ以上なんにも感じません。
「嘘だろ!? …ファイガッ!!」
 同じ生き物がまた大きな声を出しました。今度は、トンベリのもっているチカチカをそのまま
大きくしたような真っ赤な火の玉がトンベリに向かってとんできました。大きな火のかたまりは
トンベリのからだをすっぽりつつみこんで、それから小さなこげあとをのこして、消えてしまい
ました。生き物たちはみんな、大口を開けてびっくりしていました。
 長い長い時間、トンベリはこごえきった洞窟のなかをずっとやすまず歩きつづけてきました。
ときにはくずれてきた岩山の下じきになったり、ときには生き物たちにかぶりつかれたりして、
そうして、今ではトンベリのからだはすっかりかたくなって、岩のように頑丈なからだになって
いたのです。

107:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/06(日) 13:01:26 ID:as/HbVO9

「くそおっ!」
「ファリス、やめろ! そいつは普通じゃない!」
 中くらいの生き物が何かでこぼこしたものをもちあげました。と思ったら、生き物はひょいと
ひとっとびでトンベリの目の前まで近づき、でこぼこをちからいっぱい振り下ろしてきました。
グシャリとかたい音がして、次の瞬間には大きなでこぼこはこなごなにくだけちっていました。
 トンベリが顔をあげると、目の前にびっくりしている生き物のお腹がありました。

「姉さん、危ない!」
 トンベリは、数えきれないほどくりかえしてきたように、すっかりなれた手つきででっぱりを
おしこみました。
 いいえ、おしこもうとしました。でも、実際にはでっぱりはうまくおしこめませんでした。
 トンベリと中くらいの一匹の間にのっぽがわりこんできたので、でっぱりはのっぽの生き物の
お腹のよこにおしこまれてしまったのです。
「バッツ!?」
「どいてろ!」
 のっぽはそう言って、中くらいの生き物をつきとばしました。トンベリは首をかしげました。
トンベリがでっぱりをおしこんだというのに、動いています。きっと、うまくおしこめなかった
せいでしょう。トンベリはふとその日の朝に見た夢のことを思い出しました。そういえば、あの
生き物は弟におしこんだでっぱりを、そのまま手ばなしていました。トンベリはこくりこくりと
うなずくと、弟がおしこまれたときのように、今度はのっぽにめがけて思い切り振りかぶって、
でっぱりをつきだしました。
 

108:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/06(日) 13:02:40 ID:as/HbVO9
 
 そのとき。

 とつぜんトンベリの見ていたけしきの真ん中に線が入って、真っ二つに分かれました。
 そうして、気づいたらトンベリは洞窟の天井を見ていました。いつのまにかトンベリは地面に
ねっころがっていたのです。どうしたのでしょうか。
 何だか気持ちの悪い感じが肩からお腹にかけてわさわさまとわりついていました。トンベリは
からだをジタバタさせて振りはらおうとしましたが、気持ちの悪いのはまるっきりとれません。
 そのうちに、なにかが顔にかかりました。水がおちてきたのかと思って手でぬぐってみると、
ぬぐった手が赤く染まっていました。トンベリはよいしょと首をもちあげて、自分のお腹を見て
みました。

 そこには、トンベリが何度も見てきた赤いどろどろが勢いよく吹き出していました。


109:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/06(日) 13:03:26 ID:as/HbVO9
多分つぎで終わります。
岩みたいな生き物のモデルはコラルってのだったんだけど、ギルガメもよかったなあ……。

110:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/11/06(日) 15:04:31 ID:Gs+boZ64
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
乙っす。結構楽しみにしてる。地味に。

111:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/06(日) 15:52:10 ID:8sCA6i/N
すげぇ ドキドキしながら読んじまった
バッツ達うぜえええええええええええ

112:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/06(日) 19:09:05 ID:as/HbVO9
 六

「バッツ! 大丈夫!?」
「あぁ、平気だよ」
「今のは……?」
「居合い抜き。効いてくれて助かった」
「…………ごめん、バッツ。俺が突っ込んだせいで……ごめん」
「大丈夫だって、脇腹かすっただけだから。気にするなよファリス」
「ほら、動いちゃ駄目よバッツ。今治してあげるから」


 生き物たちの話し声をとおくに聞きながら、トンベリは天井をみつめていました。まっくろな
洞窟の天井には、春の訪れとともにめばえたコケがたくさんくっついていて、キラキラと輝いて
いました。それを見てトンベリは、ずっと前の大地震で洞窟がくずれかけたときに一度だけ見た
まんてんの星空を思い出しました。
 トンベリは天井へ手をのばしました。もうすこしで星に手がとどきそうです。あとちょっと、
ほんのすこし、星は目の前にあって、おきあがればもうとどきそうです。
 でもトンベリはおきあがれませんでした。おや、そういえばどうしてこんなところでねっころ
がっているんだろう。そういえばここに何をしにきたんだっけ。トンベリはねっころがったまま
考えこみました。考えながらふと右手をみてみると、いつものでっぱりがにぎられていました。
あののっぽの生き物のお腹におしこんだはずなのに、ああそうだ、あの生き物たちにでっぱりを
おしこみにきたんだっけ。トンベリはまた首をもたげて、生き物たちの姿をさがしました。
 間もなくむこうですわりこんでいるのっぽを見つけて、それからその手ににぎられている物を
見て、トンベリにもようやく何があったのかわかりました。
 のっぽのもっていたのは、トンベリがもっているのよりもずうっと大きなでっぱり。のっぽは
それを目にもとまらぬ早さでトンベリのお腹におしこんだのです。トンベリが自分のでっぱりを
おしこむよりも先に。つまり、トンベリの右手にあるでっぱりは、のっぽのもち物ではなかった
のです。トンベリはかんちがいをしていたのです。

113:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/06(日) 19:10:15 ID:as/HbVO9

 と、そのとき。ぶしゅっという水がはねるような音がしました。
 とたんに、トンベリの頭はこてんとたおれてしまいました。もう一度首をおこそうとしても、
まるっきり力が入りませんでした。それどころか、さっきまでの気持ちの悪かった感じが、急に
むくむくとふくれあがってきました。
 いやな感触はもこもことふくれながらいろんな形に姿をかえました。熱さ、しびれ、圧迫感、
息苦しさ、かわるがわるやってくるそれらはみんな、トンベリが今まで感じたことのなかった、
「痛み」という感触でした。
 生まれてから今日まで、頭のにぶいトンベリはからだに何がおこってもずうっと知らんぷりを
してきました。寒いのもつかれたのも重いのもこわいのもさびしいのも、ぜんぶ知らない振りを
してきました。もちろんそれはトンベリが自分でそうしようとしたわけではありませんでした。
でも、ほったらかしにされつづけた「痛み」は怒っていました。そして、いっせいにトンベリの
小さなからだにのしかかったのです。それはどれほどの苦しみなのでしょうか。ものすさまじい
痛みのなかで、トンベリの頭はふらふらしてきました。からだはぴくりとも動いてくれません。
どうすることもできないまま、トンベリは困りはてて、ぼんやりと頭上の星空を見上げました。
 するとどうでしょう、天井のコケたちはもぞもぞと動き出したかと思うと、あつまりくっつき
あって何かの形をつくりはじめたのです。やがてできたそれは、トンベリの家族の姿でした。
 みんながいました。お父さんとお母さんと弟や妹たち、それから末の弟もちゃんといました。
それだけじゃありません。まわりをよくみると、いなくなったトンベリの仲間もいっぱいいて、
みんなで天の川から、星の魚をとっていました。みんながにこにこ笑っていました。そうして、
トンベリにむかって手を振っているのです。

 トンベリの小さな頭のなかで、小さな光がぱちんと小さな小さな音をたててはじけました。
 トンベリは、いろんなことがいっぺんにわかりました。

114:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/06(日) 19:11:29 ID:as/HbVO9

 家族がどこにいってしまったのかも、トンベリがでっぱりをおしこんできた生き物たちが今の
トンベリと同じように苦しみながら動かなくなっていったこともわかりました。
 あの三匹の変てこな生き物が弟に何をしたのかも、トンベリがそれと同じことをしつづけて、
それこそが古い大きな生き物のいっていた「罪」なのだということもわかってしまいました。
 それから、トンベリは右手を見ました。
 生き物たちのどろどろで赤黒くそまっていったでっぱり。トンベリは、でっぱりをおしこむと
生き物は動かなくなるのだと思っていました。そうではなかったのです。でっぱりは、もともと
生き物を動かなくするためのものだったのです。そうしてそれがわかったとき、トンベリは今度
こそはっきりと、どこにでっぱりがあてはまるのかを悟りました。

 トンベリはありったけの力を込めて右手をもちあげると、
 どろどろがあふれているトンベリのお腹にでっぱりをそっとあてがいました。


 いつのまにか、痛みはきえていきました。
 トンベリはやすらぎのなかで目を閉じました。目を閉じても星空はトンベリのまぶたのうらに
ありありとうつっていました。
 空のむこうはどんな世界だろう。星の魚の味をそうぞうしながら、トンベリはしずかに右手の
でっぱりに力をこめました。



115:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/06(日) 19:12:54 ID:as/HbVO9

 そのときでした。とつぜんキラリと星空にひときわ大きな赤い星が顔をだしたのです。

 手をとめてトンベリは目を開けました。大きな星だと思った光は、でっぱりの先についていた
赤いぴかぴかがトンベリのまぶたをつついていたのでした。
 赤いぴかぴかはそれまでにないほどまぶしく光っていました。いったいどうしたのでしょう。
 トンベリは空に目をうつしました。星になったトンベリたちがやっぱり笑いながら手を振って
います。みんながみんな、楽しそうにトンベリの方を見て。
 ふとトンベリは気づきました。よく見ると、末の弟だけはこちらを見ていません。弟はどこか
あさっての方向を見ながら、バタバタと尾びれを振っていました。トンベリは弟の見つめている
先を目でおいました。トンベリからぐっとはなれて、四匹の生き物たちのさらにむこうにある、
大きな岩のかげまで。

 さてさて、これはどうしたことでしょうか。トンベリは目をぱちくりさせていました。
 トンベリは本当にたくさんの時間、洞窟を歩いてきました。言葉どおり、洞窟のすみからすみ
までたんけんしてきたのです。そうしてたくさんの生き物たちと出会いました。
 だというのに。やれやれ、いったいぜんたい彼らはどこにいたのでしょうか。岩のかげでは、
おさない子トンベリがトンベリたちのようすをちらちらとうかがっていたのです。

 子トンベリは、四匹の物珍しい生き物をじっと見つめながら、むじゃきな好奇心でいっぱいに
目を輝かせていました。尾ひれをいそがしくバタバタさせていて、今にも岩かげからとびだして
きてしまいそうなようすでした。
 トンベリは生き物たちの方を見ました。小さいのも中くらいのも、トンベリがでっぱりをおし
こんでやったのっぽも元気そうでした。きっとすぐにたちあがるでしょう。そうして、岩かげに
いる子トンベリを見つけるでしょう。

116:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/06(日) 19:13:45 ID:as/HbVO9
 トンベリは星空に目をもどしました。仲間の姿はだんだんとくずれていって、またばらばらの
星空にもどりだしていました。トンベリの家族はもう手を振るのをやめていましたが、それでも
変わらずにこにこと笑っていました。トンベリはその笑顔に、古い大きな生き物のかなしそうな
ほほえみを思い出しました。やがて、家族の星もだんだんはなれはじめていきました。
 それからトンベリは末の弟に目をうつしました。もう尾ひれのバタバタはやめて、弟もじっと
トンベリを見つめていました。そして、小さな首でこくりとうなずきました。しばらくしてから
トンベリも、でっぱりをお腹からとおざけて、こくりとうなずきました。

「……バッツ」
「わかってる」

 どこかにでかけていた痛みがずきずきとかえってきました。それといっしょにトンベリの頭は
まただんだんにぶくなっていきました。それからトンベリはぼんやりとからだをおこしました。 
 びりびりとやぶける音がするようでした。まるでからだが二つにさけてしまいそうです。
 でも、おきあがれました。
 生き物たちがおきあがったトンベリを、さっきのようにすばやくとりかこみます。

117:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/06(日) 19:14:31 ID:as/HbVO9

 トンベリは大きく息をすいこむと、力いっぱいさけびました。
 お腹の皮がはりさけてしまうかと思うほどさけびました。
 声におされて生き物たちもふるえながら一歩さがっていきました。
 洞窟のかべまでトンベリのうおおんという大声でぶるぶるとふるえていました。
 のどの奥からは、声といっしょに赤いどろどろがごぼごぼとあふれだしていました。
 それでもトンベリはさけびました。
 声にびっくりした子トンベリは、岩のむこうにぺたぺたとにげていってしまいました。
 それでようやくトンベリは息をつきました。

 トンベリは最後にもう一度、天井を見上げました。
 星空にはもう、家族や仲間の姿はありませんでした。
 でも、トンベリはちっとも困りはしませんでした。
 家族がどこにいるのか、もうちゃんとわかっていたからです。


 のっぽが声を上げています。
 それからいっせいに生き物たちはトンベリにむかってきました。


 トンベリは二つの手で、でっぱりとチカチカをしっかりとにぎりしめました。




118:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/06(日) 19:15:24 ID:as/HbVO9


 さて、話はここでおしまいなのです。

 トンベリや生き物たちはどうなったのかって? さあ、私は知りません。
 なにしろ始めに申し上げたように、私はあんまり彼らのことを分かっていないものでして。
 洞窟への行き方を教えてほしい?
 ダメダメ、残念ですがそれも知りません。
 本当ですよ。こればっかりは知らないんですから。
 たとえいくらお金を積まれたって、知らないことは教えようがありません。
 おや、そう睨まないでくださいよ。
 本当に知らないんですよ。困ったなあ。
 ねえあなた、よく考えてみてくださいよ。
 今からわざわざ行ったところで、どのみちしょうがないじゃありませんか?


 今は晩秋。
 もうすぐ冬ごもりの季節なんですからね。



 
 終

119:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/06(日) 19:22:24 ID:as/HbVO9
おしまいです。
亀更新、長々とありがとうございました。

120:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/06(日) 19:34:28 ID:qnAC4Sya
      ∩ 彡彡ミミミミミミ彡彡
       || 巛巛巛巛巛巛ミ彡彡
       || |:::::::           i
      /〔|:::    jニニコ iニニ!.
      〔 ノ´`ゝ  . fエ:エi  fエエ)
      ノ ノ^,-,、.    "" . >'""ヽ
     /´ ´ ' , ^ヽ  ┃ !ー―‐r┃ |
     /     ノ'"\┃ ト-r--、| ┃|  < 片瀬雪希とぽけっとチュッチュ♪
   人     ノ\/.┃ヽニニニソ┃人
  /  \_/\ヽ、  ┗━━┛ /  \
/      /   \ ` ー──イ     .ヽ
       /     ` ─┬─ ノ      i
      /         |      Y    |

121:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/06(日) 20:17:07 ID:JeoXy4zk
>>119
乙でした

122:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/06(日) 20:19:24 ID:Gs+boZ64
SS職人さん乙です。なんか悲しい…
悪いのは一体誰なんだろう?誰も少しずつ悪くて、誰も少しずつ優しくて…
でも、たっぷり堪能させて頂きました(*´Д`)

123:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <age> : 2005/11/07(月) 00:35:56 ID:I5nykIIr
密猟者が悪いに決まっとる。

124:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/07(月) 02:32:17 ID:f7VscPlX
もうトンベリに愛着わいちゃってヤバい…召喚するたびこの物語思い出して切なくなりそう。
でも実際のトンベリ製作の背景知りたいなぁ。

125:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/07(月) 06:02:10 ID:n9pJARPr
>>119
GJでした。
今読み終わって号泣中の俺…(´・ω;`)

126:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/08(火) 00:42:31 ID:pWfXwuG1
ゲームネタで泣いたの初めてだ……。
結局トンベリは死んじゃったのかなあ。


>>124
こんなんあった。
ttp://www.playonline.com/ff11/vt/14/02-1.html

127:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/09(水) 00:55:19 ID:tb8FbzkO
・・で、このスレ終了?

128:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/11/09(水) 13:17:52 ID:fD9sJvCm
感動の嵐の中あげ

129:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/09(水) 16:44:58 ID:tb8FbzkO
次は>>45の話だな

130:名前:45 <sage> : 2005/11/09(水) 19:01:03 ID:2zQWcWdK
Σ(゚д゚lll)このグレードは維持できんぞ?

131:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/09(水) 21:20:50 ID:IOo/bhju
>>45
に超期待
ダメだったら包丁の刑

132:名前:45 <sage> : 2005/11/09(水) 21:59:12 ID:2zQWcWdK
((((((;゚Д゚))))))ガクガクブルブル

マイペースで、ガ、ガンガリマス…

133:名前:モルボル <sage> : 2005/11/09(水) 22:04:49 ID:P0lIbc5Y
>>45
俺も超期待だ
駄目だったらくさい息の刑

134:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/09(水) 22:12:21 ID:tb8FbzkO
>>45は幸せ者だな。
こんな優しいみんなにかこまれて
にげられない。

135:名前:45 <sage> : 2005/11/09(水) 22:37:54 ID:2zQWcWdK
いや、>>56氏の神作品、固唾を飲んで読んでて
余韻に浸りつつ萎縮しちまっての…なんとなく書きそびれてた。
場面飛び飛びでポチポチ書き貯めてはいたんだが。スマソ
ペシペシとケツ叩いてもらってアリガタヤガクブルヾ(´д`)ノ゜

136:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/10(木) 00:24:20 ID:R7WW43iN
>>56
すごかったよ、マジで。
俺保存して印刷しちまったし。
続き書いてほしいけど・・話的に無理だよな。なんかまた別の話待ってるよ!

137:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/10(木) 01:52:11 ID:UCpHwS/6
まぁ気にせずマイペースでいけwwwww
それはそれとして包丁研いでおくお

138:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/11(金) 20:41:31 ID:Rn0KFl5g
FF5のトンベリ話はこれでかなり納得、あとはFF6以降の歩数ダメージや「みんなのうらみ」を使いこなす戦士としてのトンベリの裏話も見てみたい気がす。

139:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/12(土) 01:03:39 ID:fwEswHLY
>>56
星空の場面で素で泣いた。童話風の描写がうますぎますよ。
気が向いたら別シリーズもぜひお願いします。

140:名前:45 <sage> : 2005/11/12(土) 08:50:01 ID:IvqsYtsU
〜その日の昼間。トンベリの里を見下ろすトンベリ山の麓にて〜
一人のトンベリが、人間達数人を相手に戦っている。

男A「な、なんだこいつ!? ぐふっ…」
男B「く、来るな!うわああっ」
男C「くそっ…うぐっ」
(´・ω・`)「その娘を離せ。私の弟子なのでな。まだやるのか?」
男D「う、ううっ…」
(´・ω・`)「怪我をした仲間を連れて帰れ。二度とこの地に近づくな」

怪我をした仲間に肩を貸しながら、男達は逃げていく。

(´・ω・`)「ふうっ…」
(゚ー゚*川「マスター!」
(´・ω・`)「怪我はないか、マトン」
(゚ー゚*川「はい、大丈夫です。すみません、私が未熟なばかりに…」
(´・ω・`)「気にするな」
(゚ー゚*川「マスター…あ、腕に怪我を!?手当てを…」
(´・ω・`)「かすり傷だ。放っておけば治る」
(゚ー゚ 川「手当てさせて下さい」
(´・ω・`)「いや別に…」
(゚ー゚ 川「お願いです!」
(´・ω・`)「…好きにするがいい」
(゚ー゚*川「はいっ!」

141:名前:45 <sage> : 2005/11/12(土) 08:53:52 ID:IvqsYtsU
強引な弟子に折れた師匠は、腕に包帯をぐるぐる巻かれている。
これでもかと巻かれている。

(´・ω・`)「そ、それくらいでいい、マトン」
(゚ー゚*川「そうですか?わかりました!はいっ!」
(´・ω・`)「ふうっ…この辺りも人間達の侵入が多くなってきたな」
(゚ー゚ 川「そうですね…でもマスターがいらっしゃいますから」
(´・ω・`)「ただのショボーンだよ、私は」
(゚ー゚*川「マスターはマスターです。トンベリ族の守護者じゃないですか」

(´・ω・`)「そんなたいしたモンじゃないが…ところでタバコは?」
(゚ー゚*川「買ってきましたよ。でも今はダメです。お怪我に障ります」
(´・ω・`)「…最近綺麗になってきたよな、マトン」
(゚ー゚*川「えっ!?」
(´・ω・`)「いやホント。男達が放っておかないぞ、こりゃ」
(゚ー゚*川「そんな、からわかないで下さい、マスター…」
(´・ω・`)「タバコちょーだい」
(゚ー゚ 川「…」
(´・ω・`)「…」
(゚ー゚#川「……」
(´・ω・`)「…ダメ?」
(゚ー゚#川「ダメですっ!」
(´・ω・`)ショボーン

142:名前:45 <sage> : 2005/11/12(土) 09:07:34 ID:IvqsYtsU
今日はこれにて…包丁(((;゚Д゚)))ガクブル

143:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/11/13(日) 05:32:32 ID:Kz+7M2Ja
晒しage

144:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/11/13(日) 06:06:17 ID:uQQ8C/11
ずいぶん恥ずかしいやつがいるなwwwww

145:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/11/13(日) 06:48:45 ID:1wDUnf/a
一通り読んだが、なぜだろう?家族に会いたくなった。

146:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/13(日) 09:15:08 ID:JXhR8nNJ
>>45
ひょっとしてAAクエスト見てる?w

147:名前:45 <sage> : 2005/11/13(日) 10:33:50 ID:1p4/ceso
>>146
イエッサー!!大ファン!あれは面白い(*´Д`)'`ァ'`ァ

148:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/14(月) 19:21:06 ID:JaNvPe9v0

149:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/14(月) 19:22:06 ID:JaNvPe9v0
上、間違えた。

>>45
お疲れ。次も頑張れ〜。

150:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/11/15(火) 22:00:12 ID:Txc+gXPR0
>>56氏に捧ぐ
ttp://www5f.biglobe.ne.jp/~fl140/tonberry.html

いい話有難うございました。
原作に比して拙いデモですが、気に入って頂けたら幸いです。

勝手にflashかとか困るとかあれば、言ってもらえればすぐに消します
一応著作表示はしましたが、さすがにどう見てもインスパイヤですので

151:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/16(水) 00:34:05 ID:2a61ssBZ0
>>150
GJ!(*´Д`)'`ァ'`ァ

152:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/16(水) 00:39:54 ID:Y3YHWPWJ0
2chでこんな泣いたのひさしぶりだ。・゚・(ノД`)・゚・。
保存させて頂きました。
もうナイツでトンベリを瞬殺するのはやめる。

153:名前:56 <sage> : 2005/11/17(木) 00:20:45 ID:WGqApsTo0
>>150
感謝の至りです。
FLASHなんぞ作ってもらえたのは初めてけん、ディスプレイの前で悶絶してます。
あとサイトの方に書かれてる版権とかリンクとかそのへんの問題は
そちらのよろしいように扱ってくださって結構です。ありがとうございましたー。

154:名前:トンベリーズ <sage> : 2005/11/18(金) 02:38:43 ID:S472HOBC0
三つ子のトンベリはいつも一緒。
生まれた日はもちろん一緒。
頭のてっぺんからしっぽの先まで

155:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/11/19(土) 04:55:10 ID:XyJD+Lr00
感動したからあげてもいいかな?埋もれさせておくのもったいないよ。

156:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <感動age> : 2005/11/19(土) 06:20:31 ID:GXaQcmu+O
>>56氏凄すぎる…朝っぱらから泣きました…
ところで2chのカキコって転載おK?
dat落ちさすのもったいないから知り合いのサイトに載せたい…

157:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/19(土) 06:31:15 ID:GXaQcmu+O
…て、よく考えたら>>56氏に失礼か…
すいませんでした、ひっそりと仲間内で語り継ぎたいと思いますm(__)m

158:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/19(土) 11:46:30 ID:1xORnM6i0
>>150でもフラッシュができてるし、基本的に転載はオッケーだとおもうけど?
にしてもそろそろ新作来ないかな…。

159:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:15:33 ID:CzEXW/y70

 朝日が顔を出し、ようやく夜の眠りから目を覚ましだしていたカームの路地を、男の子が一人
走っていました。随分と慌てた様子です。途中で何度も転んだせいで男の子の衣服は泥だらけに
なっていましたが、それでも男の子は小さな腕を一生懸命に振りながら、街路を走り抜けていき
ました。そうやって男の子が走っているうちにも朝日はどんどんと上り、男の子の後ろから光が
追いかけてきます。ようやく男の子が小さな教会へとたどり着いたときには、街はもうすっかり
明るくなってしまっていました。
 男の子はなおも勢いを緩めずに教会の中へと走りこんでいきましたが、食堂の扉を開けると、
やっぱりもうみんなが不機嫌そうに食卓に座って、部屋に入ってきた男の子へ抗議の視線を向けていました。 
「遅れてしまいましたね、ビリー」
 上座に座っている神父が、息をつく男の子に重々しく言いました。
「ごめんなさい神父さま。絵を描きに行っていたんです」
「ビリー、謝らなくてはいけないのは私にだけですか?」
「……みんな、朝ご飯に遅れてごめんなさい」
 ビリーが頭を下げてもみんなはなおのこと顔をしかめていましたが、やがて思いついたように
一人がクスクスと笑いだすと、そのままクスクス笑いが伝染して、食卓の空気はぱあっと明るく
なりました。ビリーも照れくさそうに笑うと、神父もいつのまにか微笑んでいました。

160:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:17:08 ID:CzEXW/y70
「それでは座りなさいビリー。さあみんな、目を閉じて祈りを捧げましょう」
 みんなは静かに目を閉じました。ビリーもあわてて椅子について、目を閉じました。それから
神父が短い祈りを終えると、みんなでいただきますを言いました。食卓に並ぶのは粗末なパンと
豆ばかりのスープが一杯ずつ。育ち盛りの幼子たちには、とても満足な食事と言えるようなもの
ではありません。それでもその場の誰一人として不満をこぼすようなことはありませんでした。
小さなパンとスープは、子供たちのお腹を満たしてはくれませんでしたが、大好きな家族と囲む
食事はそれだけで彼らの心を幸せでいっぱいに埋め尽くしてくれていたのです。
 家族と言いましたが、食堂の中には中年の神父の他に大人の姿は見当たりませんでした。食堂
だけでなく、その教会には彼の他に一人として大人はいませんでした。
 ビリーは戦災で両親を失った孤児だったのです。そして、他の子供たちもみんな孤児でした。
 そこは教会であり、孤児院でもあったのです。


 人の心に影がさすご時世でした。遠くの国で大きな戦争があって、カームのような静かな街に
までその煙が届いていました。戦争というのはひどいものです。当事者たちとまるで関係のない
多くの人たちまでが、大した理由もないのに苦しめられてしまうのです。
 ビリーの父親は徴兵されて後に戦死し、母親も小さなビリーを遺して病死してしまいました。
他にもそんな子供たちがたくさんいて、彼らはゴミを漁ったり、お店のものに手を出したりして
その日の生活を必死で食いつないでいました。ときには街の人に虐められ、酷い目にあわされる
こともありました。それでも彼らの小さな手には、そんな生活しか選択肢が残されていなかった
のです。

161:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:18:40 ID:CzEXW/y70
 そんな状況を見かねて、彼らを引き取ったのが今の神父でした。神父は孤児たちを教会に招き
入れて、彼らに家を与えたのです。
 もちろん孤児たちは神父になど心を許しませんでした。長い長い惨めな生活の中で彼らの心は
すっかりねじまがってしまっていたのです。彼らは教会の壁に落書きをしたり、神父にわるさを
したりしました。それでも神父は決して怒りませんでした。子供たちを追い出そうともしません
でした。そうして孤児たちは、少しずつ変化していきました。頑な心はだんだんと和らげられ、
いつのまにか彼らは家族になっていました。
 神父は孤児たちみんなの親代わりになりました。穏やかで大きくて、それでいてときに厳しい
それは立派な父親でした。やがて子供たちの顔からはいじけた色が失せ、彼ら本来の希望に満ち
満ちた顔がそこにありました。街の人に悪さをすることもほとんどなくなりました。
 ほとんど、というのはまあなにぶん子供のことですから、まったく悪戯をしないなんてことは
無理な相談というものです。

 子供たちの部屋は教会の屋根裏にありました。彼らはそこで悪戯の相談事をしたり、それから
夢を語り合ったりしました。
「ぼくは医者になるんだ。週末はコスタ・デル・ソルでバカンスさ」
「へえ、俺はコスタ・デル・ソルでホテル経営をしたいんだ。泊るときは割引してやるよ」
「わたしは絶対ミッドガルに行くわ! それでキャリアウーマンになるのよ」
「ぼくは都会に興味ないなあ。のんびり船乗りでもやりたいよ」
「俺はチョコボを育てたいな。丘の向こうの牧場なんてさ、世話をしてるのは俺と同じくらいの
子供だって聞いたぜ」
「うわあ、あたし絶対無理。一匹でも臭いのに、牧場になんかいったら死んじゃうわ!」
 みんな思い思いの夢がありました。路地裏の惨めな生活の中で、夢は彼らのたった一つの慰め
だったのです。そのとき抱いた想いは、暖かい家がある今でも少しも薄れることはありません。
 たとえそれが叶わない夢だと分かっていても。

162:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:20:04 ID:CzEXW/y70
「ぼくは兵隊になるんだ!」
 だしぬけに男の子の一人が大きな声を出すと、みんな一斉にケタケタと笑い出しました。
「ハンスが兵隊!」
「泣き虫ハンスが!」
「あんた、虫ケラにだって怯えてるじゃないの」
「鉄砲構えたら敵じゃなくて味方を撃っちゃうんじゃないのか!?」
「そんなことないよっ!」
 ハンスと呼ばれた男の子は震えながら抗議しましたが、みんなは笑い転げるばかりです。
 そのうち、とうとう彼は泣き出してしまいました。
「あーあ、また泣いた」
「ほんとに泣き虫ね、ハンスは」
「そんなんじゃ逆立ちしたって兵隊になんかなれないさ」
「なれるさ! 今に見てろよっ!」
 泣きながらも懸命に喚くハンスにみんなはいっそう腹を抱えていましたが、隅にいたビリーは
笑っていませんでした。
 ビリーはハンスが兵隊になれないとは思いませんでした。確かにハンスはみんなが言うように
泣き虫だけれど、一度言ったことをテコでも曲げようとしない意地の強いところがあることを、
ビリーはよく知っていたのです。

163:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:20:30 ID:CzEXW/y70

 こんなことがありました。
 ビリーとハンスが二人で街を歩いていると、家々の合間から大きな煙突が見えました。
「ハンス、あの煙突知ってるかい?」
「知ってるって言えば知ってるよ」
「あの煙突、この街で一番高いんだ。誰も登りきったこと無いんだってさ」
「嘘言うなよ、つくった奴が登ったことあるに決まってるだろ」
「ところがあの煙突は機械で建てたんだよ」
「ふうん」
「あれに登るような度胸のある奴はいないだろうなあ」
「大したこと無いよ、あんなの」
「へえ、じゃあハンス登れるのかい」
「登れる」
「じゃあ登ってみろよ」
「だめだよ、もうすぐ夕ご飯じゃないか。遅くなったら神父さまに怒られる」
「やっぱり登れないんだ」
「登れるさ!」
「わかったわかった」
「じゃ、ビリーは登れるのか!」
「登れないよ、もうすぐ夕ご飯だもの」
 そういうとビリーは駆け出しました。後ろから、夕日の中でも判るぐらいに顔を赤くしている
ハンスが追いかけてきます。そのときにはもう、ビリーの頭からは煙突のことなど綺麗さっぱり
消え失せていました。
 ところが夕食の後。
「おや、ハンスはどこにいるんです?」
 部屋にお休みを言いにきた神父の言葉で、みんなは初めてハンスが部屋にいないことに気付き
ました。

164:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:21:26 ID:CzEXW/y70

「どうして見ていなかったんだ! みんな外に出ろ! すぐに探すんだ!!」
 神父は血相を変えて大声を上げました。神父がそんな姿を見せるのは初めてのことだったので
みんなは慌てふためいて部屋を飛び出しました。
 それからみんなで教会をくまなく探しましたが、ハンスの姿は見当たりませんでした。神父は
ますます取り乱していきました。子供たちもいつしか泣き出してしまいました。ビリーも泣きながらハンスを探していましたが、ふいに夕方のことを思い出しました。
 それからビリーはみんなを呼んであの煙突の下まで行きました。すると頭の上からわんわんと
泣き声が聞こえてきました。ハンスの声でした。
 ハンスはてっぺんまで登れたものの、そこから怖くて降りられなくなっていたのです。なんと
か街の人のおかげでハンスが無事に下りて来たときには、子供たちの顔はみんなくしゃくしゃに
なっていました。神父はひどく怒りましたが、でもとても安堵した顔を見せました。
 ビリーはそれを見て、神父がどれだけ自分たちのことを心配してるかをしみじみと感じ取り、
それからビリーを馬鹿にしたことをそっと胸の内で謝ったのでした。


 でも、ビリーがハンスの夢を笑わなかった理由は他にもありました。
「兵隊になんかなるのは馬鹿だよ」
 ビリーはケホケホと咳をしながら、そっけなく言いました。当然ハンスは怒ります。ビリーは
なおも言いました。
「兵隊になったって死ぬだけさ。ハンスは死にたいのか?」
「死ぬもんか!」
 そう抗議するハンスを、ビリーはまた咳をしながら無視しました。ビリーはハンスの勇敢さを
知っていましたが、兵隊になることの無意味さはもっとよく知っていたからです。

165:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:22:37 ID:CzEXW/y70

 すると二人の険悪な空気の間に、小さな声がわって入ってきました。

「私はお母さんがほしい」

 大人しい女の子の声で、みんなはしいんとしてしまいました。ハンスも他の子供たちも静まり
かえったまま彼女の言葉をかみしめていました。彼らはみんな幼い頃に孤児になったため、母の
温もりを知りませんでした。親の愛情に飢えていたのです。それは神父がいくら補おうとしても
補いきれないものでした。神父もそのことは判っていたらしく、彼は子供たちを家に引き取って
くれる里親を募っていました。そうやって、ときおり彼らの中から何人かがこの孤児院を離れて
いきました。孤児たちはみんな家族との別れを悲しみながらも、引き取られていく子供を笑顔で
見送りました。そしていつかは自分にその順番が回ってくることを夢に見ながら。屋根裏部屋に
ある中途半端な数のベッドは去っていった子供たちの名残なのです。
 ただ、ビリーだけは違います。彼は両親のことをはっきりと覚えていました。お土産を買って
くるよと言って二度と戻らなかった父親の背中も、病床の中で自分に子守唄を歌ってくれた母の
手の温もりも鮮やかに覚えていました。だからビリーにとって新しい両親など必要ありません。
今の孤児院の家族を守っていくことだけが彼の願いなのです。
「ぼくは画家になる」
 俯いているみんなが顔を上げてビリーの方を見ました。
「画家になって何千万も、何億もお金を稼ぐ。それでここにいるみんなの家を買うんだ」
 ハンスがそれに何か言おうとしましたが、ちょうどそのとき神父が扉を開けて入ってきたので
明かりを消された子供たちはしぶしぶと自分のベッドに潜り込んでいきました。


166:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:23:38 ID:CzEXW/y70

 明くる日。神父の提案で子供たちは海に遊びにきました。
 眺めることは多くても来ることは滅多に無い海です。子供たちは大はしゃぎで水に飛び込んで
いました。
 ビリーは砂浜に腰を下ろして、泳いでいるみんなの楽しそうな顔を描いていました。ビリーは
あまり運動が得意ではないのです。でもどうやらこの顔を見ると、泳げなくとも十分に楽しめて
いるようです。
 やがて、ビリーはぺたぺたという足音を聞きました。


「どれどれ、何を描いているんですか?」
 絵を描いているビリーを見つけ神父が覗き込むと、ビリーはさっと紙を隠してしまいました。
 でも、しばらくすると恥ずかしがりながらもやっぱり見せてあげました。
「何でしょうこれは?」
「ともだち」
「ともだちって?」
「さっきともだちになったんだ」
 神父はちょっと驚いて、あたりを見回しました。
 紙に描れていたのは、トカゲだか魚だかよくわからないフードをかぶった青い生き物でした。
こんな生き物がいるはずがないので、まさかモンスターなのではないかと不安になったのです。
「ともだちはどこにいるのかな?」
「もういっちゃった」
「行っちゃった? どこへ?」
「海のなか」
「海の中に住んでいるのですか?」
「ううん、海よりずっとくらいところに住んでいるんだって」
「どうして彼はこんなところにいたんでしょう?」
「わかんない。気がついたらぼくのそばにいたんだ。だから絵に描いてあげたんだ」
「上手に描けてますよ」
「うん、それでぼくがともだちになろうって言ったら、これをくれたんだ」
 そういうと男の子は得意げに珍しい形をした貝殻を差し出しました。

167:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:24:35 ID:CzEXW/y70

 そういうとビリーは得意げに珍しい形をした貝殻を差し出しました。
「よかったですね。大事にするんですよ」
「うん。神父さま、これもっててください」
「ええいいですよ。さあ、そろそろ帰りましょう。みんなを集めてきてください」
「はい」
 いつのまにか陽は西の水平線に顔をつけて、海は橙色に染まりだしていたので神父はビリーを
急がせました。
 神父はもう一度、画用紙の中の「おともだち」に目を落としました。
「おおかた、ぼんやりして夢でも見ていたのだろうな」
 誰かに言い聞かせるように呟くと神父は紙を折りたたみ、それから自分も歩きだしました。

 帰り道でビリーが言いました。
「また会えるかなぁ」
「この次きたときに、きっと会えますよ」
 ビリーは嬉しそうに海を振り返りました。
 でも、なぜだかビリーはここに戻ってくることはもう二度と無いような気がしました。

168:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:24:59 ID:CzEXW/y70

「さあ、みんな準備は良いですか?」
 神父がキチンと一列に並んだ子供たちに向き直りました。それから満足げにうなずき、神父は
教会の扉を開けて、外で待っていた男を招き入れました。
 子供たちはみんなきれいな服に身を包み、髪もいつものボサボサ頭ではなくちゃんと梳かして
ありました。泥だらけ顔もつやつやに洗ってあります。なぜなら今日は里親が彼らを引き取りに
やってくる日、そして今入ってきた男がその里親なのです。
 男は緊張でカチコチになっている子供たちを順繰りに眺めて、最後に一人ずつに名前を尋ねて
から、満足げに神父に頷きました。
「それではみんな、部屋に戻っていなさい」
 お披露目は終わりました。あとは誰が選ばれたのかを神父が伝えにくるのを待つだけです。
 屋根裏に戻った子供たちは興奮して話しあいます。
「誰が選ばれたかな!」
「ぼくだよ、ぼくの方をずっと見てた」
「何いってんのよ、名前を言うときどもってたくせに。あたしよ!」
「お前なんか選ぶわけないだろ!」
 みんな口々に自分だ自分だと言い張っています。
 ビリーはその論争には興味が無かったので、ふと思いついて言いました。
「ぼく、ちょっと盗み聞きしてくるよ」
「えっ」
「だめだよビリー。見つかったら怒られるぞ!」
「大丈夫だよ」
 自分の思いつきにちょっぴり興奮していたビリーの耳には仲間の制止もとどかず、彼はそっと
ドアノブを回していました。


 忍び足で階段を下りるビリー。やがて二人分の話し声が聞こえてきました。
 一方は神父の声で、もう一方はさっきの男の声です。でもどういうわけか、神父の声はいつも
よりもずっとよそよそしい響きを帯びていました。
 耳を澄ますと、二人はこんなことを話しあっていました。

169:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:25:48 ID:CzEXW/y70
「……どういうことですか」
「ですから、残念ですが今回の商談はお断りさせていただきます」
「そんな! この間だってたったの三人だったじゃないですか!」
「そうでしたかな」
「以前はもっと大勢を引き取ってくださったのに……これじゃ私は破産してしまう!」
「それは貴方のご都合ですがね」
「何を言うんです! もともとあんた方が言いだした話じゃないですか!」
「その通り。我が社のプロジェクトには健全な肉体と精神を持つたくさんの子供が必要でした」
「そうだ、だから私は……!」
「仰る通り、貴方の提供してくださる子供たちは肉体的にはもちろん、その精神の方が実によく
満たされている良質な子供たちばかりでした」
「それではなぜ……」
「簡単なことです。肉体の方に支障が見えてきたからです」
「なんですって?」
「このところ方々で悪性の肺病が流行しているのをご存知ですか?」
「肺病……? いえ…」
 ────肺病?
「潜伏期間が長く、しかも子供に多く見られる種類でしてね」
「ま、まさか…」
「そして残念ながら、貴方の養われている子供たちは感染してしまわれているようです」
「そんな……ばかな…」
 神父が呆然とした声を出しています。ビリーはぐっと胸を抑えました。

(肺病って……ぼくたちが? ぼくたちは病気なのか? それに、商談って? 提供って?)

「お、お待ちを! よくお確かめに……」
 神父が慌てた声を出しました。一方ビリーの方は、頭のなかで神父の言葉がぐるぐると周り、
ひどく困惑していました。そうして、やがて緊張の際に達したビリーは息がつまり、大きな咳を
してしまいました。

170:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:26:21 ID:CzEXW/y70

 その途端、話し声はぴたりと止みました。

 階下では物音ひとつしません。ビリーも階段に座り込み、口を抑えたままじっと息をひそめて
いました。ビリーにはその理由が判りませんでしたが、彼の本能が叫んでいたのです。
 絶対に見つかってはいけない、と。
 そうやってどれほどの時間が経ったでしょう。また男の声がしました。
「……どうやら確認もとれたようですな。それでは」
 そうして、黒いスーツを着た髪の長い男は出ていきました。下には依然として神父がいるはず
なのですが、一向に物音はしませんでした。ビリーは出て来たときと同じように忍び足で部屋に
戻っていきました。
 部屋のドアを閉めると、仲間が期待に目を輝かせてビリーのもとへ集まってきました。
「どうだったビリー!?」
「誰が選ばれたの!?」
「今度は何人出ていくんだい!?」
 けれどビリーはぼんやりとした様子で、みんなを押しのけて部屋の隅まで歩くと、へたへたと
その場に座り込んでしまいました。
 事情が判らないみんなは首をかしげながらビリーの様子を見守っていましたが、彼らの視線は
じきにビリーから逸れました。
 そして、それは部屋に入ってきた神父へと注がれました。

171:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:27:43 ID:CzEXW/y70
「神父さま!」
「神父さま、誰が選ばれたの!」
「ぼくでしょう、きっとそうだ!」
「違うわわたしよ!」
「みんな、おちつきなさい」
 神父はいつもと変わらない穏やかな声でみんなをなだめました。ただ、ビリーだけはみんなの
ところへ集まらずに、すみっこでじっと様子をうかがっていました。
「今回はね、残念だけど誰も選ばれなかったんだ」
「ええー!」
 次々と落胆の声が上がりました。神父はそれをまた急いでなだめます。
 そのとき、ふと子供たちの一人は鼻を鳴らしました。
 なんだか妙なにおいがすることに気付いたのです。
「だけどね、もっと残念なことがあるんだ」
 それは、神父から漂ってくる、安酒の悪臭でした。


「お前たちはもう誰にも選ばれないんだよ」

 そう言うと、神父は懐から取り出したナイフを思い切り振り下ろしました。


 子供たちはみんな固まっていました。
 何がおこったんだろう。
 何かの遊びなのだろうか。
 どうして神父さまはこんなに恐い顔をしているんだろう。

 彼らはぽかんと口を半開きに開けて、身動きすることも、悲鳴を上げることすらしないままに
立ち尽くしていました。そして一人、また一人と神父の手に握られた短刀によってその身を赤く
染めていきました。

172:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:28:16 ID:CzEXW/y70

 ビリーは隅からぼおっとそれを見ていました。部屋の中の光景は視界にフィルターがかかった
みたいにぼやけていて、まるでむかし両親といった怖い映画のワンシーンのように見えました。
立ち尽くす子供たちも、きっと同じような思いだったのでしょう。
 神父は人売りでした。この教会は孤児院などではなく、家族をなくした子供たちをてなづけ、
得体の知れない男たちに高額で売り渡す、市場だったのです。

 気付けば残っているのはビリーとハンスの二人だけでした。
 ハンスは涙を流していました。けれど両の瞳には、芯のある強い闘志が燃えていました。
「お前は神父さまじゃない!!」
 ハンスは叫びながら、箒を振りかぶって神父に飛びかかりました。ハンスは同年の子供たちと
比べても小さな方です。そんな子が、ナイフをもった大人に、しかもほんの数分前まで心からの
信頼を寄せていた相手に立ち向かうのは、どれだけ勇気のいることだったのでしょう。しかし、
たかだか十歳にも満たない子供のことです。神父は容易くそれを受け止め、歪んだ笑みを浮かべ
ました。
「神父さま? そんなやつ、はなっからどこにもいやしないぞ!」
 ゲラゲラと酒臭い笑い声をまき散らすと、神父は、いえこの男はそもそも神父などではありま
せんでした。神聖な教会を利用して無垢な子供たちの心を欺いてきた男は、いまハンスの小さな
喉笛を掴み、やがて無慈悲な音がするまで締め上げつづけました。かつては同じ手で優しく抱き
しめてやったその子を。しかしそれも、商品であるハンスに逃げられてしまったのではないかと
思っただけのこと、男の強欲な焦燥に過ぎなかったのです。
 ビリーはそれを見ても可哀想だなという感情は起こりませんでした。ただ、ハンスはやっぱり
勇敢な人間だった、そしてきっと彼がなろうとした兵隊の仕事も、決して無駄なことなんかじゃ
なかったんだろうな、と思いました。馬鹿にしてごめんよ、本当にごめんよ、ハンス。
 そして男は動かなくなったハンスを投げ捨てると、ビリーの元に歩み寄ってきました。

173:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:28:38 ID:CzEXW/y70
 カタカタと震えているビリーの頭に血にまみれた手を乗せると、男は言いました。
「ビリーよ、俺はお前だけには期待していたんだぞ。本当なんだ。お前はろくに労働も出来ない
クズだがな、絵の才能だけは本物だよ。そいつはこの俺も認めていたんだ。そいつでもってよ、
将来高く売れる絵でも描いてだ、この俺に少しでも恩返ししてくれると思ってたんだよ……」
 男の荒い息が顔にかかったので、ビリーはまた息が詰まってしまい、咳をしました。
 その途端、男の顔は見る見るうちに再び醜く歪んでいきました。
「それが……この……恩知らずどもがあああああああ!!!」
 狂気に満ちた男の咆哮は、小さなビリーを震え上がらせるには十分すぎるものでした。
 ビリーは震えながら、無意識に床に手を這わせていました。そして小さな手は、やがて一枚の
画用紙を掴みました。それはあの海で描いた、ともだちの絵でした。
「そんなに絵が好きか!? ならそいつと死にゃあ悔いもないだろうよお!!」

 ナイフを振り上げる男の姿を最後にビリーは目をぐっと閉じました。


 瞼の裏には、青い顔をしたともだちがいました。
 ともだちのいった通り、彼はとても暗い所に住んでいるのでした。
 彼は前にあったときと同じように、じいっとビリーのことを見つめていました。
 ねえ、君は誰なんだい? ビリーは聞いてみました。
 でも、ともだちの声はとてもかすかで、ビリーにはそれを聞き取ることはできませんでした。


174:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:29:49 ID:CzEXW/y70

 子供たちを全て手にかけた後も男の昂りはおさまることがなく、男は暖炉の鉄の火掻を持ち、
怒りに任せて部屋にあるものを端から叩き壊していきました。テーブルも、椅子も、ギシギシと
音を立てるベッドも、目につくものは一つ残らず。部屋に残された子供たちのぬくもりまでも。
そうしてしまいに勢い余ってランプまで壊してしまい、部屋が真っ暗になったところでようやく
男の気は少しおさまりました。
 そのとき、部屋の隅でカサカサと衣擦れのような音が響きました。音のした方に目を凝らすと
どうやらまだ一人子供が残っていたようでした。手に明かりのようなものを持っているらしく、
その小さな身体の輪郭が闇にうっすらと浮かんでいます。男はまたあの歪んだ笑みを浮かべて、
火掻を握りしめました。そうして部屋に残された最後の吐き溜めに、彼の汚れた憤りを思うさま
叩き付けようと、子供の方に忍び寄り、そしてゆっくりと棒を振り上げました。そして男の腕が
てっぺんまで上がったときに、子供はくるりと彼の方へ振り向きました。
 男はギョッとしました。フードを被って震えていたのは、子供ではなかったのです。
 それどころか、それは人間ですらありませんでした。見たこともない格好をした、得体の知れ
ない生き物。でも男はその生き物を知っていました。
 なぜならその生き物は、ビリーが絵に描いた「ともだち」そのものだったのです。

175:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:30:13 ID:CzEXW/y70

 何かおぞましいものを感じて、気付けば男は腕を振り下ろしていました。そして生き物の頭に
火掻が当たる直前、生き物の瞳のない目が男をまっすぐに見据えました。
 その瞬間、男は自分がとんでもない過ちを犯したことを悟りました。彼に必要なのは火掻棒を
振り回すことなどではなかったのです。一瞬の間でも惜しんで、彼は部屋の出口に走らなければ
ならなかったのです。そしてそのまま息の続く限り、可能ならば永遠にでも逃げつづけなければ
ならなかったのです。でももうとっくに手遅れでした。自分が犯したことの重さに気付くにも、
偽りの愛情がしかし真実の心を生むことがあるという事実を知るのにも、彼が求めたものよりも
何百倍も素晴らしい幸福がすぐそこまで男を迎えにきていたのを悟るのにも、全てがあまりにも
遅すぎました。そして男は、決して彼が気付くようなことはありませんが、自らの命の灯火へと
鋭い火掻を振り下ろしました。
 その途端に生き物の全身からぶわっと黒い煙が吹き出しました。既に真っ暗闇な部屋の中にも
関わらず、その煙の黒さははっきりと判るのです。その無限の暗黒が愚かな男の身体を包み込み
ました。
 男は暗闇の中で、部屋のなかにあるはずの、先ほど自ら壊したテーブルや椅子を探しました。
けれどいくら手を彷徨わせても彼を支えてくれるものは見つかりません。見つからないのは家具
だけではありませんでした。ドアも、壁も、いまこうやって踏みしめているはずの床の感触すら
はっきりしません。男は何もない空間にぽつんと放り出されていました。
 やがて声が聞こえてきました。どれも聞き覚えのある声、それも一つや二つではありません。
男は耳を澄ませようとしましたが、すぐにそんな必要もないほど声は大きくなってきました。

176:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:30:39 ID:CzEXW/y70

 気付いた男は血相を変えて耳を塞ぎました。けれどそんなことをしても声をやわらげることは
できませんでした。やがて極限まで高まった無数の声に、男は悲鳴を上げました。
 男の頭に響くのは、子供たちの声でした。彼が今まで引き取り、そして売り飛ばしてきた孤児
たちの声。その中にはハンスやビリーの声も含まれていました。
 声は口々に男への賛美を歌っていました。それなのに、男にはそれがまるで悲鳴のような耳を
つんざく声に聞こえるのです。真綿を無理矢理耳の奥におしこまれていくような苦しみでした。
 遂に耐え切れなくなった男は夢中で走り出しました。いくら走ったって声はどこまでも付いて
まわりました。それでも男は走りました。
 いつしか男の口からは助けを求める言葉が溢れていました。しかもこともあろうに、男はあの
孤児たちの名を呼びながら助けを求めていました。なんということでしょう、男には、自ら手に
かけた子供たちしか、助けを求める相手が思い浮かばなかったのです。
 やがて男の嘆願に応えるように、暗闇の遠くにかすかな光が瞬きました。男は無我夢中でその
光源へと走りました。
 足をガクガクと震わせながら、光が手に届くほどの距離まで近づき、男は母に抱かれる幼子の
ような心地で光に飛びつき、そしてそれが何の光なのかに気付きました。


 闇の中で黄金色の宝石のような目が二つ。そして赤いカンテラの灯が静かに揺れていました。




177:名前:ともだち <sage> : 2005/11/20(日) 17:31:12 ID:CzEXW/y70

 二日後の早朝。
 お布施に訪れた近隣の老人が、教会に神父の姿が見当たらないのを訝しく思い建物の中を探し
まわったところ、屋根裏で惨殺されている神父と子供たちの遺体を見つけました。
 神父の人柄は街でも評判だったので、きっとならず者が寄付金目当てで教会に入り込んだのに
違いないと治安部隊は考えた。また、神父は部屋の入り口で、あとの子供たちはみな散り散りに
倒れていたため、おそらくまず子供たちを庇った神父が殺されたのだろう、と判断された。
 子供たちはみなむごたらしい有様で、神父に至っては十カ所に及ぶ致命傷を浴びせられて亡く
なっていました。奇妙なことに神父が傷を負っていた箇所は十人の子供たちの傷があった場所と
ぴったり一致したそうです。
 また、惨殺された神父は驚愕にその目をかっと見開いていましたが、子供たちの方は不思議と
みな安らかで、まるで笑っているような死に顔だったそうです。人々は、きっとこの子供たちは
大好きな神父のことを思い浮かべながら、心静かに息を引き取ったのだろうと思い、亡くなった
神父の気高さを心から誉め称えました。やがて神父の志を受け継ごうと立ち上がった人々の手に
よって、小さな教会のあった場所には本当の孤児院ができました。
 小さいながら多くの子供たちを養い、住民からも愛される素晴らしい院になったといいます。



 それから、亡くなった子供たちのうちのひとりの男の子は、一枚の画用紙をそれは大事そうに
抱きかかたまま息を引き取っていたそうですが、少年の血糊以外、紙にはなんにも描かれていな
かったということです。




 終

178:名前:56 <sage> : 2005/11/20(日) 17:34:01 ID:CzEXW/y70
てわけで、「みんなのうらみ」をテーマに一本。
トンベリがかなり脇役な上に鬱展開です。ごめん。
それにしても「歩数ダメージ」の説明ネタが思いつかないです。

>>156
恐縮です。
著作権行使するほどの代物じゃないので、そちらのよろしいようにお願いします。
楽しんでもらえたようでほんとに幸いです。ありがとうございました。

179:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/11/20(日) 17:58:41 ID:0MTFyVmg0
この前とはまた違った感じの話で面白かった!
>>56さんすごいわ。

180:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/11/20(日) 18:50:31 ID:c8OljPIOO
文章ヘッタやな

181:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/20(日) 19:16:48 ID:0MTFyVmg0
沈めておくのがもったいなくてたまにあげてたけど
やっぱりなにかとsageておいたほうがいいか。スマン。

182:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/11/20(日) 19:39:51 ID:LGdNoSOc0
昔、荒川区で包丁持って暴れた川又軍司はトンベリの生まれ変わり。

183:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/20(日) 21:07:35 ID:ylyORuDH0
>>56氏乙&GJ
久しぶりに作品キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!と思って読んだけど
あなたのトンベリ物語はすごく悲しくなるねぇ゚(゚´Д`゚)゚。
でも読み応えはアッタヨ



今度はどんな人が書くトンベリが来るかすごい期待

184:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/20(日) 21:07:36 ID:phNN/TCDO
じゃあsage進行で…

>>56氏乙です、今回のはなんか悲しい話でしたね。
なんとなくACの星痕の子供たちを思いながら読みました。

185:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/21(月) 00:00:54 ID:ephwK6Kk0
でも、スレタイからして、どうしてもハッピーエンドになりにくい罠
トンベリには哀しいイメージが付きまとうね(´・ω・`)

186:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/21(月) 17:48:56 ID:XJn9Ij5k0
「トンベリものがたり」にするべきだったのかもね

187:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/22(火) 09:47:52 ID:hfR9rV380
「復讐」とあるけどそれにこだわらなくても良い気ガス

188:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/22(火) 11:44:30 ID:M9mq+x94O
チョコボやらモーグリやらとの絡みも見てみたいなぁ

189:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/22(火) 17:10:23 ID:FM0FcYfA0
そろそろ56以外の人の作品が見たい。

190:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/22(火) 21:03:38 ID:rt3+wpzM0
56氏でも他の人でも作品読めればそれでいい

191:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/23(水) 01:42:16 ID:jZUFCQla0
>>178
>歩数ダメージの説明
JOJOのハイウェイスターみたいに足跡が追ってくるとか……だめか。
毎度毎度クオリティの高さに脱帽しつつ次も期待してます。

192:名前:歩数ダメージ <sage> : 2005/11/23(水) 14:59:40 ID:IjEJYyFW0
一歩進めば恨みは一つ

二歩進めば恨みは二つ

三歩進めば恨みは三つ

今日で四億七十七つ

暗い洞窟行ったり来たり 憎いあいつを探すため

カンテラちかちか行ったり来たり 憎いあいつを殺すため

見つからない 見つからない 憎いあいつが見つからない

一歩進めば恨みは一つ

二歩進めば恨みは二つ

三歩進めば恨みは三つ

今日で四億百十八つ

歩き続けて恨みは募る

 


193:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/23(水) 18:10:26 ID:KCosoMcE0
渋いな。元ネタあるのか?
でも歩数ダメージって食らう側の歩数だよな。

194:名前:勝手に192の続き <sage> : 2005/11/23(水) 22:59:19 ID:awOnhaAd0
あいつが一歩歩くたび、トンベリ一歩歩きます。

あいつを探して一歩、二歩、今日も恨みが募ります。

ぺたぺた歩いて恨みは一つ。

ぺたぺた歩いてもう一つ。

カンテラゆらゆらふりまわし、ほうちょうぐさぐさ突き刺して

みんなのうらみを果たします。

一歩進めば恨みは一つ

三歩進めば恨みは三つ

今日で四億百十九つ

恨み恨んで今日もまた、闇から闇歩いてく……


195:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/24(木) 11:41:36 ID:cPiYJMXu0
哭きの竜の雨宮思い出した

196:名前:192 <sage> : 2005/11/24(木) 18:35:33 ID:hg29wSy+0
>>193

元ネタというかFF6の攻略本(SFC版)のモンスター紹介の詩みたいな文章と9のアイテム説明を足して2で割るイメージで書いてみた。

>でも歩数ダメージって食らう側の歩数

自分も書いてるときにそう思ったので食らう側の歩数でダメージを受ける歩数ダメージ の話を現在考え中です。

197:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/24(木) 20:25:51 ID:TLAxyEzH0
ttp://up.2chan.net/q/src/1132764835249.png
>56さんの話に刺激されてつい描きました。
正直久々にジワッときましたので。次も期待してます。

198:名前:138 : 2005/11/26(土) 06:12:42 ID:pjE8a1vUO
Σほんとに「みんなのうらみ」や「歩数ダメージ」の話を書いてくれてる!(自分的にかなり感動)
>>56氏本当にGJです!

埋もれてほしくないので、すみませんがageさせてもらいます…

199:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/11/28(月) 01:45:28 ID:UT4CHKOs0
56氏みたいにまとまったお話をだれかが投下してくれるのを待つのもいいが、
どうせ保守続きになるのなら、なんかリレー話でもやらないか?といってみる。

200:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/01(木) 13:57:41 ID:is4pcbjJ0
保守

201:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <お前が言ったのがきっかけかもって意味ではGJ> : 2005/12/01(木) 18:46:20 ID:ptEgRD0zO
>>198
はいはい、包丁包丁。

202:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/03(土) 03:48:16 ID:c6DTM500O
保守

203:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/12/05(月) 21:51:51 ID:zkZMdcgU0
終わったかこのスレ

204:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/12/05(月) 22:37:22 ID:e5qZtMDdO
そんな…

205:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/06(火) 01:45:03 ID:gFcIHvg/O
新作投下されるまで、トンベリを語るかリレー小説をするかだなぁ

206:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/06(火) 03:20:08 ID:mpem4kwFO
漏れに出来るのはトンベリたんハァハァくらいだ


今7やっててマスタートンベリたん出てきたんだが、意外と尻尾がばたばた忙しないのなー。カワイス。

207:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/12/06(火) 04:12:07 ID:Zj1FNX7BO
>>201
今流行りのツンベリ乙。


しかし何故包丁で9999ダメージも通るんだ…?
やっぱトンベリの馬鹿力?

208:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/06(火) 04:41:56 ID:zKFWcUV4O
小学生の頃からFFやってたけど、ずっとドンペリかと思ってた…
今トンベリという名前を知ったorz

209:名前:1 <sage> : 2005/12/06(火) 06:11:10 ID:8hA4QgNyO
山の向こうのそのまた向こうに、たくさんのトンベリが暮らす谷がありました。
険しい山の中にありましたので外敵などもめったに現れず、皆平穏に暮らしておったそうな。
そんなトンベリ谷に、一匹の若い雄トンベリがおりました。
名前はトン太。

元来トンベリという生き物はのろのろぺたぺたと歩き回る位が取り柄のおとなしい生き物なんですが…

トン太ときたらそれに輪をかけてのろのろしておりました。だからトンベリ谷でものろまのトン太と呼ばれていたのです。
当のトン太はそう呼ばれていてもどこ吹く風でしたが。


210:名前:2 <sage> : 2005/12/06(火) 06:21:52 ID:8hA4QgNyO
さて、今日はトンベリ谷のお祭りです。
なにやら若い雄トンベリ達が集まって騒いでいます。どうやら祭りのメインイベントが始まるようです。
山を越えた先にある湖で魚を獲って戻ってくる、一番に帰ってきた者は谷一番の美人と結婚することが許される。
と、まぁそういった主旨のようです。我々には雄雌の区別もつきませんが、美人とかの概念はあるようです。

さて、その中にトン太の姿もありました。相変わらずぼーっとしてはおりますが…

211:名前:3 <sage> : 2005/12/06(火) 06:33:42 ID:8hA4QgNyO
他の雄達に「お前じゃ無理だ」「迷子になる前に棄権しろよ」等と言われても、ニコニコしながら
「俺はこの谷が好きだから、この祭りだけは絶対に出るんだ」
と、固い決意を口にしたため、周りはなにも言えなくなりました。

そしてスタートの時がやってきました。
雄達が一斉に駆け出すと山に向かって消えていきました。トン太はというと…やはり最後尾におりました。
前からは大分離されていたため、はたから見るとトン太が一人で歩いているように見えたとか。

212:名前:4 <sage> : 2005/12/06(火) 06:41:46 ID:8hA4QgNyO
トン太が山の頂きに着いた頃には先頭が湖から魚を沢山背負って来るのとすれ違いました。
先頭の雄にはトン太など眼中に無い様でした。
トン太は「みんな速いなぁ、よし、オイラも頑張るぞ」
と言ってはみたものの…
湖に着いた頃には日も傾き、祭りももう終りかけていました。それでもトン太は湖に入って魚を獲ろうとしました。
他の雄があらかた獲り尽した後でしたから、魚もあまりいません。それでもトン太はあきらめずに魚を捜していました。

その時、空の方から大きな音が聞こえてきました。

213:名前:5 <sage> : 2005/12/06(火) 06:51:32 ID:8hA4QgNyO
それはトン太が今までに見たことの無い鳥でした。
たくさんの小さな羽がくるくる回り、とても大きな体を空に浮かばせています。
「うわぁ、すごく大きな鳥だなぁ、あんなの初めて見たよ。」
心なしか嬉しそうにトン太は言いました。しかし魚を獲ることを思い出し、また魚を捜し始めました。
あの鳥の向かう先がトンベリ谷とは気付かずに…

ようやく魚を獲り終え、谷に近付いた頃には夜になっていました。祭りももう終っているはずです。
しかし、どうも谷の様子がおかしいのです。

214:名前:6 <sage> : 2005/12/06(火) 07:03:26 ID:8hA4QgNyO
もう祭りは終っているはずなのに、谷が明るく光っているのです。まるで村中に篝火をつけたかのように…
トン太もさすがに変だと思い、良く見てみると…あの鳥が谷の真ん中にいました。篝火だと思っていたのは、谷が燃えていたのでした。

トン太は慌てて谷へ走り出しました。

そこでトン太が目にしたのは、酷たらしい惨劇のあとでした。
谷は燃やし尽され、仲間達が無惨にも切り捨てられています。
上空には、あの鳥が飛び去ろうとしていました。

トン太は半狂乱になりながら辺りを走り回りました。すると遠くから声が聞こえてきます。

215:名前:7 <sage> : 2005/12/06(火) 07:16:46 ID:8hA4QgNyO
その声の方に向かうと、そこには谷の長が倒れていました。
慌てて駆け寄り声をかけると
長「…おお…トン太、無事だった…か…」
トン「何があったんですか!?一体何が!?」
長「…人…間の仕業じゃ…人間が…この谷に伝わ…る…伝説の…武具…『ほうちょう』…を…奪…いに…きたのじゃ
…ワシは…先…祖代々守り…続け…てきた…あの武具…を渡すことを…拒んだ…それで…奴ら…はこの谷…を…」
トン「人間が…この谷をこんなにしたんですか!?」
長にはもうトン太の声は届いていないらしく、それには応えず続けた。

216:名前:8 <sage> : 2005/12/06(火) 07:29:53 ID:8hA4QgNyO
長「トン太よ…この『ほうちょう』を…お前に託…す…ワシの代…わりに…守り抜…いてくれ…」
そう言うと、長は『ほうちょう』をトン太に手渡し、息絶えたのでした。
『ほうちょう』を手にしたトン太は不思議な感覚に捕われていた。心の中に『ほうちょう』の声が響いてくるのです。
(さぁ、早く俺に肉を切らせろ!血を吸わせろ!あの憎き人間共を切り裂くんだ!)
トン太は怖くなり『ほうちょう』を手放そうとしたが、手に吸い付いて離れない。
(無駄だ!さあ、俺の言うことをきくんだ!)
怯えて周りを見回すと…

217:名前:9 <sage> : 2005/12/06(火) 07:44:55 ID:8hA4QgNyO
トン太の周りを谷の仲間達が囲んでいた。ただいつもと違っていたのは、皆の眼に憎しみや恨みが篭っていたこと。
仲間達は口々にこう呟く
「恨みを…我等皆の恨みを…晴らしてくれ…人間共に恨みを…」
四方八方からその声を聞かされ、心の中を『ほうちょう』に掻き乱され、トン太の意識は次第に遠のいた…

目覚めると、辺りはまだ暗かった。
トン太は…いやトン太『だった』そのトンベリは、皆の恨みをその身に背負い、『ほうちょう』に引きずられ
谷を焼いた炎をカンテラに灯して夜の闇に消えていったのでした…

218:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/12/06(火) 07:52:41 ID:8hA4QgNyO
読み返すとまとまりがない上にへっぽこな文章だ…orz
携帯からなんで、改行がおかしいかもしれないがご容赦下さい。

文才の無い人間がやるもんではないと悟りました…orz
もう書かないのでお許し下さい。

219:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/12/06(火) 07:56:45 ID:4JYL4f+R0
確かに笑
人は傷つきながら成長していくのですよ
アーメン

220:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/06(火) 08:00:17 ID:uv61wqY40
GJ!
けして悪い文章じゃない
まぁ、自分でも気づいている通りまとまりが少し悪いのと、
見せ場が見えてこないのが少し残念かな

ただ、個人的には続きを読みたいと感じたので、それはやっぱりうまいんじゃないのかな
それを書いちゃいけないのかもしれないけど、トン太の復讐を見てみたいな

221:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/06(火) 11:49:46 ID:8gS78XIP0
途中で文体が変わったのが惜しかったな
アレ?って思った

222:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/06(火) 21:05:47 ID:3IMRqMN10
いやいや、やめないで次に生かしてくれよ!
それに結構スラスラと読めたぞ。がんばれ!

223:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/06(火) 21:08:03 ID:HJE31zsVO
どうでもいいけどトンベリのデザインってなかなか秀逸だと思う。
ランタンをかかげて包丁を手にする水生類っぽい生物なんて考えつかないな〜。おまけにそれらがすごく合ってるし。可愛いけどなんか不気味なとこがなんとも・・・。
元ネタとかあるのかな?

224:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/06(火) 21:14:48 ID:3IMRqMN10
しかも強いってところがまた気を引くよな。
なんか元ネタについては言及されてないらしい。推測するしかない。
俺はプレイした当時、切り裂きジャックとジャック・O・ランタンをかけて
こういうキャラになったのかなーとか自己解決してたが。

225:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/06(火) 21:26:52 ID:HJE31zsVO
>>224

切り裂きジャックにジャック・O・ランタンか・・・なるほど、深いな。あながち間違って無いんじゃないかな?
というかトンベリって名前にどんな意味があるんだろ?

226:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/06(火) 21:29:03 ID:3IMRqMN10
すまん、今探したら見つけちゃった……
ttp://shirayuki.saiin.net/~crown/ff8/ff8mt.html
古代中国の「我劉伝」が由来だってさ……知るかよ!

227:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/06(火) 23:25:36 ID:GjEBbGY+0
ぬう、あれは古代中国より伝わる伝説の「屯米哩(とんべえり)」!!
まさか実在しようとは…!

228:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/06(火) 23:31:58 ID:HJE31zsVO
普通に元ネタあったのね・・・
でも提灯よかランタンだな、うん。

229:名前:56 <sage> : 2005/12/07(水) 23:52:57 ID:oWeZJaw+0
さわりだけですが、投稿します。>188の提案採用。

>198
恐縮です。でも歩数ダメージは俺じゃないですよ。

230:名前:トンベリとモグ <sage> : 2005/12/07(水) 23:53:48 ID:oWeZJaw+0

 ***


 思い出せるのは、水。
 肌に入り込んでくる、冷たい水の感触。
 身じろぎ一つ許されない、凍り付いた小さなからだ。

 深く、深く、落ちてゆく。
 月の光も届かない、閉ざされた湖の底へ。
 暗闇に彩られ、ただ一途に黒い水。

 冷たく、黒い、水の中。
 彼は、ひとり遠くを見つめていました。

 
 ***

231:名前:トンベリとモグ <sage> : 2005/12/07(水) 23:54:16 ID:oWeZJaw+0

 一

 川沿いに築かれた、小さな村の、おだやかな午後。
 正午の店通りは、買い物にやってきた女たちや、それに声を張り上げる店員、それから母親に
引っ張られながらお菓子をねだる子供たちなど、和やかな賑わいに満ちています。
 川縁に行けば、釣りをしている子供や、その横で高いびきをかいて昼寝をしている父親の姿が
見えます。駒をさしている老人もいました。
 村の外れでは、農夫が畑を耕し、チョコボに荷車を引かせています。
 秋の陽射しは優しく、それに照らされる人々の顔もまた、優しい笑顔で溢れていました。
 しかし、やがて村の入り口から、そんなのどかな賑わいを吹き飛ばす声が聞こえてきました。

「トンベリだ! トンベリがでたぞおーーっ!!」

 たちまち村の空気は一変します。
 通りの店員は急いで表に出していた商品を引っ込めて店の戸を閉ざし、女たちは血相を変え、
子供を抱えて我が家に逃げ込みます。
 川縁も同様、子供たちはみな竿も放り出して飛び出し、男たちは老人や子供を背負い、急いで
各々の家へと駆けてゆきました。
 田畑にいた農夫たちは、鍬や鋤を捨ててチョコボにまたがり、村を出てさらに山の向こうまで
逃げてしまう有様です。
 そうして誰もいなくなり、まるで廃墟のようになった通りに、やがて一つの影が現れました。
 緑色の小柄なからだに、すりきれたフード。魚のような尾ひれ、それにぼろぼろのカンテラ。
 そして、右手に握られた、鋭い一本のほうちょう。

 トンベリ。それがその魔物の名前でした。

232:名前:トンベリとモグ <sage> : 2005/12/07(水) 23:55:09 ID:oWeZJaw+0

 誰もいない通りを、トンベリはゆうゆうと歩いていきました。あたりには、雑貨屋の果物やら
女たちが放り出していった買い物袋やらが転がっていて、人々がどれだけ慌てふためいて逃げて
いったかがよくわかりました。トンベリはその光景を思い浮かべて、満足げな様子でまた歩いて
いきました。
 そのうち民家の集まりにさしかかり、トンベリはその一つに近づきました。戸はもちろん堅く
閉ざされていましたが、トンベリの並々ならぬ腕力はそれを容易にこじ開けてしまいました。
 家に入るとまた大騒ぎ、住人は泣き叫びながら狭い家の中を逃げまわります。トンベリはその
情けない様子を楽しみながら、のんびりと住人を追いつめていきます。やがて二階に逃げ込んだ
男は、逃げ場を失い、とうとう二階の窓から飛び降りてどこへともなく走り去っていきました。
トンベリはこれを見て笑い転げ、それからまた同じようなことを何度か繰り返していきました。
 最後に入った家では、住人が逃げていった後にしばらくそのまま隠れて、もういなくなったと
思って住人が戻ってきたところで飛び出してやると、住人はびっくり仰天。トンベリはその顔を
見てまた大笑いしました。そのあたりで村人を驚かすのも飽きてきたので、トンベリはそろそろ
帰ることにしました。
 村の出口にたどり着くと、若い男たちが集まっていました。みなその手に各々用意した武器を
持って、トンベリを睨みつけていました。

233:名前:トンベリとモグ <sage> : 2005/12/07(水) 23:55:46 ID:oWeZJaw+0

「魔物め、逃げられると思うな!」

 一人が威勢のいい声を出すと、男たちは一斉にトンベリに飛びかかってきました。たくさんの
得物がトンベリに叩き込まれます。
 トンベリは苦しむ様子もなく、むしろ面倒くさそうに男たちを見回してから、それを無視して
また歩きだしました。男たちの方は、驚くやら怒るやら、トンベリの後を追って、何度も武器を
振り回してきました。
 けれど、何度やったところで同じこと。彼らの用意した取るに足らない武器では、トンベリの
堅い皮膚はいっこう傷付きはしませんでした。それどころか、逆に彼らの武器の方が徐々にかけ
ていきました。
 そのうち、疲れ果てた男たちは地面に膝をつき、来たときと同じようにぺたぺたと去っていく
トンベリを呆然と見つめました。小さなトンベリの背中は、霧の中で次第に薄れてゆき、やがて
とうとう見えなくなってしまいました。

234:名前:トンベリとモグ <sage> : 2005/12/07(水) 23:56:28 ID:oWeZJaw+0

 このトンベリという生き物が現れるようになったのは一体いつごろからのことなのか、詳しく
知る人間はありません。ただ、ある日、ふとしたおりに、いつのまにか。それは北風のように、
人々のうちに広く伝わっていました。

「トンベリが来たら、外に出てはいけない」

 トンベリが動物なのか、魔物なのか。いったいどこからやってきて、どこへ帰るのか。なんの
目的で人々の前に現れるのか。肝心なことはみんな曖昧なまま、けれどその噂は確かに広まって
いきました。
 まあ噂話なんて、たいていそんなものばかりです。根拠もなにもない、うすっぺらな絵空事。
どこかの酔っぱらいのつぶやきだって、ひとたびそれが噂になれば万人が信じて疑わない事実に
なってしまうのですから。ひょっとしたらトンベリは、彼らの思い描いた空想が実体化した存在
なのかもしれません。
 でもトンベリは確かに存在しました。そしてその外見は、人々の噂心をくすぐるにあまりある
ものでした。
 なんといっても、その右手に握られたほうちょうが、彼らの恐怖をあおりました。これがある
ために、よくよく見れば可愛げのある外見も、逆にいっそう不気味にすら見えてしまうのです。
おまけにどれだけ危害を加えてもぴんぴんしているとくれば、もはや人々が忌み嫌うのになんの
抵抗もありません。千人の血を吸ってきたほうちょうだの、人間の油をつかったカンテラだの、
噂は尾ひれをつけて広まるばかりでした。
 これだけ噂が大がかりになってくると、人間たちもなにもしないというわけではありません。
そのうちガストラという大きな帝国がこの話を聞きつけて、トンベリを捕まえようとたくさんの
兵隊を仕向けました。そうして噂の広まった地域では、昼夜を問わず帝国の兵隊たちがうろつく
ようになりました。

235:名前:トンベリとモグ <sage> : 2005/12/07(水) 23:58:15 ID:oWeZJaw+0

 トンベリももちろん彼らに気付きました。
 それで、この際だからどこか他所へ移ってしまうことにしました。
 トンベリがその気になれば、向かってくる帝国兵など紙のように振り払い、それこそ百人でも
千人でも殺すことができたでしょう。それだけの力はあったのです。でも、なぜだかトンベリは
帝国兵たちの姿を見ると、妙に気分が悪くなるのでした。からだがむずむずして、胸の奥がもや
もやして、だから帝国兵たちとは関わり合いたくありませんでした。それに、人間たちを驚かす
のも、もうずうっと前から飽き飽きしていたのです。
 そんなわけでトンベリは北へ向かいました。ぺたぺた歩みですが足取りは軽く、その表情にも
不安の色はありません。
 もともと留まろうと思って住んでいた土地ではありませんでした。未練なんかないのです。
 そうしてトンベリはただの一度も振り返ることなく、長年住んできた土地を後にしました。

 トンベリがいなくなって、人々はほっとしました。
 恐怖の対象であったトンベリが訪れなくなったことはもちろんですが、彼らはむしろ帝国兵が
村からいなくなったことに喜んでいました。家の周りに兵隊がうろついているなんて、嫌なもの
ですからね。
 噂が影を潜めると、トンベリの名前を口にする人もなく、やがて平穏の中で人々はトンベリの
ことを忘れていきました。まるではじめからトンベリなんていなかったかのように。そしてまた
新しい噂話に心を傾けるのです。

 トンベリが大地に残した足跡は、風にさらされて。
 人々の記憶に残した足跡は、噂話という風にさらされて。
 あとにはなにも残らず、トンベリ自身もまた、風のように去っていきました。


 北へ。はるか遠く北の地へ。 

236:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/08(木) 01:40:49 ID:a0mG7jAd0
おおっ!
今度はYのトンベリの物語か!
激しく期待

237:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/08(木) 01:52:36 ID:WJ06S3Jx0
age

238:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <age> : 2005/12/08(木) 01:53:09 ID:WJ06S3Jx0
しくじった...orz

239:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/08(木) 02:38:11 ID:+aOhDb1fO
み ん な の

240:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/08(木) 05:50:16 ID:4BoB5L3MO
じ あ い

241:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/12/09(金) 23:48:47 ID:Yg+i4wpI0
続きまだー?

242:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/12/11(日) 01:33:17 ID:6PJSsATQ0
間あけて投稿すんなカス

243:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/12/11(日) 01:38:00 ID:wP8kbVjs0
投稿しろクポー

244:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/11(日) 05:07:29 ID:1058g8Sf0
小学生のみなさんは冬休みで興奮してるかもしれませんが上げるなボケ

245:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/11(日) 23:45:05 ID:7SNhGKDU0
>>241-243>>283

246:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/12/11(日) 23:47:01 ID:2bzwbW590
よくわからんが283は大変だな

247:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/12(月) 17:49:44 ID:ZrvCKukWO
>>246>>283

248:名前:トンベリとモグ <sage> : 2005/12/13(火) 03:34:40 ID:fG3hoPYB0

 二

 さて、住み慣れた地を後にしたトンベリ。初めて経験する旅は、はじめは楽しいものでした。
 世界は限りなく広く、次々と目にうつる見知らぬ景物は彼の心を躍らせ、足取りはどこまでも
軽やかでした。トンベリは、日々訪れる新たな驚きに一喜一憂するばかりでした。
 しかし、そんなつつましい高揚も、日を重ねるにつれ次第に薄れてゆきます。
 終わりの見えない草原に、息をのむような渓谷、身を焦がすような灼熱の砂漠、忘れ去られた
小さな離れ島、そして星を包む青の大海。世界は果てしなく美しく、そしてそのどの場所にも、
必ず人間が住みついていました。そしてどの人間たちも、みなトンベリを恐れ遠ざけました。
 トンベリはがっかりしました。人間と関わり合うのに疲れて旅に出たというのに、彼らはどこにでも居座っていて、自分たち以外の生き物がそこに留まるのを許さないのです。まるで世界は
人間で埋め尽くされているようでした。そう思うと、あれほど広大で輝いて見えていた世界も、
あたかもちっぽけで、道ばたの石ころのようなつまらないものに思えてしまうのでした。
 それでもトンベリは歩きつづけました。歩き続け、そして疲れを知らないトンベリの身体にも
鈍りが見え始めたころ、空から綿のような雪が降ってきました。
 雪。この降り積もる白い雪も、トンベリが目にしたことの無いものでしたが、その美しさも、
今の彼の胸には何ももたらしませんでした。そしてその雪のカーテンの向こうに、大きな山脈が
佇んでいるのがぼんやりと見えました。トンベリは北の果てにたどり着いたのです。
 トンベリは暫くの間その場に立ち尽くし、雪に降られるまま彼方の山を見つめていました。
 トンベリの小さな頭のなかで、かすかな達成感と、一つの思いが揺らめいていました。

 ────もしもあそこにも人間がいたら。

 トンベリは雪を踏みしめ、再び歩き出しました。
 徐々に雪の影からその姿を現してくる山は、所々が赤く燃えているように見えました。


249:名前:トンベリとモグ <sage> : 2005/12/13(火) 03:35:18 ID:fG3hoPYB0

 ようやく山の麓まで辿り着いた所で、トンベリはため息をつきました。近づいてみると、途中
チラチラ見えていた赤い光は、トンベリのカンテラと同じ火の灯りであったことがわかったから
です。つまり、やっぱりここにも人間が住んでいたのです。
 トンベリは顔を上げて、人間たちの集落を見渡しました。山のあちこちに家が築かれ、人々が
行き交う姿がよく見えました。それから後ろを振り返り、雪に残された自分の足跡を見ました。
 人間とは関わりたくありません。でも、トンベリはそこから引き返す気もさらさらありません
でした。
 トンベリの胸の内でなにか大きな塊がうごめいていました。やがて、その塊はトンベリの足を
人間の集落へと踏み出させました。
 と、そのとき。麓の岩山の片隅に、大きな穴が一つ、ぽっかりと口を開けているのが目に入り
ました。穴は深く、どうやら山のずっと奥の方まで続いてるようでした。
 興味を引かれて穴に入ったトンベリは、思わず息をのみました。洞穴の壁という壁が、光輝く
無数の鉱石で覆い尽くされていたのです。鉱石は外からのわずかな月光を幾重にも反射しあい、
洞穴の中は目も眩むほどの、それでいてやわらかな明るさで満ちていました。広く世界を巡った
トンベリも、我を忘れてしばらくうっとりとしてしまったほどです。
 トンベリは文字通り目を輝かせながら洞窟の中を進んでいきました。岩山の中は、奥に行けば
行くほど美しく、また静かなものでした。さらに進んでいくと穴はどんどん広がり、小さな川が
流れていました。
 ここに住みたい。
 トンベリは初めてそう思いました。
 でもそこはまだ先程の出口から近く、そのうち人間が来るかもしれないと思ったのでもう少し
奥の方に住もうと考えました。
 そうやって住みやすそうな場所を探しながら、一時間も歩いた頃でしょうか。トンベリの耳に
笛を鳴らすような音がいくつも聞こえてきました。

250:名前:トンベリとモグ <sage> : 2005/12/13(火) 03:35:49 ID:fG3hoPYB0

 もしかして、こんなところにも人間がいるのだろうか。少し不安げに音のする方へと近づいて
いくと、トンベリの予想とはまるっきり違う光景がそこにありました。いえ、正しくは、予想も
できなかった光景と言うべきでしょう。
 何しろ、音の出ている開けた場所にいたのは、トンベリが見たこともない、白いふわふわした
生き物だったのです。それも、一匹や二匹ではありません。少なく見ても、ざっと50匹ほど。
それが大きな岩を囲んでクルクルと立ち回っていました。笛のようだと思っていた音は、彼らの
鳴き声でした。
 ようく目を凝らすと、大岩の下に生き物の仲間が何匹か挟まれていました。どうやら下敷きに
なった仲間を助けようとしているみたいです。
 そのうち、ふと岩の周りで立ち回っていたうちの一匹が、覗き込んでいるトンベリの方へ振り
返りました。慌ててトンベリは首を引っ込めました。が、既に見つかってしまっていたらしく、
身を潜めるトンベリの前にさっきの一匹がひょこんと顔を出しました。
 生き物の細っこい目が、トンベリの目をのぞきこみ、そして、

「手伝ってくれクポ!!」

 いきなり変な生き物が喋ったので、トンベリはひどく驚きました。
 そんなトンベリに構わず、生き物はぐいぐいとトンベリの手を引っ張っていきます。
「急に岩が崩れてきて、仲間が挟まれちゃったクポ!
 ぼくらだけじゃ岩が動かせないんだクポ! 頼むクポ!」
 聞きたいことも聞けないまま、あれよという間に、気付けばトンベリは大岩の前まで引きずり
出されてしまいました。他の白い生き物たちがトンベリをうさんくさそうに眺め回しています。
 隣を見ると、さっきの一匹が岩を押そうと頑張っています。どうにも居心地が悪かったので、
さっさと済ませてしまおうとトンベリは手をかけ、あっさりと大岩をどかしてしまいました。
 怪力を持つトンベリには、これくらいのことは朝飯前です。
 トンベリは、少しばかり自慢げな気分になって周りを見回しました。ところが、生き物たちは
呆然とした様子でトンベリを見つめるばかりです。それどころか、助けてやった生き物たちまで
先程と同じように、うさんくさい視線をトンベリに投げかけてきました。

251:名前:トンベリとモグ <sage> : 2005/12/13(火) 03:37:35 ID:fG3hoPYB0

 ……あぁ、そうなんだ。

 トンベリはフードを被り直すと、背中に嫌な視線を感じながら、また洞窟の奥の方へと歩いて
いきました。
 人間だけじゃない。怖いものを嫌うのは、人間だけじゃないんだ。
 あの白い生き物たちも、きっと他のどんな生き物たちも、そうなんだろう。
 だからさっきの生き物たちが、助けてくれたトンベリを嫌悪の眼差しで見つめたことだって、
悪いのはきっと不自然な力を持っている自分の方なのだろう。
 それは、怖いという感情を知らないトンベリにとって、あまりにも不条理な事実でした。
 けれども、もしも自分以外の生き物がみんなそのように感じているのだとしたら、トンベリは
自分もそれに従おうと思いました。すなわち、誰にも触れず、言葉も交わさず、笑いあうことも
なく、ひとりで生きていこうと。だって、そうするよりなかったからです。トンベリは、決して
自分が誰かを追い出す側にだけはなりたくなかったのですから。
 

 しかし、そんなトンベリの淋しい決意は、実はそう長くは続かないのです。

 トンベリの決心を揺さぶる笛の音が、まさに彼のすぐ真後ろまで慌ただしく迫っていました。

252:名前:56 <sage> : 2005/12/13(火) 03:38:43 ID:fG3hoPYB0
パソコン大破したんで買い替えてました。
>241-247
だらだら更新ですみませんでした。

253:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/13(火) 17:32:31 ID:oecaFYsGO
キタ*・゚゚・*:.。..。.:*・゚(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゚゚・*!!!!!

254:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/13(火) 22:44:41 ID:sgpWJX35O
書いた途端に神降臨で可哀想な>>209がいる件w

俺は結構好きだぞ〜、文章がアレなのはともかく内容はなかなか面白かったな、次に期待

255:名前:トンベリとモグ <sage> : 2005/12/15(木) 02:41:55 ID:64Lcusbe0

 三

「おおーい、ちょっと待ってクポ!」

 声に驚いて振り向くと、さっきトンベリを引っ張った生き物が走ってきていました。
「これ、忘れ物クポ!」
 そう言われて、トンベリは大岩を持ち上げたときにカンテラを置きっぱなしにしてきたことに
ようやく気付きました。おずおずとカンテラを受け取りながらお礼を言うと、彼はいよいよ気を
良くしたらしい様子で言いました。
「とんでもないクポ! お礼はこっちで言うことクポ!
 どうしようか困りはててたところだったんだクポ!」
 上機嫌なおしゃべりはとまりません。
「それにしてもおまえ、すごい力だクポ! あんなの見たこと無いクポ!
 いったい何食べたらそんな力がつくのかぼくにも教えてほしいクポ!」
 猛烈な勢いに気圧されながら、トンベリはさっき下敷きになっていた仲間たちは平気なのかと
尋ねました。
「あのくらいじゃぼくたちモーグリはちっとも堪えないクポ。
 そういえば、おまえはなんて名前クポ? あまり見かけない顔クポ」
 トンベリはちょっと考え込みました。もともと彼には名前がなかったのです。ただ、彼を恐れ
た人間たちによって、噂の中でいつしか付けられた名前が「トンベリ」だったというわけです。
でも他に思いつきもしなかったので、トンベリはその名前を告げました。
「ぼくはモグだクポ! それじゃあらためて、よろしくクポ!」
 モグはことさら嬉しそうな顔で、右手を差し出しました。トンベリも右手を差し出しかけて、
ほうちょうを握りっぱなしなことに気付き、慌てて引っ込めました。モグはほうちょうを見ても
けろりとしていて、それどころかトンベリが慌てふためく様子がまた可笑しいらしく、機嫌良く
笑っていました。

256:名前:トンベリとモグ <sage> : 2005/12/15(木) 02:42:57 ID:64Lcusbe0
 さっきもそうでしたが、この奇妙なモーグリが自分と同じ言葉を話すのは、トンベリにとって
大きな驚きでした。でも、それ以上に彼を動揺させたのは、モグがなんの恐れも抱かずに自分に
話しかけてきたことです。あんなに自然な言葉をトンベリに投げかけてくるものなど、それまで
ただの一人としていませんでした。
 トンベリの訝しげな視線に気付いているのかいないのか、モグは尋ねました。
「トンベリは、どこに行くんだクポ?」
 人間も君たちもいないところへ、というのは少し憚られたので、この山の一番深いところまで
と答えました。
 すると、モグは目を輝かせて言いました。
「ほんとクポ!? それじゃもう一つ、頼みたいことがあるんだクポ!」

 頼みごとをされるのも初めてだなあ、とトンベリは思いました。


 モグが話したのは、だいだいこんなことでした。
 何でもこの洞窟の深部には、雪男という乱暴な生き物が棲んでいるのだそうです。まあ乱暴と
いっても、彼は好物のイエローチェリーさえ食べていれば大人しいものなので、これまでは特に
困るようなこともありませんでした。ところが、最近人間たちが無闇に山を削り出したためか、
地盤が崩れてイエローチェリーの群生地が潰れてなくなってしまったのです。
 好物を食べられなくなった雪男は悲しみました。頭の悪い雪男の悲しみは、すぐに強い怒りに
変わりました。怒りは彼を突き動かし、雪男は好物を求めて、荒々しく地上に出ていきました。
彼本来の乱暴な気質が抑えることなく表れたのです。
 人間たちは、自分が原因でそんなことになったなんて露ほども知りません。彼らは自分たちの
住処を守るべく、雪男を山から追い出すことに決めました。

257:名前:トンベリとモグ <sage> : 2005/12/15(木) 02:43:21 ID:64Lcusbe0

 これに慌てたのはモーグリたちでした。彼らは人間たちがやってくるずっと以前からこの山に
棲んでいて、人間たちもそれは知っていたので彼らを追い出すような真似まではせず、なんとか
共存という形を保っていたのです。それが今度の騒ぎのせいで人間たちの気が立ってしまって、
これでは下手をしたら自分たちまで追い出されかねません。
 そこで彼らはなんとか自分たちで雪男を退治してまおうと頭をひねり、大きな岩を使って彼を
動けなくしてやろうと、準備にとりかかりました。ところが、誤って自分たちが大岩の下敷きに
なってしまい……、トンベリがあらわれたのはそのときでした。
 トンベリにはモーグリの事情がよくわかりました。人間というのは本当に欲の深い生き物で、
ときには人間同士ですら争いあうほどなのです。トンベリはそんな様を、旅の中で嫌というほど
味わってきました。
 トンベリはモグの話を聞きながら、麓で彼の胸に宿った大きな塊のことを思い出しました。
 あれはきっと、理不尽な人間たちへの、ささやかな苛立ちだったのでしょう。
 モグは言いました。
「でもぼくはあんな岩を使うのには反対クポ! 雪男はなにも悪いことなんかしていないクポ。
 だからなんとかしてあいつを慰めてやりたいクポ。だけど……」
 そこで言葉を切り、モグはため息をつきました。トンベリにもその意味はわかりました。彼の
思いつきに、仲間は手を貸そうとしてくれないのでしょう。それは、トンベリの後を追いかけて
きたのがモグだけだったことから、なんとなく想像はついていました。でなければ、トンベリの
ような余所者にわざわざこんな話をするはずもないのですから。
 そんなことを考えていると、モグが不安そうな目で彼を見ていました。トンベリは我に返り、
大きく頷いてやりました。途端にモグは満面の笑みで、目を輝かせました。
 トンベリにとって、モグの考え方はとても意外で新鮮なものでした。この水晶の壁のように、
彼の優しさがそれは立派なことに思えたのです。
 尤も、それをさしおいても、トンベリは彼のやることを手伝ってやりたいと感じていました。
 それがなぜなのかはよくわかりませんでしたが。

258:名前:トンベリとモグ <sage> : 2005/12/15(木) 03:11:22 ID:64Lcusbe0

 二人は連れ添って洞窟を奥へと進みながら、ぽつぽつと喋りあいました。
 もちろんはじめの方は、話をしているのはほとんどモグばかりで、トンベリはそれに二言三言
合いの手を入れるだけでした。けれどモグがあんまり忙しく、それも楽しそうに喋るものだから
彼の饒舌はだんだんとトンベリにも移りだし、いつのまにかトンベリも、モグに負けないほどの
おしゃべり屋になっていました。
 会話は愚か、口を利かれたことだってなかったトンベリです。初めて経験したおしゃべりは、それはとびきり楽しいものでした。言葉はとめどなく溢れ、話のタネは尽きることがありません
でした。実際、世界中を見てきたトンベリには、いくらでも話すことがありました。
 モグの方も、山での暮らしや、季節ごとに変わっていく北の大地のことを面白可笑しく語って
くれました。
 やがて、話はモグ自身のことに移りました。
「ぼくは幻獣さまの踊り子なんだクポ! 一番踊りのうまいモーグリしかなれないクポ!!」
 幻獣さま、というのは、トンベリやモグが生まれるずっと前にあった大きな災いのとき、彼ら
モーグリを守ってくれた不思議な生き物です。幻獣さまはそのときからからだが氷づけになって
しまい、今でもこの山の片隅でひっそりと彼らを見守ってくれているのだそうです。幻獣さまの
踊り子というのは、守り神の目を楽しませるために、幻獣さまの前で踊りを披露するモーグリの
ことを言います。モグはこれがたいそう自慢なようでした。
「でも、あいつらはぼくが幻獣さまの踊り子に選ばれたことが面白くないみたいだクポ。
 ほっとけばいいクポ! 踊りの練習もしないで、勝手にひがんでるんだクポ!」
 急に興奮した様子で、モグは仲間への愚痴をこぼし出しました。なまけものだとか、気が弱い
くせに文句ばっかり一人前だとか、しまいには、トンベリが助けてくれたときも、お礼の一つも
言わない、あのまま放っておけばよかった。そんなことをクポクポと忙しくまき散らしました。

259:名前:トンベリとモグ <sage> : 2005/12/15(木) 03:19:14 ID:64Lcusbe0
 どうやらモグは仲間のモーグリたちとあまり折り合いが良くないみたいです。彼の興奮ぶりを
見ながらトンベリは思いました。そういえば、踊り子に選ばれたと言ったけど、モグはみんなに
嫌われてるらしいのに、いったい誰が選んだんだろう?
 それを尋ねようとして、ふと、トンベリは急に辺りが暗くなってきたことに気付きました。
 変だなと思って上を見上げると、岩の天井になにやら黒っぽいものが張り付いていました。







────────────────────────────────────

>209は俺も面白かったですよ。
会話が豊富なトンベリってなんか書けないんで、凄いです。

260:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/17(土) 01:04:15 ID:NlsBPZPN0
トンベリってなかなかダメージ与えられなくてゲーム中では苦手な存在だったのに、
このスレ来て見方が変わった。作者さん方、激しく乙です。


>>トンベリとモグ
密かに期待していたウーマロもキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
ヴァリガルマンダの護衛者だったって解釈が新鮮で(・∀・)イイ!ですね。
本編中にも確か「人間の言葉をモグに教えたのはラムウ」というセリフがありましたから、
幻獣とは関わり合いが深かったのかなとも。新しい解釈のお話が読めて幸せです。
その後の展開や、仲間とのわだかまりがどう解消されるのかなど、続き期待sage。

261:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2005/12/18(日) 23:12:34 ID:1llTd6I70
>56氏
更新滞ってるみたいだけど、急ぐことはない
焦らずいつも通りのクオリティ高い作品を待ってるよ

262:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/18(日) 23:13:54 ID:1llTd6I70
ごめ・・あげちった

263:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/20(火) 21:52:20 ID:qvlbskJg0
気長に保守

264:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/23(金) 05:35:33 ID:c/mWqsqJ0
保守
56さんスランプか?

265:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/23(金) 10:15:30 ID:tvRUIKqI0
あのクオリティの文章を一瞬で書けると思ってんの?

266:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/25(日) 15:56:34 ID:9462sV1iO
メリークリスマス保守

267:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/25(日) 23:42:27 ID:mQiszCzw0
トンべりにナイツオブラウンドs使うのもう辞めます。
トンべり不憫だよトンべり・・・・。

268:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/27(火) 00:31:43 ID:MVPkahjx0
ムツゴロウに「みんなのうらみ」

9999のダメージ!

というわけで保守

269:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/29(木) 06:01:27 ID:8fHXl4A2O
今便乗してトンベリ話を書いている者なんだが、誰か『みんなのうらみ』の詳しい効果とエフェクト(歴代で一番代表的なもの)を教えてくれないだろうか?
今手元にVIしかなくて確認できない…orz

270:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/31(土) 04:32:31 ID:HqZwlAKi0
地味にほしゅ

271:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2005/12/31(土) 08:08:41 ID:IlwBbk8W0
>269
俺も手元にないから確認できないけど、
擬音とかは自分のイメージで適当に書いちゃっていいんじゃないでしょうか?
諸々こだわりなどあるのかもしれませんけど、作品期待してます

272:名前:** <sage> : 2005/12/31(土) 21:46:01 ID:7RrZYpSAO

 1

ある所に森が有りました。大きくもなく小さくもない中ぐらいの森が有りました。そこにひっそりと住んでいる生き物がいました。
名前はトンベリ。いつ、誰が付けたのか、トンベリは知りません。いつ、何処から来たのか、トンベリは知りません。彼は深く考えたりしませんでした。
いつの間にか森にいて、いつの間にかトンベリと呼ばれ、いつの間にか右手にとんがったもの左手にちかちかするものを持っていました。
彼は深く考えたりしませんでしたがお腹が空けば木の実や魚を食べ、喉が渇けば水を飲み、疲れたら木の根元に葉っぱを敷いて眠りました。
彼にはこの大きくもなく小さくもない中ぐらいの森が“世界”であり“全て”でした。彼は深く考えたりしません。
最もその大きくもなく小さくもない中ぐらいの森しか知らなかったのですから考え様もありません

273:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/01(日) 14:30:45 ID:2Ekn+/3j0
トンべりのばか

274:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/01(日) 19:26:18 ID:cprA+23u0
>272
おぉ、新作来たか!?

275:名前:** <sage> : 2006/01/01(日) 20:54:57 ID:ClHnY4gtO

 2

ある日。トンベリがいつもの様にやる事もなくぼけっとしていると、森の何処かでばぁんと音がしました。後からなにか鳴き声も聞こえます。トンベリは珍しくそれらの音に興味を持ちました。
何故なら彼は今まで自分以外の生き物に出会ったことがありません。それは彼がとんがったものを持っていたので、他の動物たちがトンベリの側に寄ろうとしなかったからだけなのですが。
そしてトンベリはよっこらせ、とのろのろ立ち上がりのたのたぺたぺた歩きだしました。もちろん、疲れたら少し休憩を挟みながら。
そうしてたくさん時間がたちました。トンベリは数字を知りません。ひとつより多いのはみんなたくさんです。とりあえずたくさん時間がたちました。
ようやく着いたその場所には、紅い水たまりと黄色のふわふわしたのがたくさん散らばっていました。良く見ると道になっている様です。紅い水が引きずられている方と黄色のふわふわと紅い水が点々と落ちている方とふたつあります。トンベリはふむ、と考えました。

276:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2006/01/01(日) 22:14:09 ID:eHyEl0tA0
 

277:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/02(月) 19:52:11 ID:gj8h73pnO
保守した方がええか?

278:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/02(月) 20:41:17 ID:QPTiahxh0
初めて読んだけど56氏クオリティたけーな。

279:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/03(火) 09:06:00 ID:C1e55IuQ0
トンベリニヨン

280:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/04(水) 22:11:28 ID:XwQfviNL0
>275
続きはー?

281:名前:** <sage> : 2006/01/05(木) 09:01:48 ID:0PJcQCboO

 3

トンベリは何気なくとんがったものを地面に立ててみました。とんがったものは紅い水と黄色のふわふわが落ちた方へぐらりと傾き、ぱたりと倒れました。
トンベリはそれを見ていました。長いこと見ていました。たくさん見ていました。
─────しばらくしてからトンベリはのそりと動きました。どうやら寝ていた様です。頭をあげ目をしぱしぱさせるとカンテラを掲げぺたぺた歩き始めました。本当にマイペースです
と、少し進んだ所でトンベリはぴたりと止まり、こちらへUターンして来ました。いけない。とんがったものを忘れてた
そうしてやっと、トンベリは歩きだします。その先にあるのは一体なんだろう。と思っているのかいないのかは知りませんがとりあえず彼がこうするまでに既に半時間はたっていました

282:名前:269 <sage> : 2006/01/05(木) 22:54:55 ID:NP49zgIKO
>>271
サンクス、時間かかるかもしれないけど自分なりに書いてみるよ。

と、思ったらいつの間にか新作が…;

283:名前:** <sage> : 2006/01/06(金) 12:23:00 ID:eDIHnyGKO

>>282
いけませんでしたか;;すいません…文才無いくせにでしゃばって orz

284:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/07(土) 00:40:21 ID:xQb36c8f0
いけないことないと思うが、どっちも書いてくれると嬉しい。
それより、文体がまんま56氏なのは意図的?

285:名前:** <sage> : 2006/01/07(土) 14:07:26 ID:VE4fXBj2O

>>284
いえ。別に意図的にはしてません。多分参考にさせて頂いてる分無意識に似てしまったみたいです…もし>>56さんに不快な思いをさせたなら謝ります。すみません

286:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/09(月) 23:21:28 ID:Wm7MRmLQ0
本格的に過疎って来たな……。
保守。

287:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <age> : 2006/01/10(火) 12:34:07 ID:MQwoGVbuO
トンベリ ヌっ殺してきたw

288:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2006/01/10(火) 12:53:02 ID:LKBvl0bRO
 
でっかいトンベリ
怖いよぉ(;´Д`)
 

289:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2006/01/10(火) 13:04:11 ID:DX76KKKx0
トンベリは、自分の住む小屋の近くの洞窟へ行くのが日課です。
そこの洞窟のなかは、曲がりくねった道が続いていていくつにも枝分かれしていて
すぐに迷ってしまいます。
でもトンベリは、全然平気。
少し湿った洞窟の中、いつものお決まりの道をゆっくりと進みます。

進んだ先に行き着いたところには、ひんやりした空気のある広い空洞。
そこにはキラキラって見えるような地下水が流れています。
そこの水を汲むことからトンベリの1日は始まるのです。

ドン・トンベリ ドン・トンベリ

290:名前:269 <sage> : 2006/01/11(水) 08:27:23 ID:DOjIDgAxO
>>283
いやいや、そういうわけじゃないんだ、すまない;
是非最後まで書き上げてほしい。
その間に俺がゆっくり書けるからw

291:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2006/01/13(金) 16:40:12 ID:5QUXHEV30
保守

292:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/15(日) 23:01:35 ID:fmnb4Ika0
保守します

293:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/17(火) 03:12:00 ID:G7AYLyI/0
保守

294:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/19(木) 13:02:25 ID:GFytQf8o0
ほしゅ

295:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/20(金) 21:30:43 ID:i+S5rTciO
ホシュ

296:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/21(土) 18:19:11 ID:TBBlmBu60
hosyu

297:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2006/01/21(土) 22:56:06 ID:egQW6Rx80
保守

298:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2006/01/22(日) 13:42:25 ID:Wl0UB3o9O
houchou

299:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2006/01/22(日) 17:43:02 ID:5Wd+4zvE0
>>56
X-2のベベルの地下迷路にいる子づれトンベリを思いだしたよ。。

アイテムもろた後に話し掛けるとキューンって鳴くのがめっさカワイイv

300:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/23(月) 19:59:03 ID:xWAeFeZZ0
トンベリVSドンペリ


ドンペリの先制攻撃!トンペリはぼったくりの請求に苦しんでいる

301:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/23(月) 20:40:00 ID:TOuI3NR0O
>>300
おーい、三体目出てきちゃってるぞw

302:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/25(水) 15:07:16 ID:XN8qWjxZ0
                 ,. -‐''''''''''''- .,
                ,. :'::::::::::::::::::::::::::::::゙:、
                  , ":::::::::r'~:,::::::::::::::::::::::゙:,
              ';:::::::::::::ゝ ':::::::::::::::::::::::::゙!- .,,,_
              ゙'' - :;;::::::::::::::::::::;::';;:: - '-‐ ''~〕
              f~~r 、''''‐-: ''''~~     ,,,,{,
        _,,,,,,_    /,ィ〔/T‐ェ',     ''''' ~~   ヽ
.     ,..:''~:::::゙i ~~''t-'7:::i' ! !::::::::~''- .,         -‐く
      i;:::::::; t-l   l::/:::::l l l:::::::::::::::::::゙i' - .,_     `i
      i゙''''f l::::l    l/::::::;l ll l:::::::::::::::::::;!:::::::::::~ ''''''‐-t-'
      l_l l::::!   /::::::::l l l l::::::::::::::::ゝ:;:::::::::::::::::::::::::゙i
   /  \:::l.  /:::::::〔,,,l:l,,,〕:::::::::::::゙!~ ~'- 、:::::::::::::::〈
   "''t---f''゙!::!  ./::::::::::::::i:i:::::::::::::::::r.'    ヽ;:::::::::::::ヽ
    〈   〉.l::l.  ,!:::::::::::::::l::l:::::::::::::::::゙t:..、     ~''‐-- 'i
     l---l ゙',.=く:::::::::::::::::l:::l:::::::::::;;: -!::::::ヽ,        ヽ
       ̄ r::'":::::::ヽ;::::::::::;;l;;;;l. ァ ''/ .r゙::;;;;:ノ::ヽ,       ゙:,
        ヾ:;;;;;;;::;;: ‐'' "   i  i‐ァ ,!r::'''''''::-:;ヽ.,     ,,. t'
      ,,. -'''"__゙' ‐---‐‐''"__,」:l,,,!l;:::::::::::::::::ヽ;::~'''''''~:::::::゙;,
      ゙'''''''''" ゙''‐----‐''"     ゙''‐---‐''" ゙''‐---‐''"

303:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/25(水) 15:27:17 ID:yE04nYmO0
>>302
カワイス

304:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/26(木) 23:48:47 ID:kFFpEo/u0
圧縮多いらしいから保守

305:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/27(金) 07:03:55 ID:xN9gtZJsO
そりゃ怖いな。
…って訳で、朝から保守。

306:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2006/01/28(土) 04:39:33 ID:tGnbA/SPO
保守age

307:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/28(土) 10:09:51 ID:P0oflwezO
保守するだけなのにageんな。

308:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/29(日) 03:38:36 ID:3xNyU/YGO
保゜ー守ん。
今度発売されるポーションは、かなり不味そうだ。瓶はいいけど。

309:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/30(月) 14:05:48 ID:2bDO09Ho0
>>56氏こないなぁ。保守!

310:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/01/31(火) 22:27:33 ID:ensJPuVVO
ほす

311:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/02(木) 01:35:57 ID:PKYlVBQ20
ホッシュドポテトしょっぱい

312:名前:8のトンベリ <sage> : 2006/02/02(木) 18:30:46 ID:WkWMsGSu0
遙か昔、セントラの地にいくつもの国があった頃、その中の一つに偉大な王の治める国があった。
彼はよく民を愛し、また民もよく彼を愛した。そのため国は栄え、収穫の時期には豊かな実りに恵まれた。
その様な豊かな国ならば、周りの国が放っておくわけなどない。その中でも特に隣の国などはなんとしてでもその国を手に入れたいと思い、何度も戦を仕掛けた。
隣の国が攻めてくると、王は優れた戦士としていつも先頭に立って戦った。
「進め!私が前に立って戦うぞ!」
彼が剣を振るえば瞬く間に三人の敵が倒れ、彼が弓を射れば遠くの将を正確に射抜いた。
「王だ!王が現れたぞ!退け!退け!!」
そうしていつも侵略者は恐れをなして逃げ出していくのだった。
王が国へ凱旋すると、民は歓喜をもって彼を迎え、国旗であるトカゲの旗を掲揚し、彼を讃えた。
「王よ!偉大なる我らの王よ!」
そうして民は王に対する信頼を一層深め、国はますます富み栄えるのだった。そんな事を繰り返しているうちに、隣の国は次第に攻めてこなくなり、王の国は泰平であるように思われた。
さて、王には一人の弟がいた。彼は王とは違い冷酷で残虐な男で、そのため民にもよく思われていなかった。
「何故だ!どうして民は私を信じぬ!」
弟は民に慕われている王に嫉妬の心を持ち、また自分を嫌う民を憎んだ。彼はいつしか暗い欲望抱くようになり、そしてついにそれを実行に移した。

313:名前:8のトンベリ <sage> : 2006/02/02(木) 18:50:36 ID:WkWMsGSu0

ある日のこと、弟は王を遠乗りへと誘った。
「我が兄よ、どうだ、今日は馬などを走らせてはみないか?」
王は答えていった。
「ふむ、馬か、お前と馬を走らせるのも久方ぶりだ。いいだろう。」
二人は馬を駆り王城を発った。
「弟よ!一体どこへ行こうというのか?」
王は弟の後を追いかけ問うた、
「来ればわかる!それとも私を追いかける自信がないか?」
王は笑いながらこう答えた、
「それは無用な心配だ!私の腕を忘れたか?よし、ならばお前の行くままについて行こう!」
弟はそれきり黙りこくると、さらに馬を走らせ、王はそれに続いた。
馬はさらに走り、やがて隣の国との国境の森が見えてきた。
「引き返せ!弟よ!その森は隣国との境だ、踏み込めばただでは済まされぬぞ!!」
しかし弟はにやりとほくそ笑むと、馬に鞭を打ち、森へと駆け込んだ。王は驚き、慌てて弟の後を追い森へと入った。

314:名前:8のトンベリ <sage> : 2006/02/02(木) 18:54:04 ID:WkWMsGSu0

その時だった!木の陰から槍が飛び出し、王の馬の腹を貫いた!王は馬から投げ出され、地を転がった。
そして急いで身を起こすと、あちらの木の陰、こちらの木の陰から隣りの国の兵士が現れ王を取り囲み、その後ろで馬に乗った弟がこちらを見下ろし、笑っていた。
「弟よ!これは一体どういう事なのだ!?」
王は弟を睨み詰問した。弟はせせら笑いながら答えた。
「どうということはない、私は隣国と通じていたのだ。
今まで隣国が我が国に戦で勝てなかったのは兄よ、お前がいたからだ。お前さえ引き離してしまえば攻め落とすことは容易い。見事国をおとした暁には私が王として遣わされる手はずになっている!
今頃は大軍が王城に向かって進軍を始めている頃だろう。愚かな我が兄よ!お前はここでなぶり殺されるがいい!わたしはお前の国が攻め落とされるのを見に行くとしよう。」
「おのれ!」
王は剣を抜き放ち、弟に迫ったが、取り囲む兵士たちに阻まれ、近づくことができない。その間に弟は森を抜け出し、王城に向かって走っていった。
「いくら王と言っても、これだけの人数に囲まれてはたまるまい。討ち取れ!討ち取って名をあげろ!」
兵士たちは我先にと王に殺到した!王は寄ってくる敵を片端から斬り倒していった。一人、二人と兵の数は減って行き、やがてあまりに斬りすぎて王の剣が真っ二つに折れてしまうと、王は懐の片刃の短剣を抜いてさらに敵を斬った。
そうして王以外に立っている人間がいなくなった頃には、あたりはすっかり夜の闇に包まれていた。
敵の気配が消えたことを確認すると、王は身を翻し走り出した。

315:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/02(木) 19:15:20 ID:mAVOdn2v0
新作キターー!
あぁ、しかしどう見ても鬱展開w

316:名前:8のトンベリ <sage> : 2006/02/02(木) 22:07:58 ID:WkWMsGSu0

王は走った!一心不乱に走った!!
馬ならばいくらもかからぬ距離でも馬を失い自らの足で走る王にとってはあまりに遠い。
王は足から血を流し、喉から血を吐きながらなおも走った。
そして陽が昇り、やっとの思いで王都にたどり着いたとき、王は愕然とした。そこは既に彼の知っている場所ではなかったのだ。
所々から煙が上り、美しかった町並みは無残に破壊し尽くされていた。
守るべき民は変わり果てた姿となって道端に横たわり、その虚ろな瞳は何物も映してはいなかった。
「誰か!誰か生きている者はいないのか!」
王はたまらなくなって、大声を張り上げた。すると、なにやら呻き声のようなものが聞こえた。声は王のすぐそばに倒れている老人から発せられていた。
王がすぐに老人を抱き起こしてやると、老人はわずかに目を開き、王の姿を認めると、恨めしげな目つきになって、弱々しい声で言った。
「ああ、王よ。今まであなたはどこにいっておられたのです?あなたがいないうちに隣の国がせめてきて、街を焼き、民を殺してゆきました。一人残らずです。王よ、何故です?
何故我らをお見捨てになったのですか?」
それだけ言うと老人は事切れた。
老人の亡骸を抱き王は泣いた。天を仰ぎ、涙を流して慟哭した。その悲しみの叫びは王都を震わせた。
「馬鹿な?!貴様、生きていたのか?!」
不意に王はよく聞き慣れた声を聞いた。

317:名前:8のトンベリ <sage> : 2006/02/02(木) 23:18:15 ID:WkWMsGSu0

その声は弟のものだった。彼は数人の兵士を連れ、自らの働きの成果、つまり破壊された王都を満足げに練り歩いている途中だった。
その姿を認めるやいなや、王は立ち上がり、呪いの言葉を吐きながら憎き弟に突進した。すかさず護衛の兵士たちが立ちふさがり、王を殺そうとしたが、もはや誰にも復讐鬼と化した王を止めることなどできない。
「貴様だけは絶対に許さぬ!!」
彼は彼の唯一の武器である片刃の短剣を抜き、瞬く間に兵士たちを斬り伏せるとその刃を裏切り者の腹へと深々と突き刺した。
弟はぐう、とわずかに声を漏らし、やがてずるずるとその場に倒れ、絶命した。
やがて騒ぎを聞きつけ、続々と兵士たちが集まってきた。
「王だ!王が生きていた!討ち取れ!」
兵士たちは口々に叫び、王に襲いかかった。
「お前たちも許さぬ!よくも我が民を殺してくれたな!!」
王は短剣を振りかざし、雄叫びをあげながら敵兵の群れに飛び込んだ。
そこから先は凄まじいものだった。王は何度斬りつけられ、矢を射かけられても倒れず、隣の国の兵たちは短剣一本しか持たぬ王に圧倒され、一人、また一人と倒されていった。
王は返り血と自らの体から流れ出た血で真っ赤に染まり、それでも戦うことをやめなかった。

318:名前:8のトンベリ <sage> : 2006/02/03(金) 01:10:38 ID:aPTTndPi0

 ・・・・・・長い時間が経った。王都、いや、かつて王都であった廃墟は夕陽に照らされ、民と隣の国の兵士たちの骸を紅く染め上げた。
かつて凱旋した王たちを迎え、トカゲの御旗を掲揚した広場、王はそこに息も絶え絶えで横たわっていた。なんと王は隣の国の兵士の全てを屠ったのだ。
だが王の体はもう限界だった。至る所から血を流し、矢が刺さり、もう永くはないのは誰の目にも明らかだった。
その時である。今まさに命尽きようというとき、王に話しかける声があった。
「強き者よ」
王が重い目を開けてその声の主を見た。そして思った、自分は神に話しかけられているのだと。
その声の主は右手に剣を携え、白銀の鎧を身に纏い、八本の足を持つ馬に跨っていた。その姿は重厚な威厳に満ちており、武人の神、正にそのものの姿だった。王は問うた、
「あなたは神か?」
武人は答えて言った、
「そのように呼ばれることもある。我が名はオーディン、我は先刻のお前の鬼神の如き戦いを偶然目にし、お前が我が力を得るにふさわしい強きものだと認めた。」
「人の王よ、我が力を受け入れよ。さすればその傷をたちどころに癒すことができる。」
しかし王はこう答問うた。
「あなたが私の傷を癒す力があるというのならば、我が国の民を蘇らせてはくれまいか?」
オーディンはしばらく沈黙し、やがて答えた。
「一度死んだ者を蘇らせることは我にはできぬ。しかし別の生き物に生まれ変わらせることはできる。」
「だがお前の民は激しい憎しみと悲しみを抱いて死んでいったのだ。その様な者たちは醜い魔物の姿となり、永遠に彷徨い続けることになるだろう。」

319:名前:8のトンベリ <sage> : 2006/02/03(金) 02:17:12 ID:aPTTndPi0

王は薄れ行く意識を必死につなぎ止め、最後の力を振り絞り懇願した。
「それでも構わぬ!武人の神よ!どんな姿でも構わぬ!私の民を蘇らせてくれ!」
すると奇跡が起こった。国中の民の屍が淡い光を放ち始めたのだ。そして光が消えたとき、屍は見たこともないトカゲのような魔物に変わっていた。
不思議なことにその魔物は皆、右手に王が持っていたものと全く同じ短剣を握っているのだった。魔物たちはしばらくぼんやりと佇んでいたが、やがてふらふらとそれぞれ歩き始めた。後にトンベリと呼ばれる事となる生き物の誕生だった。
「願いは聞き届けた」
だが、その声を聞くものはトンベリたちだけだった。なぜならこのとき王はすでに息絶えていたのだ。しかしそれでもオーディンは王に語りかけた。
「王よ。哀れな人の王よ。お前は我の見たどの人間よりも強かった。我はこの地に留まり、お前よりも強き者が現れる日までお前の城と民を守ることを約束しよう。」

 それからのちも、隣の国はかつて王の国だった場所に何度か兵を差し向けた。だがその度にトンベリ、かつてそこの国の民だった者たちに襲われた。トンベリたちはかつて彼らの王がしたように、その短剣で多くの兵の命を奪った。
また白銀の鎧を纏い、八本の足を持った馬に乗った武人に斬り捨てられた者も多かった。
そのような事が繰り返され、やがてその地に近づこうとする者はいなくなった。
月日は経ち、いつしか隣の国も滅びた。そして月の涙が降り注ぎ、セントラから全ての国が消えた。
しかし今でもセントラの地のどこかに王の眠る都があり、そこでは異形の姿と化した人々が彷徨い、武人の神が彼らを守り続けているという。


320:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/03(金) 03:38:40 ID:n4z4FmYu0
お〜綺麗に纏まった。
短いながらも楽しんで読むことができた。
王はトンベリキングになったのかな? 違ったらすまない。
なにはともあれお疲れ。

321:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/03(金) 08:35:28 ID:HQICyjSt0
GJ!

322:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/03(金) 16:06:34 ID:fwUre1Ki0
おおー、オーディンが絡むのか。GJです!
これで5〜8のトンベリが出てきたね。

323:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/04(土) 09:32:49 ID:O30hIsZ2O
お疲れさま〜。うーん、風景が脳裏によぎる文章ってすごいよなぁ。
負担にならない程度でまた是非。

324:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2006/02/06(月) 14:49:21 ID:SaQYvHrw0
ほしゅ

325:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/08(水) 04:24:45 ID:M0+w7vZ40
こんなスレがあったとは、職人さん方クオリティ高いな

ところでSSまとめサイトとかつくっても問題ないでしょか、
小規模ブログ形式になると思いますが

326:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/10(金) 06:45:24 ID:6Y5OKB+m0
いいと思うけど、まとめるほど数ないよw

327:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2006/02/12(日) 12:52:00 ID:WybmXZdzO
ドンペリ

328:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/14(火) 00:44:05 ID:m7mDGRbg0
保守か・・・

329:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2006/02/15(水) 20:27:12 ID:meXo3wkl0
期待age

330:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/16(木) 11:41:56 ID:bnJykjhZ0
ttp://www7.ocn.ne.jp/~dork/midi.FF5__Sorrows-of-parting.html


このMIDI聞いて読んでたら泣いた

331:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/17(金) 11:44:39 ID:8attR6wm0
>>330
ちょ、やばいこれマジ涙腺に来る

332:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/19(日) 00:49:27 ID:6LfuFc3+O
トンベリに代わってホシュ

333:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/20(月) 00:12:17 ID:5eKu4i9Y0
久々にFF8やってんだがよー
このスレッドのせいでトンベリ倒すのがかわいそうになってきたんだよー
でも、GFトンベリ取るためにトンベリ狩ってたんだ

『みんなの恨み』のエフェクトが刃物で切り付けられるものだったり
包丁の意味とか今まで気づかなかったことを思って、トンベリの鬱を味わってたんだ
んでさ、トンベリ20体倒してトンベリキング出したんだ
こいつがあの勇敢な王だったんだなーとか物思いに更け入りながら戦ってたんだべ

でもさ・・・


じだんだ踏んでたらい落として攻撃とか
倒した時のセリフが『ごめんなさい』とかさ
・・・あの凛々しさはどこいったとか思いながら保守

334:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/21(火) 22:41:35 ID:NXzKgpvd0
保守

335:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2006/02/22(水) 06:45:15 ID:s8Gzi8PIO
遏顯

336:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/22(水) 23:31:45 ID:t1wtv5iMO
(´・ω・`)読めんがな

337:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/23(木) 21:11:47 ID:ktXGGvXd0
トンベリかわいいよね

338:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/24(金) 11:12:48 ID:H1S6lTda0
構成、臨場感ともに素晴らしい

339:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/25(土) 17:43:59 ID:sE48e3NvO
うん。トンベリ前よりもっと好きになった。

340:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/25(土) 19:23:13 ID:ymySxJ3k0
このスレのまとめサイトとか作りたいと思いますが、問題あるのでしょうか?
問題なければブログ形式になりますが即効で製作したいと思います。

341:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/25(土) 20:15:29 ID:ogGNvg710
>>325とは別人の方ですか?w
問題ないと思いますよ、>>325も音沙汰ないし

342:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/25(土) 20:32:14 ID:ymySxJ3k0
>>341別人です。
ブログ形式でなおかつ1コンテンツ扱いですが問題ないですか?
(ちなみに古畑のまとめもどきもやっている)

343:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/25(土) 22:16:07 ID:TmBPkhua0
http://alnel.livedoor.biz/archives/50214796.html
>>342ですが、ここに今まで書かれたトンベリ物語をまとめておきました。

344:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/25(土) 22:36:10 ID:gj6tKoXx0
ここは書く時コテハンにしても叩かれない?

345:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ : 2006/02/25(土) 22:44:18 ID:TmBPkhua0
>>344
コテハンはやめたほうがいいです。

346:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/25(土) 23:24:23 ID:FuT/fyaT0
>>345ありがとうございます。では、他の方の様に数字とうにしますw

347:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/26(日) 00:11:10 ID:RRfyrFMk0
>>345
ん、なんで?
俺は別に叩かないけど

348:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/26(日) 00:16:00 ID:oLFmwgPP0
>>347コテハンと言う理由でたたく人もいるから

349:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/26(日) 00:20:53 ID:Qx6XSqf+0
>>343
乙です。
でも7の話が収録されてないのはなんで?
あと6はまだ未完なのだと思いますよ、たぶん……。

>>56氏帰ってこないかなあ

350:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/26(日) 00:43:47 ID:oLFmwgPP0
>>349
起きたら追加しますので

351:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/26(日) 01:09:42 ID:ileTYlpnO
そいやケータイサイトでまとめてる人がもう既にいたはずだが。

352:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/26(日) 01:16:22 ID:Qx6XSqf+0
初耳
どこそれ?

353:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/26(日) 14:39:16 ID:ileTYlpnO
スマソ、こないだケータイが故障してブックマークが吹き飛んだのよ。
だもんで場所はわからない。でも俺は間違いなくそこから来たんさ。

354:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/26(日) 15:27:52 ID:ileTYlpnO
見つけてきた。途中で止まってるな。
ttp://mbsp.jp/seventhheaven/

355:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/26(日) 15:36:43 ID:jsLr5c+a0
でもこのまとめサイトは携帯からしか見れない。

356:名前:あぼーん <あぼーん> : あぼーん
あぼーん

357:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/26(日) 23:14:24 ID:fUNj9Lpr0
あれ?なんであぼーんされてんだ?
ただのネタだと思ってたのに

358:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/26(日) 23:20:06 ID:Qx6XSqf+0
ほんとだ
普通に笑ったけどなw

359:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/26(日) 23:33:34 ID:COHLoZhz0
僕(固体)中に沢山が蠢いて居る。僕の中で叫ぶ者
「痛いよう」
「皆を返せ」
「僕を殺した」
「死にたくない」
渦巻く黒い感情は何の抵抗も出来ない子供だけの黒い渦。
怒り、悲しみ、憎しみ、みんな皆無力なままで死んだ。理不尽な思い。
恨みが連なり僕(トンペリ)となる。
トンペリの中がざわついた。喜んで怒った。
こんな気持ちになる時は、仲間がまた何処かで死んだ印。
それは仲間になる誰かが何処かで死んだ証し。
トンペリはランタンを持つとポテポテと歩き出した。当たりは暗闇。けれど尻尾が嬉しそうに跳ねるのは、自分の中の誰かが歩き出した事を喜んでるからだ。

360:名前:改め→12トン <sage> : 2006/02/26(日) 23:43:25 ID:COHLoZhz0
一つ一つの『恨み』を晴らさなければ僕の中の一つ一つが解放されない。
体の中で『恨み』が示す方向へと従って歩くが、空が白み始めるとトンペリは暗い洞穴を探りだして身を縮めた。太陽が当たると皮膚がチリチリと痛み出すのを避ける為に体に落ち葉をしっかりと掛けると眠りについた。

361:名前:12トン <sage> : 2006/02/26(日) 23:50:44 ID:Is3CdntZ0
「何だこいつ?」
森深くの遺跡の前に立つとトンペリは立っていた男にポテポテと近付いた。体の中の誰かが此所だと嬉しそうに跳びわまると連鎖して心の中が喜びで一杯になる。
「見掛けないモンスターだが、可愛いな」
男がトンペリに手を伸ばすと、トンペリは小首を傾げた。
「餌でも要るか?」
すると他の男も遺跡の奥から現れ

362:名前:12トン <sage> : 2006/02/26(日) 23:57:00 ID:Is3CdntZ0
「おい、デニーお頭が呼んでるぞ…お前それモンスターじゃねえか?」
「大丈夫だよ。こいつ、動きも鈍いし」
「ほっとけそんなの。今日は例の村を強奪だ」
その男の一言にトンペリの体の中が沸立ち、一瞬にして誰かの記憶が蘇り流れた。
燃える家々に、下卑た男の笑いに、闇を切り裂かんと立ち上がる炎と煙。

363:名前:12トン <sage> : 2006/02/27(月) 00:03:55 ID:ZsMMZR3K0
僕らを逃がそうと盾になった父の腹部から剣が生え、途端に唇から溢れ出した血。恐怖に駆られ弟の手を繋いで走って行く
「ぁ゛」
振り向くと繋いだままの弟の手首から先が無い。怒りと悲しみの咆哮を上げた後、最後に見たのは自分の骸だった。

こいつらだ。

364:名前:12トン <sage> : 2006/02/27(月) 00:12:07 ID:cziYDtOb0
「今行くよ。…ぐふ」
男の背中に持っていた包丁を突き立てると、トンペリはもう一度構え直して貫いた。
「あがっ」
勢いよく包丁を抜いた男の背中からは血飛沫が噴水の様に飛び出し、もう一人の男の目が突然の出来ごとに見開いた。
「デニー!!こいつ!」
トンペリに向かって走りながら男が剣を振りかざし
「なっ!?」
呆気にとられた顔で確かに剣が当たったのに手応えの無い剣を見た瞬間トンペリの包丁はサックリと男の腹に刺さっていた。

365:名前:12トン <sage> : 2006/02/27(月) 00:18:35 ID:cziYDtOb0
「あ゛?」
間抜けな声を断末魔に倒れた男を見もせず、トンペリはポテポテと遺跡の中を進んだ。
遺跡に絡まり延びるきの根を重い体を引き摺る様に避け、ポテポテと明かりが見える方へと進むと松明の下に数人の男の姿が見え、トンペリは嬉しそうにランタンを揺らしながら歩いた。

366:名前:12トン <sage> : 2006/02/27(月) 00:28:43 ID:ct/fBjHg0
ポテポテと足音も気にせず歩く血飛沫を浴びたトンペリに一人が気付くと男達全員が剣を構え、その周りを囲んだ。
「余裕だな」
仲間が居る事に余裕を見せ、楽しそうに笑いながら男達はトンペリに剣を浴びせるが、まるで効果が無い。
「何だこいつ!!」
繰り出す剣技が通じないモンスターに男達は恐怖した。
トンペリは相手の動きを気にする事無く包丁を突き立てていく。強いと信じていた仲間の死に男達の戦意は絶望に飲み込まれ。勝負は明らかだった。

367:名前:12トン <sage> : 2006/02/27(月) 00:34:29 ID:ct/fBjHg0
グチョグチョグチョ
トンペリは最後の一体の感触を何度も包丁を刺し楽しんだ後、動きを止めた。
体の中が嬉しさにぐるぐるするのを感じたかと思うと、体の中にあった一部が解放され消えた。

368:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/27(月) 21:02:00 ID:Zj4LcywKO
トンペリか。トンペリなのか…。

369:名前:12トン <sage> : 2006/02/27(月) 21:35:09 ID:W4sHN9CI0
>>359
こんな気持ちになる時は、仲間がまた何処かで生まれた印。
仲間になる誰かが何処かで死んだ証し。

でした。訂正します。

370:名前:12トン <sage> : 2006/02/27(月) 22:11:43 ID:oKFiEVKw0
旅は終わりが見えない。何年たっているのかも。トンペリに分かっている事は向かう『恨み』の方向だけだ。
旅の途中で『恨み』をもたらした者を殺し、当人が既に死んでいれば、足は自然とその血を持つ子孫へと向い包丁で刺した。
繰り返し『恨み』の相手を何度も刺すと足下に血の海が広がり同時に何人かがトンペリの中から解放され遥か遠くにあった思考が少しだけ戻って来た。

371:名前:12トン <sage> : 2006/02/27(月) 22:26:02 ID:oKFiEVKw0
ポテポテポテポテ
歩調にランタンの明かりが揺れた。トンペリの中はもう僕一人になっていた。自分の中が一人になって何だか物足りないのも今は気にならない。幾つか山を越えた辺りから僕の探していた『恨み』の気配が、やっと探していた宝物を見つけた様にトンペリの胸を嬉しさでくすぐった。

372:名前:12トン <sage> : 2006/02/27(月) 22:30:52 ID:oKFiEVKw0
隠し切れない嬉しさに、今度は自分の意思で尻尾がぱたぱたと揺れているのも分かる。
もうすぐ僕も解放される。体の中の渦巻く無念を晴らす為にトンペリは歩き続けた。
さらさらと水面に映る月の光を砕きながら流れる川の中を歩き岸へ着くと闇に包まれた森の木々を眺めた。

373:名前:12トン <sage> : 2006/02/27(月) 22:43:42 ID:mg0ir8mG0
トンペリは首を傾げどこか見覚えのある木々に浮かぶ黒い影を目で追った。その黒い影はクスクスと楽しそうに笑ったかと思うと走り回り消えた。昔の自分だと分かったが記憶の遠い彼方へと追いやられた本来の自分の姿は黒い影でしかなかった。

374:名前:12トン <sage> : 2006/02/27(月) 22:50:45 ID:mg0ir8mG0
しかし、そんな事はどうでも良いとトンペリは木々の間に見える村に入り視界を支配する畑を通り抜け、自分の中で違和感があるが懐かしい村を歩き一件の民家の前で止まった。
家の中から楽しそうに笑う家族の声がする。
確かめる様にトンペリは家の周りをポテポテと歩き回ったかと思うと近くにあるのに見つけられない『恨み』に苛立ち壁に包丁を突き立てた。

375:名前:12トン <sage> : 2006/02/27(月) 23:01:52 ID:OYxzw5kX0
何度も何度も壁の煉瓦が欠ける程に包丁を突き続けると、家の中から聞こえる声が静かになり扉が開いた。
「…誰だ?」
松明の炎に照らされ一瞬目が眩みながらも、ゆっくりとトンペリの様子を探る『恨み』へと近付き
「モンスター!!!」
声の主へと包丁を突き出した。
「ぐぇっ」
何事も無かった表情でトンペリは倒れ、骸になった『恨み』から包丁を抜き

376:名前:12トン <sage> : 2006/02/27(月) 23:12:05 ID:6lusvVKy0
「あなた!!」
悲痛な声で駆け寄って来たのも血の滴ったままの包丁で刺した。
トンペリはおかしいなと足元に広がる血をぺちゃぺちゃと踏んだ。
まだ僕は居る。
不思議に思い明るい扉の方を見るとまだ『恨み』が居た。
「…お父さんっお母さん…ひっ!!」
がたがたと震える『恨み』を見つけ出すとトンペリはむっくりと体を起こしそちらへと歩き出した。

377:名前:12トン <sage> : 2006/02/27(月) 23:33:14 ID:9ZJ50zML0
「…ぁっ…うわぁぁぁっ」
家の中に逃げる『恨みの者』をトンペリは変わらない歩調で壁の隅に追い詰めると、震えて固まったままの『恨み』腹に包丁を立てた。
「ぎゃぁぁっ」
光景が鮮やかで、刺した感触も鮮明だった。トンペリは刺すのを繰り返した後包丁を抜くと立ち尽くした。
今した復讐が前にもあった気がする。
トンペリの中に自分が死んだあの時が蘇った。

378:名前:12トン <sage> : 2006/02/27(月) 23:36:10 ID:9ZJ50zML0
「…っ逃げろ!」
血に染まる両親の向こうに見える僕を殺す者。何かが振り降ろされ、自分の死体を見た。
繰り返しだ。
僕は僕と同じ『恨み』の苦しみを作り出してしまったんだと悟ると同時に、トンペリの中が喜んで怒った。
こんな気持ちになる時は仲間(トンペリ)がまた何処かで生まれた印。そして僕が仲間になる誰かを今殺したんだ。
「ごめんなさい…」
呟くと僕は解放され、トンペリは消えた。

379:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/28(火) 17:57:13 ID:Kf7Hx82H0
やるせないな

380:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/02/28(火) 22:15:26 ID:aQJ9mydFO
「痛いよう」まで読んだ。

381:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/03/01(水) 16:10:05 ID:EEi+6BNL0
「どろろ」を思い出した(あれは自分の体が戻ってくる話だけど)

382:名前:12トン <sage> : 2006/03/01(水) 16:58:08 ID:XsJw2hwU0
>>333さんのレスをヒントに書きましたが…どろろって言うのに似てましたか…

383:名前:名前が無い@ただの名無しのようだ <sage> : 2006/03/02(木) 17:32:19 ID:Po3MDJbXO
保守

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