1/1 曇り
やたら寒いが、新年早々旅立つことに。
じいさんはまだ布団から出てこないので、玄関で嫁と息子に別れを告げた。
節分のころまでに一度戻って来よう。
正月でどの店も開いてないのでまっすぐ城へ向かう。
ひとしきり王様の話を聞いたあと、銅の剣を腰から下げた兵士にこんぼうをもらう。
街を勢いよく飛び出してしまったが、
ルイーダの酒場に寄って仲間を募れば良かったかもしれない…と少し後悔。
夕方までもくもくと歩き、塔の見える海岸でテントを貼る。
とは言え、真っ暗でシルエットしか見えないが。
明日はレーベに着けるだろうか。吹雪かなければ良いが。
1/2 曇り
朝起きるとテントがなくなっていた。
朝日を通して光る雲が眩しい。ていうかよく風邪引かなかったな俺。
急にアリアハンにいる息子のことを思い出す。
あれも元気のいいやつだった。
元気がよすぎて夜中に布団を跳ね除けたりしていないだろうか。
そしてそのまま風邪をひいたりしていないだろうか。
うなされて俺の名を呼んだりしていないだろうか。
パパ、心配になっちゃった。
1/3 雪(吹雪)
朝からひどい雪。というより、明け方に寒さで目が覚めた。
やはり急造の木の家ではアリアハン特有の北風を防ぐことは出来ないようだ。
焚き火に当たりながら湯をすすり、体が温まったのを見計らいレーベへと急ぐ。
日中になんとか橋を渡ることが出来た。
倒した一角うさぎの肉と皮を処理。この辺は我ながら慣れたもの。
皮をなめせば防寒の足しになるだろう。
日が暮れる頃レーベの村の明かりが遠くに見える。足を急ぐ。1時間ほどで村へ着く。
(村で最初に見た人間が女なら明日はついてる)
などと思いながら村へ入ると女性を発見。少し嬉しい。
疲れたのでまっすぐ宿屋へ。
隣の部屋の喧騒に、また息子のことを思い出す。
パパ、心配になっちゃった。
1/4 晴れ
久しぶりの快晴。
村の子供たちがはしゃぎまわる声で目が覚める。
宿の朝ごはんは、焼きたての雑穀パンとレーベ特産の芋のシチュー。うまい。
飯を食べて宿を出、1日かけて村を見て回り、装備なども整えた。
アリアハンでもらったこんぼうは売った。
店主に「はい、22G」と言われたが、あとで確かめたら21Gだった…。
雪で無邪気に遊び回る子供たちを見ていると、
魔王の手が迫っていることを忘れそうになるが、気を引き締めなおす。
村の南東に大きな岩を見つけ、
なんとなく押してみたがビクともしなかった。
村の子供に見られていたっぽく、少し恥ずかしかった。
明日はいよいよ南のナジミの塔だ。早く寝よう。
1/5 晴れ
昨日に続いての晴れ。岬の洞窟へ行くには最高の日和。
二晩世話になった宿の主人に簡単な弁当を受け取り、礼を言って宿を出る。
途中まではレーベに来るまでに歩いた道を引き返す。
一瞬だけアリアハンに戻ろうかと思うが、すぐに振り払う。
まだ一面に雪が残っているおかげで、
遠目にもモンスターの姿が確認できるので随分助かる。
夕方までに洞窟の入り口前にたどり着くことが出来た。
今夜はここで夜を明かし、明日早くから洞窟に入り塔へ向かおう。
焚き火を起こし、シチューを温め、
パンを軽く炙ってはシチューに浸して食う。うーんうまい。
「うまさ」という概念の中に「温かい」というものも入っているのだと知る。