てれれれ てっててー♪ 「おはようございます。よくお眠りになられていたようですね。」 おはよう御座います。声の代わりに、私はうなずきました。ところで最近気づいたことがあります。 ここの人たちは毎日変わらないのです。さらに私も含めて、食事の必要がないみたいです。 何せ死なないのですから当たり前かもしれません。生活をしているために何かをしているようではありません。ただそこに いる のです。 まるで私に話しかけられるのを待っているかのように、そのためにいるかのように。 そこでです、話すと長くなりますが、私はこの村に来る途中に森に入ってしまったのです。 薄暗いうえに不気味な音楽がかかっていましたので思わず竹竿を抱えてしまいました。 しかし私は野外での行動についての知識をよく知っていたのでいくらかは安心していたのです。 ♪ よぉさく は きぃー を きるーぅ 熊よけに歌を歌って、意気揚々と進んでいましたら、後頭部に激しい衝撃を受けました。何かの生き物に襲われたようです。 歌を歌っていたのになぜ?と思いましたが、しまったことに私は声が出ないのでした。 振り返ると水色のゼリーに顔が付いたものが三つ並んでいました。ええ。もお何があったって驚きません(弱そうだし)。 形は栗のようです。幸いけがは有りませんでした。ですが、 ・・っあの顔っあの人を馬鹿にしたような顔!思い出しただけで虫ずが走る!! こっr・・・ではなくて見たところ人に害をなす悪い生き物のようなので駆除してやろうと思ったのですよ。 もっている竹竿で(必要以上に何度も)殴ってやると思いの外吹っ飛んでつぶれて死にました。まったくゼリ-のくせに人間様に刃向かうとは生意気な。 ふと見ると他にもナスもどきやら木槌を持った栗っぽいのやら猿やらカニやら虫やらの骸が転がっていました。かわいそうに私の竹竿にぶつかったみたいです。 ・・猿蟹合戦でもしてたんですかね。いや不謹慎でしたか。民家で拾った種を食べてから、なんだかからだが軽いのです。 ちょっと調子に乗っちゃったかな。今は反省しています。 骸からは金目のものが見つかりました。 落とした人が困っていると思い、くまなく探していましたら、骸の中に人間の少年が混じっているのを見つけました。 外傷はないようです。 そばによると、目を覚まし、 「う~ん。あっ たすけにきてくれたんだね! ありがとう!さあ 村へ帰ろうよ!」 と一方的にいい、すごい力でひっぱってきました。 村に帰るようなので、なされるがままにしていたのです。 そうして村へ帰ったのです。 すると普段行動を変えないはずの村人たちが村の入り口に集まっているではありませんか。 いつものように顔色を変えずに足踏みだけを繰り返しています。その異様な雰囲気。何事かと思うと、女性の一人が前に出て、 「子供を救ってくれて本当にありがとう!」 そして他の村人も堰を切ったかのように、 「ありがとう!」「あんた英雄だぜ!」等々 そうして疲れているだろうと皆さんが宿に泊めてもらったのですが問題はその後です。 なんと村人の位置や会話内容が若干変わっていたのです。これがどういう事かわかりますでしょうか。 ここの人は 毎 日 変 わ ら な い はずです。 しかし私だけが動け、私の活動によってだけ彼らの新たな行動が許されるのです。 この村人は同じ事しかできないのではなく、新たな行動を許されないかわいそうな人たちなのです。 私だけが彼らを救える。私は救世主だったのです。いえ大したことではありません。辛いでしょうが、人々の役に立てるならば。 ん。あ、くれるの、ありがとう。今村人が何かくれました。カキピーみたいな種みたいです。 残念なことにお酒をはくれませんでしたが、いただきます。とりあえず十粒ほど手にとって食べましたが、なかなかおいしいです。 彼は人から反応されるという優越に心から満足し、この不幸な状況を心から喜んだ。 もとの世界でもそんなことはなかったかもしれない。