てれれれ てっててー♪

「ゆうべはお楽しみでしたね」

 なんで。・・普段は同じ事いうのに、なんで。 何で いらんこというんですか。
 振り返ると案の定さっき助けたかわいらしいお嬢さんが恥ずかしがってます。
 そうですよね、私たち離れて寝てましたよね、何もしてませんね、・・セクハラ扱いしないでね、ね、
 声が出ないので眼で合図すると、お嬢さんは恥ずかしそうに眼を交わし、笑ってくれました。
 若い女性にはいい思い出がないのですが、彼女は本当にいい子です。
 うんうんあの被害妄想あばずれどもとはちがうな。誰があんな(ry
 そのうえとても美人なんです。大きな目をしていながら上品な顔立ち、青い、さらさらの長い髪が美しい。
 彼女は私がカジノのための金かせgitっじゃなくて正義の魔物討伐にいそしんでたとき、魔物の巣の檻で発見したのです。
 残念なことに彼女も足踏みをしていましたし、必要以外のことはいっさいしゃべりません。
 彼女は町の護衛や魔物を討伐して生計を立てながら暗黒神を倒すために旅をしている、といったようなことを言っていました。
 暗黒神とは、この世界を悪い方向に持って行くやつです。
 彼女はそれについて詳しい説明をしました。なんだか大切な人を殺されたらしいですけど。生き返らなかったんですかね~
 まあ私は興奮していてよく聞いてませんでした。だからあんまり覚えてません。
 そんなことよりねぇ、うふっ うふふふふふふ、ふふふ
 次のイベントだ。私の新しい獲物が見つかりましたよぉ。見つかったんですよぉぉ。打倒暗黒神!いいですね。神なんて糞食らえ。
 そんな風に思っていると、その崇高なる思いを察したのか仲間になりたいと言い出しました。
 軽そうなローブと、武器のつもりなのか杖を持っているといういでたち。断ろうとしました。それに女の子にはいい思い出がありません。
 しかし何度首を振っても「そんな、ひどい・・・」といって聞き入れません。
 しかたないので首をたてにふると、カジノのスロットで当たったときのような、御大層なファンファーレが流れました。
 彼女は心から嬉しそうに笑い、「がんばります!よろしくね。さあ帰りましょう。」と言いました。

 また引っ張られるのかと思いきや、あのときの袋のようにぶつぶつやってるんです。あっと思ったときには
「リレミト!」
 パアアアアア・・・・シュン        ・・ュシュウウウウ・・・・
 洞窟の外に出ていました。紛れもなく呪文ですね。彼女呪文が使えたんです。この私にも使えないものを。
 と言うことは彼女は××大レベルの秀才です。外見を見て役に立たなそうだ、と思ったことをすまなくおもいました。
 若い方だったので、そんなに偉い方だとは思わなかったのです。
 ああ畏れ多い。オドオドと頭を下げると、彼女は気にしてないように真っすぐ眼を向けています。許してくれたのでしょうか。
 あっそうだ。カキピー食べます?おいしいですよ。・・だまって食べてくれました。
 脱出呪文以外にも様々な呪文が使えるようです。使える呪文は、
 メラ ホイミ ニフラム スカラ ヒャド ピオリム ギラ マヌーサ ルカニ リレミト スクルト ラリホー だそうですが、
 どんな効果があるかは知りませんし、教えてくれませんでした。と言うより会話ができないんです。私の声が出ないこととは無関係に。
 聞きたいそぶりをすると、自分の状態や、能力は的確に説明するのですが
 ですがそれ以外は全く、いっさい、がっさい、本当に、なにも、全然しゃべらないのです。
 仲間ではあるにしても、やはりこの世界の住人である、と言う厚い壁がありますね。
 ですが彼女がここの住民=不完全な者だとおもうと少し安心できました。
 ほら。私が何かしなければ、ほら、そこの黙々とカキピーを食べている哀れな女は進むことさえできぬのです。
 ふっふっふ。
 とりあえず呪文は使えますが打たれ弱い彼女を戦闘慣れさすべく、カジノ資金の調達・・じゃなくて打倒暗黒神のために修行に行ってきます。
 さあカキピーはたらふく食ったし、いきましょう。
 では!


「イオラ!」ずかん ずかん ずかかかかん    どんっ。
 あたりには真っ黒な塊がごろごろ転がっています。
 ここら辺にでる銀色のゼリーやそれが融けて泡が立っちゃっているような変な生き物、
 逃げるからつい熱くなって大量虐殺しちゃったんですけど、そのあとの彼女の成長はすばらしいものでした。
 まあ、見ての通りです。
 今かかっている壮大なBGMとは裏腹に、私はなんだか複雑な気分でした。
 ・・・はあ。私も魔法を使いたい。ですがね、私が馬鹿なわけではないんですよ。
 銀色の逃げる魔物をジェノサイドしたあと、頭の中に日本語じゃない言葉で、治れ 傷 とか、起これ 霹靂 とか、湧いてくるんです。
 そう、しゃべれないからいけないんであって、私が彼女より 劣っている とか、そんなことはないんですよ。ええ。うん。
 そ う で す ね ?   そうですよね!
 ふう。とはいえ、カジノで入手したメタルキングの剣のおかげで私もかなり強化しました。
 彼女にもグリーンガムというガムっぽい鞭を持たせました。
 もう一つ、資金があまったから みずぎみたいな戦闘服=バニースーツも買ったんですが、
 ・・・いや、ほんとに資金があまったから買ったんですよ。
 決して下心なんぞありまぺべんぶふ。はい。防御力が今よりあがるって言われたし。
 恥ずかしいんでまだ渡してないんですが・・・このハイレグのみずぎをきなされ
 あ、だまって装備しました・・。あ、のぞいてません。のぞいてませんよ。やっぱ恥ずかしそうですね。
 あっなんかファンファーレが鳴ってる。こいつは、さいこうだぜ!ああ、このとしまで、いきててよかったわい!・・ってなに考えてんだ。

「そんなにみないで。

     わたし・・・
 
         はずかしい・・・」

 ・・・だから、なんで普段は何も言わないのに何であんたらいらんこといいなんですか。まるで私が変態みたいじゃないですか。
 みてませんよコスプレ好きじゃないですよ私は。防御力が上がるから買ったんですよ。

 あっそうだ、うさみみバンドと網タイツとウサギのしっぽもあわせて買ったから着てみてください。

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