~なんだか心地よい声が聞こえてきた。まるで聖母がぼくに語りかけてきているようだった。 まあ、怪物になったりしたけれど、人をなるべく殺さずぼくは村を後にした。夢であろうが、ぼくは無血主義、言いかえれば喧嘩なんかとは無縁の男なのだ。 ああ、目が覚める。夢が覚める感覚がする。また平和な現実が待っているんだ。 女「おはようゆきひろ。今日から旅が始まるのね…。わたしのかわいいゆきひろ、さあ起きて」 ぼく「ゆきひろ?」 女「さあ、王様が待っているわよ。ごはんをたべて顔を洗ったら、出かけるのよ、ゆきひろ」 ぼく「う、うん…」 ぼくはまだ夢の中にいるらしい。ためしに自分の顔を殴ってみたのだけど、空間にみょうな文章がでた。 『ゆきひろは1のダメージをうけた。』 痛い…。もしかして夢ではないのかもしれない。 ぼくは、目を覚ました。つまりいままでが長い眠りの中だったのだろうか…。 まあいい、とにかくベッドから起きなきゃはじまらない。 窓を見ると朝日がまぶしく、やさしく祝福してくれたような光だった。 ぼくは目玉焼きにかりかりに焼いたパンという、天空の城ラピュタのパズーが食べていたような朝食を食べて城にいくことにした。もうラピュタも見れないのだろうか。そういえばデスノートの映画の後編をまだみていない…。気になっていた。 まさかこんな世界にこようとはだれが思っただろう。 街の誰もがぼくが勇者であると力一杯話しかけてくる。 ところで、ぼくの名前はゆきひろだったのだろうか。もう前の日に見た夢を忘れてしまうように、大切なものがすこしずつ失われていく。…まだ忘れてはいない、ぼくの本当の名前は、うん覚えている。 そして王の前にぼくはきた。 しけた金を手に入れ、なにやら強そうな得体のしれない怪物を倒せなどとほざいている。 これだけの兵力をもつおまえが倒しにいけという話ではないか。 この世界は平和で、争いとは無縁にみえたのに、なにがあるのだろう。 すこし、好奇心がかきたてられてきた。よしルイーダの酒場とやらにいってみるか!