男戦士「へっへっへ、ゆきひろ、まずは酒場に行こうぜ!」 ぼく「そうだなぁ…。誰かに場所を聞いてみようよ。あっ、すみませ~ん」 というわけで酒場に来た。未成年なんだけど、男同士のつき合いということで仕方なかった。まぁ、酒は飲まないけども。 酒場のマスター「おいおい、そこの人はダメだな、ジュースにするからね」 席につき、そのうち果実をしぼったジュースがきた。なかなか美味しい。 ぼく「これからどうしようか、サイモン…」 男戦士「あとは装備品でも買いに行こうぜ。今の装備品を高く売るのにも、安く買うにもテクニックが必要なんだ。その交渉術ってのを、見せてやる」 ぼく「バラモスはどうすればいいかな、今のままじゃ勝てないだろうし…。正直、迷ってる」 男戦士「強くなれば勝てるさ。各地のモンスター達を倒していって、バラモスにたどり着ければいい」 そうだ、それだけのことなんだ。強くなること、侵略を止めていくこと、あとは情報か。 男戦士「エリーはどうだ?けっこうカワイイと思うけどさ」 ぼく「まぁカワイイよな…うん…」 男戦士「…それだけかよ。おまえは奥手っぽいから心配だ、俺は、ははは…」 サイモンは幼なじみのナナが好きなのだろうか? ぼくにも、もといた世界で好きな女の子がいる…はずなのに少し記憶がぼんやりしている。帰れるかどうかも分かりはしない。 今のぼくは、心以外、体が、違う人になっていた。 オルテガの息子の心は、もといた世界の、ぼくの体に宿っている…。 きっと、入れ替わっているはずだ…。 今のぼくは勇者を演じ続けなければいけない責任からこうしている。 ごめん、サイモン…みんな…。 ぼく「うう…あっ…」 男戦士「泣いてんのか!?どうしたんだ…」 誰かぼくを助けてくれ。誰か…誰か…。 それから数時間、ぼくとサイモンはこの酒場にいた。