その次の朝に出発し、カザーブの村についたのは二時間後。 看板が汚れていてよく読めなかったが、村の人に聞いて村名が分かったのだ。 秘境という言葉がぴったりくる村…。ここがロマリアの国王が言っていた村に間違いなさそうだ。 村人「ああカンダタね、その盗賊なら子分らと一緒に村にたまに来るよ。ていうか西のシャンパーニの塔は奴らのアジトだから今はそこにいるだろうな」 有力な情報である。 ぼく(男勇者ゆきひろ)「ありがとうございました。たすかりました」 村人「いやいや、いいさ」 この後、村をまわってみた。宿屋は高く、武具屋などはなし…。やはり物静かな雰囲気の村であることがあらためてわかった。楽しみといえば温泉があることだった。夜に入ろうかな。 女武闘家エリー「ねえ、ゆきひろ、あれ…」 ん…墓だ。 『素手で熊を殺した、偉大なる武闘家、ここに眠る』 ぼく(男勇者ゆきひろ)「名前は誰なんだろう…」 汚れていて読めなかった。 女武闘家エリー「すごい人だったのね」 ぼく(男勇者ゆきひろ)「うん……」 男戦士サイモン「お、さっきのおっさんが来たぞ?」 村人「見たところ、冒険者だね、昔やってた店の武器やらがあるから、うちの家にこないか? 格安にしとく」 ぼく(男勇者ゆきひろ)「へえ…。じゃ伺います」 そんなわけで、行くことになった。普通の民家、そのうらの物置に。 女武闘家エリー「えっ!!」 村人「どうだい、何か欲しいのはあるか?」 女武闘家エリー「これ、鉄の爪じゃない! きゃあ、やった!!!!」 ロマリアにもなかった武闘家専用の武器だった。なぜか武闘家の武器はレアのようで、これまで見たことはなかった。 女武闘家エリー「すごいね、ゆきひろ! あたしの武器、見つかったわ!」 ぼく(男勇者ゆきひろ)「うん、すごいな!」 思わず、いきおいで抱擁しあってしまった…。 男戦士サイモン「おまえら、そんなに仲よかったっけ」 女僧侶ナナ「よかったですねエリー!」 村人「武闘家さんなら武闘着もあるから、武器と一緒で1000Gでいいよ」 高い攻撃力の鉄の爪と、高い防御力の武闘着がやすく買えてしまった。 偉大なる武闘家が眠る村には、すばらしい武闘家の装備品が売っている。 バラモス、着実におまえに近づいているんだ。