サマル、リアと一緒にリリザに向かっているのだが一つ問題があった。サマルの装備が貧相なのだ。
タケ「サマル、ちょっといいか?」
サマル 「どうしたんだい。もょ。」
タケ「お前…棍棒じゃ、あんまり役にたたないんじゃないのか?」
サマル 「くっすん。実はこれしかなかったんだよ。」
タケ「えっ?」
サマル 「父上に100ゴールドしか渡してくれなくてこれしか買えなかったんだよ。」
タケ「マジかよ!?サマルトリアは裕福じゃないのか?」
サマル 「父上が『男ならこれで旅の支度をせい!』って言われたんだ。」
タケ「……………………」
こいつも苦労しているな。なのに何でリアの方には魔導士の杖や高そうな服装をしているんだ?何か事情がありそうだ。
タケ「サマル、リリザに着いたらいい武器を買うから俺に任せな。」
サマル 「い、いいのかい?」
タケ「気にするな。それにこれから先強力な武器防具が必然的になるしさ。」
サマル 「ありがとう。もょ!」
サマルが急に嬉しそうな表情になった。今夜一波乱あるかもな…
リア「もょもとさん!お兄ちゃん!リリザの街が見えてきたよ!」
サマル 「わ、わかった。」
タケ「すぐ行くよ。」 

リリザに着いた俺達は真っ先に武器屋に向かった。
さっそくオヤジに鎖鎌を頼み購入することにした。400ゴールドだ。
リア「もょもとさん。ちょっと高くないかなぁ?」
タケ「サマルの武器が棍棒じゃこの先不安だからな。」
リア「えーっ…でも…」
タケ「こういう時は惜しんだら駄目なのさ。わかったかい?」
リア「はぁい…」
サマル 「…………………」
なんとかごまかせたな。次は鎖帷子、鱗の盾を購入するか。
タケ「サマル、リアちゃん。鱗の盾は3つ購入するのだが、鎖帷子はどうする?」
サマル 「それは必要なのかい?」
タケ「ああ。盾は必需品だが、鎖帷子は皮の鎧より丈夫だからな。」
リア「私はいらない…」
タケ「リアちゃんなぜだ?」リア「身かわしの服があるから大丈夫なんだ☆彡」
タケ「わかった。じゃあサマルの分だけ買うよ。」
合計1350ゴールドかかったが仕方がない。武器屋のオヤジが言うには身かわしの服は鋼の鎧より丈夫でしかも相手の攻撃が当たり悪くなるという不思議な効果があるらしい。
サマルの奴、冷遇されすぎだぜ。兄妹なのに待遇の差がありすぎる。

ともかく道具屋に向かい、薬草と毒消し草を各自2つずつ購入した。あとは宿屋に泊まるだけだ。

宿賃を払い、部屋を割り当てることにした。
タケ「どうしようか。俺とサマルが一緒の部屋にするか?」
サマル 「そうだね。そうしようか。」
リア「一人は嫌!お兄ちゃんと一緒がいいの!」
サマル 「我儘言っちゃ駄目じゃないか。」
タケ「まぁまぁ、俺は一人で構わないから今日はサマルとリアが一緒でいいよ。兄妹じゃないか。」
サマル 「で、でも…」
リア「ありがとう!また明日ね。」
タケ「わかった。二人共寝坊だけはするなよ。」 

サマル達と別れ、部屋についた。しばらくは普通に話せるな。
タケ「もょ。大丈夫かいな?」
もょ「おかげさまでたすかったよ。」
タケ「それは良かったで…しかし誰にもばれない様にするのは辛いな。」
もょ「それにふつうにはなしもできないしな。…はなしはかわるがなにかあったのか?」
タケ「勘がええやっちゃな~実はサマルとリアの事や。あいつら見てどう思う?」
もょ「そうだな、サマルがたまにいやそうなひょうじょうをするなぁ。」
タケ「それに、リアの方が良い装備しているしな。」
もょ「けんかばっかりしてあしをひっぱらなければいいのだが…」
タケ「何言ってるねん!もょも最初は超がつくほどヘタレやったやないけ。(´,_ゝ`)プッ」
もょ「そ、そんなことなかったぞ!」
タケ「そんな事なかったよな(・∀・)ニヤニヤ」
もょ「お、おぅ。しかしげんいんはなんだろうな?」
こいつ話を切り返しやがった。うまくやりおったな~
タケ「今日の特訓のついでに俺が探っといておくわ。無理にこっちから動く必要はあらへん。いずれは早かれ遅かれぶつかる問題やろ?今日はゆっくり休むんやで。もょ。」
もょ「わるいな。さきにやすませてもらうよ。」 


夜が来た。今回思ったのはもょもとの成長スピードが早いと感じた。判断能力は一級品だ。しかも以外性の行動が成功している。俺も成長しなきゃ足を引っ張るだけ。
ましてあの3人はロトの血が流れているからな。サマルもリアも早いかもしれん。
タケ「何か新しい必殺技を開発せえへんとホンマにやばいな。」
強撃じゃ威力はあっても囮を使わなきゃなかなか当たらない。パワーだけじゃ駄目だ。スピードも必要となる。何か閃かないのか…

頭が痛くなってきた。

タケ「何も考えずにシャドウトレーニングでもするか。」
しばらくたった後、無心に剣を振っていたら足跡が聞こえた。とりあえず壁に隠れて様子を見る事にした。綺麗な女の子やったらナンパでもするか。

違った。サマルとリアだ。こんな夜に何をするのだろうか?もしかして(*゚∀゚)=3ムッハー!な出来事か!?期待して様子を見る事にした。二人共俺の期待に答えてくれよ… 

リア「お兄ちゃん。どこに行くの?」
サマル 「何でリアがついてくるんだよ。関係無いだろ。」
リア「一緒に旅しているのだからいいじゃない。」
サマル 「今だから言えるけどお前みたいな妾の子供と一緒にいるなんて嫌な気分さ。」
リア「えっ…?そ、そんな、ひどいよ…」
サマル 「しかも父上はリアに溺愛して僕には質素な準備しかしてくれなかったしな。」
リア「で、でも…」
サマル 「今回の事で良くわかったよ。あの女が父上を利用して僕を陥れようとした事がね。まぁくたばってくれたお陰で、これから自分を殺さずに嫌な思いをしなくて済むからな。」
リア「………………」
サマル 「しかも犬みたいに僕に懐いて何か企んでいるのだろ?」
リア「そ、そんな事ない…」
サマル 「あの忌々しい女の血が流れているんだ。変な真似だけはするなよな。」

リア「ふっ、ふぇぇぇぇ~ん…」

リアが泣きだした。要するにサマルとリアは腹違いの兄妹だったのか。慰めに行きたいのだが今行ったら逆効果だ。嫌なモノを見てしまったな。旅して行く内に力になる時は必ず来るはずだ。

タケ「ちっ、こんなんじゃ剣も振る気にもならへんわ…」

俺は壁にもたれてボケーっとしていた。腹違いか…環境が人を変えると言うのだが人の憎悪は恐ろしいものだ。サマルはある意味被害者かもしれないが弱者に対して八つ当りするのみたいだ。俺達の前では猫を被っているという事か。スネ夫みたいな奴だな。
また難題が増えて悩む事になるのかよ…

くつろいでいるうちに何か口論しているのが聞こえた。気になるのでその場所に行ってみることにした。

荒くれA「お嬢ちゃんいいじゃねぇかよ~」
リア 「いやぁっ!」
荒くれB「泣いていたから俺達が相談に乗ってやるんだって言うんだよ。」
リア 「や、やめてよ~」
リアが絡まれている。ナンパじゃないみたいだ。とりあえずおっぱらうか!
タケ 「お前ら何してるんだ?汚ねー○△×おったててよ。」
リア 「も、もょもとさん!」
荒くれA「何だオメーは?やんのかコラ?」
タケ 「大事な仲間なんだ。離してもらうぞ。」
荒くれB「うるせぇ!」
荒くれがパンチを仕掛けてきたが何故かスローに見えた。実戦で養われた勘が反応したのか?ともかく、巧くかわしカウンターパンチを食らわした。荒くれが倒れた後すぐ喉の近くにいつでも剣が刺せる態勢をとった。
タケ 「何事もなく立ち去るのか、このままこの馬鹿が死ぬのとどっちがいいか選べ。」
荒くれA「わ、悪かったよ。謝るから許してくれよ!なっ!?」
タケ 「はぁ?俺は選べって言っているんだよ。会話を成り立たせる事が出来ないマヌケが。」
荒くれA「わ、わかった!これで離してやってくれ!」
タケ 「取引成立だ。行け。」
荒くれB「ひっ、ひぃ~~~~~~!」
中身は100ゴールドか。しけているな。それにしてもこの体は凄い可能性が秘められているぜ。

リア「あ、ありがとう…」
タケ「無事で良かったよ。」
リア「もょもとさんはなぜ起きていたの?」
タケ「寝る前に特訓していたのさ。もっと強くなりたいからね。」
リア「そうなんだ…」
タケ「夜遅いから早く戻りな。」
リア「で、でも戻りたくないの。」
タケ「何かあったのか?」
リア「……………………」
タケ「話したくなければ別に構わない。今日は俺の部屋を使って良いからそこで休んどいてくれ。」
リア「い、いいの?」
タケ「気にするな。俺達仲間だろ。それに暗い表情はリアちゃんらしくないぞ!」
リア「ありがとう!」
リアの表情が明るくなった。信じていた者に裏切られたんだからな。無理もない。
リア「もょもとさんはこの後をどうするの?」
タケ「あいつらに金を返して戻るよ。」
リア「うん!先に戻っておくね。おやすみなさい。」
さて、あの荒くれ共を探すか。立ち去った方角に歩いていたら酒場が見つかった。入る事にした。
あの馬鹿共はどこだ…?奥の方にいた。 

荒くれ「くそっ!あの野郎ボコボコにしてやるぜ!」
タケ 「ほー。誰をボコボコにするやと?」
荒くれ「ア、アンタいたのか?お、俺達に用は無いはずだろ?」
タケ 「何もせえへんから安心しろや。気は進まへんけどアンタ等から巻き上げた金を返しにきたんや。」
荒くれ「えっ?」
タケ 「人から巻き上げるのは性に合わへんからな。それだけや。」
巻き上げた金を荒くれに返した。
タケ 「じゃあな。」
荒くれ「ま、待ってくれ!このままじゃ悪いからアンタにある情報を話すよ。」
タケ 「なんやと?」
荒くれ「サマルトリアから西に行った所ある湖にか囲まれた洞窟にある盗賊が隠した宝があるんだ。」
タケ 「じゃあアンタ等はそれを俺に教えるんや?」
荒くれ「本来なら俺達が悪いんだからな。俺達もその洞窟に行ったんだがモンスターがうじゃうじゃいて手出しが出来ないんだ。生半可な力じゃ太刀打ちできねぇ。」
タケ 「わかった。とりあえず向かってみるわ。」
これが災い転じて吉と成すってやつか?目的地が決まったし戻るとするか。
宿屋にもどり、自分の部屋に戻ったらリアが寝ていた。可愛い寝顔だ。
タケ「ゴクッ…」
ここで手を出しちゃあさすがに不味い。落ち着け俺。余ったかけ布団で雑魚寝するしか仕方がないな。床に横になって俺も眠った。

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