目が覚めたらそこはベッドの上だった。 とりあえず二度寝しようと寝返りを打つがどうも眠れない。 ぐだぐだベッドの上で時間を過ごしていたが喉が渇いたので起きる。 寝る前に着てたフリースにパンツはそのままだった。 「おや、気づかれたのですね!旅のお方!」 階下に下りるとやたらテンションの高い緑色のオヤジが話しかけてきた。ウザイ。 低血圧な俺は胡乱そうな目で睨んでやったが気づいたのか気づいてないのかテンションが変わらない。参る。 「行き倒れた貴方を見つけたときはどうしようかと思いましたよ!いや良かった!」 なんだろう、行き倒れてたって。っつーか、ここ何処よ。とりあえずヘタレな俺は「あ、どーも」とか言いながら薄ら笑いを浮かべる。 我ながらキモスwwwなどとやっている間に俺もテンションがようやく普通レベルにまで戻った。 緑色の話では此処は宿屋らしい。まあ、とりあえず外に出ようと出入り口へ向かう途中銀髪の男と擦れ違った。 うはーDQNキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!! 怖いので絶対に目を合わせない。それが俺のジャスティス。 横目で窺うとまだこっちを見ていた。コワスwww脱兎の勢いで宿を抜け出す。もうここには戻れない。 宿を出るとなんか緑が一杯だった。 道らしきものはあるものの、人が踏み固めた程度のもので周りには草が沢山生えている。 なんだか田舎だなあと思った。夢っぽい。夢だとするなら都会から脱出したい願望でもあるのだろうか? とりあえず、夢っぽいので色々出来ない事をしてみる。
/⌒ヽ ⊂二二二( ^ω^)二⊃ | / ブーン ( ヽノ ノ>ノ 三 レレ
とても恥ずかしくてできないような事もできてしまう。なんと良いものかー! 調子に乗って走っていたら花畑の中で何かに躓いてこけた。 しまった!?人を轢いてしまったか!? 怖くなったのでそのまま逃げる。なんか帽子っぽいのが吹っ飛んでたように見えたが気にしない。気にしたら負けかなと思っている。 そのまま何処までも駆け水平線の向こうにまで行きたかったけど行けなかったので手近な地下倉庫に隠れる事にした。 最奥まで辿り着いてようやく一息つく。やれやれ。やはり、まだまだブーンをするにはスキルポイントが足りない。 なんか疲れたんでもう寝る。グッバイ、俺のドリーム。 ドンドンドンドン五月蝿い。 なんだぁ、また幼馴染のあいつが起こしにきたのかぁ。 考えてから一気に鬱になる。そんな都合の良い生き物が傍にいた事実は一切無い。 泣きたい気持ちを抑えて辺りを窺うと、どうやら地下室に反響しているようだった。 五月蝿いので壁に壷を投げつける。今の俺はハートブレイキングしていたのでなんの躊躇いも無い。 暫くしてようやく静かになったと思ったら、何か声が聞こえてきた。 「デスピサロさま! ゆうしゃ ソロを 捕らえ ソフィアを しとめました!」 「よくぞ でかした! では みなのもの ひきあげじゃあ!」 m9(^Д^)プギャーーーッ ひきあげじゃあ!って何処の国の武将ですかwww 余りの滑稽さに腹を抱えて笑っていると何やらしくしくと啜り泣きが聞こえてきた。 いつのまにかこの地下室に俺以外の人間がいたのか。 緑色の髪の(not 宿屋の主人)どうやら娘、は俺の話が聞こえてるのかいないのか、ふらふらと扉を開けて外に出て行く。 俺はもう一度二度寝(?)をしようか迷ったが、なんか妙な静けさに恐ろしさを感じ、その娘の後に続いて、外に出た。 俺は言葉を失ってしまった。 今まで、見た事の無い風景が目の前にある。 綺麗な水は泥水に変わり、草や樹の爆ぜる音が時折響く。 家は赤々と燃え、村の中央にあった花畑は、紫色の悪臭を撒き散らしている沼になっていた。 亜qwsっせdfrgtyふじこlp; 溜まらず胃の中のものをげろっぴしてしまう。ヤバイ。ヤバスwww。 なんか泣いてるっぽい。なんで泣いてるんだろう。解らん。俺自身に解らないってやば過ぎる。宇宙ヤバイ。 かろうじて泥の混ざっていない水で口の周りを拭いてもう一度辺りを見回す。 紫色の沼の中。あの、緑色の髪の娘が佇んでいた。 ぐあー明らかに身体に悪そうな色なのに何やってんだー! ヤケクソ気味に沼地へと突貫する。何やらずがずがと痛そうな音がした。 っつっかいてええええええええええええええええええええええああああああああああああああああああああ しい言いいい言いいい言いいい言い言い言いぬうううううううううううううううううううううあばばば 必死だなwと、自分を嘲笑う事でかろうじて意識を保ち、娘を引きずり出した。 「ばかやろー!しにてえのか!」 まるで柄の悪いドライバーのような台詞を吐く。 だが、現実には死にそうなのは俺の方だった。多分、今、突付かれると死ぬ。リアルで。 娘はふるふると震えながら、何かを抱きしめているようだった。 俺には、それが何となくだが見覚えがある気がした。 大事そうに袋にしまう娘をぼんやりと見ていたのだが、やがて娘が立ち上がり、俺に向かって頭を下げてきた。 「あん?あー、いや、なによ。なんか喋れよ」 困った時の薄ら笑い。俺の必殺技を繰り出すものの、娘は何も喋ってくれない。 そうか。これはあれか。俺みたいなキモメンと喋るとうつりそう、ないし妊娠しちゃうって訳だな!? あはーは、もう慣れっこさ!そういう事ならOK! 深い深い自虐の海に沈む俺を見て、何を思ったか娘は再びしゃがみこみ、何かを地面に記し始めた。 娘は、言葉が喋れなかったのだ 村を出た。というか、廃墟なんだが敢えて村という事にする。 鬱蒼と茂る木々の中を歩く、歩く、歩く、怖い。 どうやら日が落ちているようで、辺りは真っ暗だった。 木の葉が擦れる音、虫の鳴き声――そして、獣の息遣い。 走り出したくなる気持ちを堪え、だが残念ながらびくびくしてしまうのは我慢できず、それでも何とか歩いて行く。 やがて、明かりが見えた。俺は極度の緊張が祟りもう今にも倒れそうだったので 「助けてください!」 ドアを蹴破れ恥も外聞も無く世界の中心で愛を叫んでみた。 「帰れ!ガキ!!!」 ズガン! 思い切りの良い蹴りが爽やかな風を巻き起こしながら迫り来る。 俺は今、外的ショックを受けると問答無用で死にそうな気が何故かしていたので必死で回避を試みる。 成功!どうやら俺の冒険はまだ続くようだ。 「あん?なんだ、しけた面しやがって。俺は陰気くさいガキが大嫌いなんだよ! てめえらみたいなガキはさっさと山を降りやがれ!お城があるからよ!」 「へへへ、いやあおっしゃる通り!」 もみ手で近づく俺。ここは何とかして、このちっちゃいおっさんをだまくらかして寝床をキープしなければならない。 「ちょっと待った!なんだおめえのかっこうは!?それじゃ旅はできねえぞ! あっちの部屋のつぼのなかに色々はいっているから持っていきやがれ!」 「ええ、それはもう。言われずとも持っていきますが今はなんつーかこう、疲れたな~なんて。 物とかいらねーから休ませろ?」 「またおめえか!?ふん!てめえみてえなガキは一晩泊まっていきやがれ! …なんだか話が噛み合ってないような、その癖要望は叶ったような複雑な気分で俺たちは奥へと進んだ。 今は細かい事はどうでもいい。早く寝たい。もう足が棒なのだ。俺は子供の頃はスポーツ少年だったが今はインドア派なんだ。 ウォーキングなんぞ趣味じゃない。 はたして、そこにはベッドが一台、置いてあった。 ・ ・ ・ そうして、今、俺は床に寝転がっている。 固い床。余りに身体が痛い。多分、明日は今以上に身体が軋んでいる事だろう。 これからどうしよう? 今日は俺、泣きながら眠ります。今日の事が、夢である事を信じて……。 HP:1 MP:0 装備:Eフリース Eパンツ