「七泊目レス93一発ネタ」の物語

投稿期間 2006/06/16
スレッド 『もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら七泊目』

『おい なんか へんじゃないか?
『そういえば‥‥

仲間たちが口々に言い出す前から、俺も気づいていた。
昨日までは別に何の異変もなかった。町の周囲のモンスターどもを一しきり狩ったあと、
俺たち4人は減ったHP・MPを回復させるべく、いつもと同様に宿に泊まった。ただそれだけだったはずだ。
しかし一夜明けただけで、町の様子は一変していた。
のどやかというか、牧歌的というか。雰囲気がまるで違う。
道行く人々の姿も、動作までもがおかしい。
移動しないときくらい大人しくしていればいいのに。なぜ延々と足踏みを繰り返すのか。
一体、何が、どうなって。

『どうなってんだ?
『さあ‥‥
『とにかく まちのそとに でてみようぜ
『そうだな‥‥

疑問を抱きつつ、とりあえず昨日の狩りの続きをするために、俺たちは町の外に出た。 

町の外もまた、やはりいつもと雰囲気が違う。
いつもの見慣れた風景の、あのすっきりした感じがない。
良く言えばほのぼのとした、悪く言えば垢抜けないフィールド。
それでも気にしないことにして、モンスターを探し求めて町の周囲を歩き回る。
と、草むらの陰から飛び出した3つの影が、俺たちの行く手をふさいだ。
ようやく戦闘か、と思い目を向けると………やはりこいつらもおかしい。
3匹のうち2匹は、見たところプリン系のモンスターのようだ。
ぷるぷる震える青くて小さい体、そのほぼ全体を占める大きな顔。
しかし真ん丸の目に牙のない口、無邪気に笑っているようにさえ見える。
残りの1匹はコウモリの姿をした、初めて見る生物。
何故か頭ではなく、胴に顔が付いている。やはり凶暴さのかけらも感じ取れない面構え。
なんなんだこいつら。本当にモンスターなのか、真っ当な経験値や金を持っているのかどうかすら疑わしい。
どうしたものかと仲間たちと顔を見合わせた、その隙に奴らは襲いかかってきた。
上等だ。そっちがそのつもりなら、手加減する理由などどこにもない。
突撃を右にかわし、すれ違いざまにはがねのつるぎを一閃。切断されたコウモリの残骸が地に落ちる。

………はがねのつるぎ?

自分の身につけているものを改めて確認し、そして驚愕した。
    Eはがねのつるぎ
    Eてつのよろい
    Eてつのたて
    Eてつかぶと    
なっ、なんだこれは!?
せっかく買ったばかりのミスリルソードも、愛用のアイアンシリーズの防具も、
いつの間にこんな野暮ったい名前に!?
畜生、こんなの装備して戦えるか! 金を返しやがれ! 

残りの2匹も、仲間が片付けてくれた。俺と同じく、この状況を訝しく思っていたようだが。
全員の装備品だけならまだしも、手持ちのアイテムすらもまるで違っていたのだ。止むを得まい。
しかし、やくそうだのどくけしそうだの、液体に加工もせず草のままなのは何とかならないのか。
おまけに旅には必須であるはずのめぐすりも見当たらない。暗闇状態になったらどうするんだ。

結論。
俺たちはどうやら、今までとは全く違う世界に飛ばされてしまったらしい。
何らかのイベントがあったことを4人のうち誰も憶えていないというのも妙な話だが
他に納得のいく説明が付かないのだから仕方ない。
そんなことより、はるかに切実で重大な問題がある。
今後の身の振り方を考えなくてはならないのだが……

『それで これからどうする?
『きっとなんとかなるさ!
『それもそうだな!
『よし いこうぜ!

俺たちは再び歩き出した。
クリスタルを探し求め、世界に光と平和を取り戻す旅は、まだまだこれからなのだ。
最後に弁解しておきます。
筆者は決してDQ嫌いではありません。
むしろ大好きです。1~8まですべてクリアしています。FCの頃からのファンです。
ケチをつけるような描写がいくつか混じってしまいましたが、それらはすべて
「彼ら」の視点からではこう見えるだろう、という点をそのまま表現しただけです。他意はありません。
どうぞご容赦くださいますようお願い申し上げます。 

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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら@2ch 保管庫