「初代スレID:ndYrEjU6」の物語

投稿期間 2005/03/15
スレッド 『もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら』

 目が覚めたら、DQ世界の宿屋だった。
 寝起きのはずなのになぜか宿屋のカウンターに直立している俺。
 フラフラしながら宿屋の主人が何か言っているのを聞き流す。
 とりあえずこの世界の人の話を聞きたいので「あの」と話しかけてみると、即座に
「泊まりますか?夜まで休みますか?どちらも4ゴールドです」
と言われる。

 怖くなって宿屋から出た俺はステータスを確認しようとするが、ステータス窓が出ない。
 なんとなく HP11 MP2 Lv,1 そんな感じがする。感覚の問題らしい。
 ちから3というのはレベル1にしても低すぎる気がするが、MPあるし、虚弱体質なので納得する。
 装備は布の服。以上。ノーパンなので股間がスースーする。ブリーフでいいから下着が欲しい。
 所持金0G。無一文だ。確かに俺はニートだが、10Gくらいあってもよさそうなものだ。

 パンツがほしい。できればトランクス。
 地形や色合いが不自然な町をウロウロして店を探す。

 人通りはまばらだが、同じ顔の人間が複数いる気がする。誰も彼も目が死んでいるような気がする。
 道具屋を発見。店主らしき小太りのオッサンに話しかける。「あの、パンツありませんか?」
「いらっしゃい、ここは道具屋です。何をお探しで?」
「あの、パンツ」
 パンツを求めるが、店主は何も言わず、よどんだ目でじっと俺を見つめている。
 カウンターに見本らしい品々並べられていて、アルファベッドに似た字で、紙切れに品名が記されている。
 なんとなく読める。やくそう、どくけしそう、せいすい、キメラの翼…下着は置いてないらしい。
「すいません、ほか行きます」
「ありがとうございました!またどうぞ!」
 ある意味では良心的な店だが。
 店を探して通りを歩く。歩いてる人が少なくて、それが妙に怖い。
 と、町のスミっこの木陰に宝箱を発見。開けてみると、青と白のストライプの…ステテコパンツだ!
 幸運に喜びつつ、そのまま木陰で着替える。布の服を脱ぎ捨てて全裸になった俺は、
 ステテコパンツに足を通した。まあまあの履き心地だ。パンツ履いたので、布の服を着る。
 上着を着て、ズボンを履いて、腰紐をキュッと締めた瞬間ステテコパンツが足元にパサッと落ちた。
 そうだ、ステテコパンツは鎧扱いだった。

 防御力4の布の服を装備して、とりあえず普通の人として外を歩くか。
 防御力8のステテコパンツを装備して、パンツ一丁の変態として歩くか。

 布の服のままステテコパンツを持って通りに戻ると、
 40mほど先に武器屋と防具屋が並んで建っているのを発見。
 防具屋の店主はインド人風の中年男、武器屋は筋肉ムキムキで半裸にツノマスク。
 何をするでもなくカウンターの向こうに直立し、虚空を見つめている。

 防具屋に話しかける。布の服なら15G、ステテコパンツなら50Gで買い取ってくれるとのこと。
 こんな世界でもパンツ一丁というのは抵抗があるので、パンツを売る。
 旅人の服は防御力7、70G。なんで服なのにパンツより脆いんだろう。でも欲しい。
 モンスターを倒して金を得よう。素手じゃムリそうだったら、ひのきのぼう(20G)を買おう。

 町を出ると妙にノッペリした世界が広がっていた。遠近感が狂いそうだが歩き始める。
 最初に遭遇したスライムベスの一撃で意識が遠のき、DQキャラの苦難を痛感する。
 蹴り殺してやろうとローキックを放ったら、その足に体当たりを食らい、鈍い音を立ててスネがヘシ折れる。
 激痛で意識を失う。

 次の瞬間、目の前に神父が立ってボソボソと何か言っていた。
 どこも痛くないけど、精神的に疲れた。所持金は25Gに半減していた。
 さっきと同じ町。どれくらい時間が経ったのかは分からないが真昼だった。
 途方に暮れた俺は武器屋でひのきの棒を買い、宿に部屋をとった。
 所持金1G。

 外に出る前に、さらなるアイテムを求めて町を探索する。
 家々を回ってツボを割り、タルを割り、タンスを荒らす。思ったとおり何も言われない。
 くまなく調べて薬草2個と聖水を獲得。生まれて初めて井戸に潜ってみたが、何もなかった。

 パンツの時もそうだったが、俺の行動が何かに縛られているようだ。
 ツボ割ってOKなら村娘の乳揉んでもOKだろうと、手を出そうとした瞬間、体が硬直して動かなくなった。
 つまらん。

 ひのきの棒。全長1mすこし、重量700gといったところ。使いやすい感じ。
 外に出てスライム3匹に遭遇、交戦。スライムの小ささにイラつく。当たるけど狙いがシビア。
 3匹全てを撃破する。しかし右眼球破裂、右肋骨3本骨折、それが肺に刺さると被害甚大。
 戦ってるうちに気絶しないコツを掴んだので、死ぬほど痛いけどなんとか気絶しない。HP2(体感)。

 口からゴボゴボ血を吐きつつ道具袋から薬草を取り出して右目にこすりつけてみる。
 なんか、ブリブリと奇妙な音を立てて眼球が再生した。普通に見える。
 他のケガにも擦り付けて体力全快。HP14ぐらい。レベルが2に上がったようだ。
 何か呪文を覚えているかもしれないので、恥ずかしいけど試しに「ホイミ!」と叫んでみる。
 何も起こらない。HP満タンだからなのか、MP足りないのか、覚えてないのか。不便だ。

 ちょっと自信がついたので森に入ってみるとドラキーが2匹出た。
 試しに手のひらを向けて「メラッ!」と叫んでみたところ、左耳を食いちぎられる。

 1匹をなんとか撲殺したものの、2匹目の爪攻撃で右腕をもがれてしまい、HP5。
 薬草を使ったら右腕がすごい勢いで生えてきた。耳も。ドラキーに聖水かけたらジュワーって溶けた。
 足元に転がっていた俺の腕(元)がどこかに消えて、破れたはずの布の服のソデが再生している。
 血まみれボロボロだったのに、いつのまにか新品同様になってる。おかしい。

 所持金7G。
 戦闘で金稼ぐの、しんどい。
 帰りたい。

 戦いでボロボロになった体を癒そうと宿屋に向かう。
 戦闘終了後はいつも現実では考えられない満身創痍だ。今日も腕がちぎれている。

 「泊まりますか?夜まで休みますか?どちらも4ゴールドです」
 もはや聞きなれたセリフ。毎回機械のように効率的な接客をしてくれる。
 「はい」と答えると画面が真っ暗になり、気づくとちぎれた腕も復活し、俺はカウンターの前に立っている。体力は全快しているが全く休んだ気にならない。
 そういえば飯も出されていない。というか腹が減らないんだ…おかしい。
 それどころか便意も感じない…
 俺の人間としての生理現象までDQ仕様になってしまっているようだ

 新しい村に到着する、何やら騒がしい、話を聞くと魔物が村を襲ったようだ。
 村長らしき人に魔物退治を依頼される。嫌だ、行きたくない。
 励ましの言葉でもかけて丁寧に断ろうとしたがなぜだ、頭の中には「はい」と「いいえ」の
 二つしか浮かばない、仕方なく「いいえ」と答え、立ち去ろうとする・・・だめだ、体が動かない、その上一度断った俺にまだしつこく依頼をしてくる。
 観念して「はい」と答えてしまった・・・。

 魔物は村の東の洞窟にいるらしい。他には何の情報もくれない。
 村長の紹介で村人の1人が魔物退治に同行してくれることになった。
 名前はトムというらしい、威勢のいい若者だ。準備もそこそこに洞窟に向け出発する。
 トムは俺のケツにくっついて歩き、一言もしゃべらない、何なんだこいつは。
 最初に会った時は口数も多かったじゃないか。

 洞窟に到着した、普通は暗いはずの洞窟だが光に満ちている。これなら進みやすい。
 少し奥に入ったところで魔物に襲われる、お化けキノコだ。
 トムが果敢に突っ込んで行く、数回お化けキノコに攻撃を当てたが、
 反撃を受けその場に倒れこむ。俺も買ったばかりの銅の剣で攻撃を仕掛ける。
 さすが220ゴールドもした武器だ、お化けキノコは一撃で絶命した。
 気がつくとトムがいつの間にか棺おけの中に入っている。何なんだこいつは。
 あのお化けキノコが村襲った魔物だったんだろうか、情報がないから分からない。

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