朝起きるとベッドの上にいた。
普段は敷布団すら敷かずに毛布と枕だけで寝ていた筈だが、まだ眠いので気にせずに二度寝することにした。
しかし下の階から人の声がして寝つけない。仕方なく俺はベッドから起きる事にした。
さっきは眠さで気付かなかったが、よく見ると俺の部屋ではなかった。随分片付いた部屋だ。ベッドとタンスとツボだけがある。
拉致とか、酔っ払って他人の家に入ったとか、考えるのも面倒だったのですぐに部屋を出て階段を降りた。
階段を降りるとカウンターが見えた。カウンターに緑の服のデブ男が立っていたので話し掛けてみる。
「おはようございます!ではいってらっしゃいませ!」
朝からでかい声で喋るな。うるさい。
ハイテンションな奴を相手にするのは疲れるのでとりあえずスルーして宿屋らしき所を出た。

外に出るとそこには見た事の無い光景があった。
一軒の教会、小さな橋の下を流れる川。木でできた民家。のどかな村だ。
とりあえず村をうろうろしてみる。家の傍にあるツボを調べたり、民家に入ってタンスを漁ってみたりした。
「こらっ!あんた何してんだい!」
怒られてどつかれた。こういう事をしても何も言われないゲームをやった事ある気がするが、やはり現実ではうまくいかないみたいだ。
村の北にある墓の前に小さいメダルが落ちていたので貰っておく。手に入れたのはこれだけだった。
村の探索も大体終わったので、そろそろ村を出る事にした。

村を出ると、平原が広がっていた。南には海が見える。俺は北に向かって歩き出した。
暫く歩いていると、前方から何かが近づいてくるのが見えた。
その何かは物凄いスピードで俺に接近し、腹に体当たりした。2mほど吹っ飛ぶ俺。
痛い。骨が折れたんじゃないか?しかも咳をすると口から血が出てきた。大丈夫だろうか俺。
腹の痛みを我慢しながら立ち上がり、俺に体当たりしてきた何かを見ると、その正体は青い流動体だった。
謎の生物ははニヤニヤ笑いながら俺を見ている。何なんだこいつは。
謎の生物は再び俺に突進してくる。俺は間一髪で避けた。
何か知らんが俺を敵対視してるらしい。ならばこちらも抵抗する事にする。
俺は拳を握り締め、謎の生物に突撃した。謎の生物は攻撃に失敗して地面にぶつかりもがいている為、俺の攻撃は簡単に命中した。
プニュ。
思い切り殴ったら柔らかい感触がした。殴った気がしない。効いていないのだろうか。
いや、なんか悶えている。効いたらしい。
謎の生物は暫く悶え続け、やがて動かなくなり光となって消えた。
次の瞬間、謎の生物が死んだ場所に小さいメダルが2枚落ちていた。
銅貨だ。1と書いた銅貨が2枚。お金だろうか。さっき墓で拾ったのより少し大きい。
俺はそのお金をポケットに入れ、再び歩き出した。 

ぼーっとしながら歩いていると、いつのまにか前方に村が見えてきた。さっきの村より小さい。
空もすっかり暗くなり、歩き続けて足が痛いので、今日はここで休む事にした。
村に入ると、やつれた顔をした村人達がいた。全員ガリガリだ。
ダイエットでもしているのだろうか。と思いつつ俺は宿屋を探した。
宿屋を見つけて中に入ると、カウンターにはガリガリの緑の服の男がいた。さっきの村の宿屋の主人とは大違いだ。
「いらっしゃいませ!一泊3Gですがお泊りになりますか?」
しまった。俺は2Gしか持っていなかった。仕方ないので交渉する事にする。
「ええ!?2Gしかないんですか…。分かりました。かなりお疲れのようですし今回だけ特別です。」
話の分かる主人だ。俺はありがとう、と礼を言った。
「ではお休みなさいませ。」
俺はすぐに風呂に入り晩飯を食った後、ベッドに入った。
そう言えば俺、こんな訳の分からない世界にいる事に何の疑問も持ってないな…。
そんな事を考えながら、いつの間にか眠りについていた。

Lv1
HP17
MP0

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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら@2ch 保管庫