はいどうも、キム皇を仲間にした俺が登場ですよ。
 なんだか久し振り? それは気のせい。
 7月7日? 前スレ540? 何のことです?

 ま、それはそれとして。
 ファミコン神拳の一人、キム皇に魔力があるかどうか――魔法が使えるかどうか調べてもらったわけですよ。
 キム皇曰く、「魔力はあるものの、自分達のものとは異質な魔力を感じるだす」とのこと。
 ドラクエ世界の住人じゃないからか?

「魔力があるなら魔法は使えるんだよな?」
「使えるだすよ。最初はギラやホイミ辺りから始めて徐々に上のランクに上げていくといいだす」
 そりゃそうだ。
 ハナっからメドローアやメゾラゴンなんかできるわけねえもんな。

「具体的にどうすんだ?」
「集中とイメージだす。体を巡る魔力を一点に集め、その魔法を生み出すんだす」
「集中とイメージ……ね」
 魔力を集中し、炎が生み出されるイメージ。
 囁き――詠唱――祈り――念じろ!

「ギラ!」

 無事にギラは発動した。
 キム皇の評価では「ギラの上位魔法であるベギラマ以上」らしい。


 た  だ  し  魔  法  は  尻  か  ら  出  る  !


「うん、死のう」
「待て待て! 落ち着け! 死ぬな!」
「死ぬしかねえだろ! 尻からギラ出す奴どこにいるんだよ!」
「……たった今自分で出したじゃないっすか」
「殺す! こいつマジ殺す!」
 勉三の分際でこいつはもうqあwせdrftgyふじこlp

「やめろ! キムこうも余計なこと言うな!」
「止めんな! 殺させろ!! ギラギラギラギラ!!!」

 俺がギラと叫ぶたび、尻から炎が出て宿屋を燃やす。
 手や杖から炎を噴出しているならまだわかるが尻から出ているのはさぞかしシュールな光景だろう。

 尻から炎を噴き出したことがあるか!?
 見てる奴らは呆然といかにも「何が起きた」って顔つきだ、わかるか!?
 人は怒り叫びながら尻から炎を出せるんだ!!
 お前だってきっとできるぜ、気がついてないだけでな!!

「ゆうてい!」
「はい。――ちょっと眠ってください」

 最早何を言っているのかわからない俺の首筋に手刀を打って気絶させた――そう知ったのは、翌日のことだ。
 その場は収まることは収まったし冷静にもなった。
 だが、魔法は尻から出る。
 この現実だけはどうしようもない。

「12発?」
 目が覚めて昨日のことを謝罪した俺に対し、ファミコン神拳三人衆は意外な数字を告げてきた。

「何度もギラを連呼したっすが、12発目を撃った後はギラは出てこなかったんだす」
「今の貴方のMPはギラ12発が限界と思ってください」
 確かギラの消費MPは3だから最大MPは36……いや、FC版は消費MPが2だったから24か。

「自分は何がどれだけ唱えられるのか。これは戦闘において非常に重要なことだす」
 呪文を使う場面でMP切れは確かに辛い。攻撃呪文はまだいいとして、回復呪文が使えなくなったら大変だ。

「魔法力の限界がわかったのは不幸中の幸いだな」
 尻から火が出るのは不幸ですかそうですか。

「あれだけ連発できるのは初めて魔法使ったにしては悪くないだす……発動方法は問題だすが」
「ギラの火力もその辺の魔法使いと遜色はないようですし、すぐに上手くいきますよ……発動箇所も」
 何これ? 俺慰められてるの? それともバカにされてるの? クマ2匹が馬鹿にしてくるAAが俺の頭をよぎるんだが。
 尻から火が出るのは確かにバカにされる要素満載だけどさ、何もいじめなくたっていいじゃない。
 実際に俺の目の前で尻から火を出す奴見たら指差してゲラゲラ笑うけど。
 きっとこうなることを恐れてククリは一ヶ月コースを選ばなかったんだな。

「まともなギラが撃てるまで竜王の城に行かねえぞ」
「そのことだが、魔の島に渡る橋がない」
「橋の心配はしなくていい。俺に秘策がある」
「はあ」
「それよりも、魔の島に向かうまでにどんなモンスターが出るか調べに行ってくれ」
「あなたはどうするんですか?」
「特訓だ。キムこうと一緒にな」
「……あてと、だすか?」
「まさかイヤとは言わねえよな?」
「あてはイ――」
「な?」
「……わかっただす」

 というわけでリムルダール郊外。
   / ̄\
  |  ^o^ | <ギラを となえます
   \_/
   _| |_
  |     |
         / ̄\
        |     | <しりから ださないでください
         \_/
         _| |_
        |     |


    / ̄\
    | ^o^  | < ギラ!
    \_/                       ,,从.ノ巛ミ    彡ミ彡)ミ彡ミ彡ミ彡)ミ彡)''"
    _| |_                       人ノ゙ ⌒ヽ         彡ミ彡)ミ彡)ミ彡)'
   /    )                ,,..、;;:~''"゙゙       )  从    ミ彡ミ彡)ミ彡,,)
   / / //      ,,..、;;:~-:''"゙⌒゙          彡 ,,     ⌒ヽ     ミ彡"
  ⊂⊂/ |::::::゙:゙                       '"゙        ミ彡)彡''"
    / / /    ``゙⌒`゙"''~-、:;;,_              )   彡,,ノ彡~''"
    | ||               ゙⌒`゙"''~-、,,     ,,彡⌒''~''"
    ○○                      "⌒''~"
         / ̄\
        |     | <しりから だすなと いっている
         \_/
         _| |_
        |     |
 これをくり返すこと5回。
 俺の魔法オワタ\(^o^)/

「魔法発動のイメージは悪くないだす。問題は魔力集中の場所っす」
「掌だろ」
「魔力の流れを見る限り、どうやら掌から魔法が発動するイメージのみで、掌に魔力を集中させていないだす」
「ちょっと待て。魔力が掌に集まらずに尻に集中してるってことか? なんでまた尻に?」
「それはあてが聞きたいだす。どっかで尻から魔法を出す魔法使いでも見ただすか?」
「……グルグルか」
「グルグルが何かわからないだすが、そのグルグルとやらのせいで潜在意識の中に『魔法は尻から出る』と刷り込まれているんだす」
「どうすりゃいい?」
「掌に魔力を集中させることを強くイメージすればいいだす」
 ……掌に集中か。

「呪文を唱える時はどんな構えでもいいんだろ?」
「ま、まあ、別にどんなポーズを取ろうがかまわないだすよ」
 俺の年代で掌に集中と言えばこれしかない。
 脚を肩幅に開いて腰を軽く落とし、両掌を腰の横に構える。
 思い描くは唯一つ。
 両掌の中心に魔力を集中。

「か――」
 囁き。

「め――」
 詠唱。

「は――」
 祈り。

「め――」
 念じろ――!

「ギラああああああああああああああああああああ!」
「手から出た……よな?」
「……出ただす」
「どうよ?」
「普通のギラだすね」
 ちくしょう……ちくしょおおーー!!(AAry

「かめはめギラああああ!」
「普通のギラだすね」
「かめはめギ(ry」
「普通のギ(ry」
「かめは(ry」
「普通(ry」
「か(ry」
「(ry」

 連続でかめはめギラを出すこと4回。
 当初の目標通り尻ではなく掌からギラは発動できるようになったものの、尻以上の威力はなくなった。

「威力が落ちたとは言えギラとしては問題ないからいいじゃないだすか」
「そういうことにしておくか……」
「ところであの構えはなんだすか?」
「亀仙流の奥義とも呼べる大技――かめはめ波だ」
 当時ジャンプを――ドラゴンボールを読んだことのある子供は誰もが一度は真似したことがあるだろう。
 ガキの頃に誰もが真似したことを、恥ずかしげもなくやってのけた俺はもっと評価されていい。
 もうそろそろ27になるけど。

 有名な復活の呪文、ゆうていみやおうきむこうほりいゆうじ――と来たら鳥山明とぺぺぺぺぺ(ryしかないだろう。
 ゆう帝ミヤ王キム皇と揃っていて鳥山明がダメだということはない。
 ドラクエ世界でドラクエ絵師の技を使って何が悪い。

 鳥山先生ありがとう、あなたのおかげでギラが撃てました。
                                           (PN・ドラクエ大好きっ子/26歳・男)

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